生前整理とは?明日から実践できる進め方と避けたいトラブルを解説

生前整理とは具体的にどのようなことを行うのでしょうか。人生の最後を迎えるにあたって準備をする「終活」の一環として、自身が亡くなった後の財産や所持品を整理する方法を解説します。もしもの時、家族に迷惑をかけないためにも元気なうちに生前整理を行いましょう。

生前整理とは?明日から実践できる進め方と避けたいトラブルを解説

そもそも生前整理とは?重要性について

そもそも生前整理とは?重要性について

生前整理とは、身体が元気なうちに亡くなった後に備えて、身の回りをある程度整理しておくことです。高齢者が行うイメージが強いですが、最近では高齢になる前の若い世代でも行う人が増えています。

生前整理を行う大きな目的は、亡くなった後に家族に面倒をかけないためです。生前整理を行っていない状態で独り暮らしの人が急に亡くなった場合、残された家族が財産や持ち物の整理を一から行わなくてはなりません。その量が膨大だと、作業はかなりの負担にるでしょう。

また、生前整理をすることで今自分に必要なものは何かが明確になり、不要なものを処分するきっかけになるでしょう。そのため、早い段階で生前整理に取りかかるのは非常に有益だといえます。

生前整理で確認しておきたいこと

生前整理で確認しておきたいこと

では実際に生前整理を行うにあたり、どのようなポイントを押さえるべきでしょうか。以下、具体的にやることについて詳しく解説します。

「もの」を整理する

亡くなった後、故人の「もの」を整理することは家族にとって肉体的にも精神的にも負担がかかるでしょう。家族への負担を少しでも軽減させるために、元気なうちに自身できちんと整理しておきましょう。

いわゆる断捨離をするわけですが、一気に進めるのではなく、段階的に行っていきます。
たとえば部屋が複数ある場合、今月はこの部屋を片付けるといった具合に少しずつ行っていけば負担にもなりません。
整理の仕方としては、まずざっくりと必要なものとそうでないものに分けるところから始めます。

必要なもののなかでも、死後は処分してもらって構わないもの、または誰に譲りたいなど、整理する人が困らないように仕分けしておくとよいでしょう。

不要なものは今すぐに捨てましょう。思い入れのあるものは捨てにくいかもしれませんが、不要なものをとっておくと、自分の死後に家族に迷惑をかけることになります。

データなどの「デジタル資産」を整理する

PCやスマートフォンなどの端末内にあるデータや、WEB上に保存されているデータ、SNSアカウントや有料会員サービスなどの契約情報といった「デジタル資産」も整理しなければなりません。ネットバンクの口座や仮想通貨、電子マネーなどは、相続の際に存在にさえ気付かれない恐れもあるので注意が必要です。

PCやスマートフォンは立ち上げる際やSNSや会員制のサイトを削除・解約する際は、IDとパスワードが必要な場合が多いでしょう。各デバイスやアカウントのIDやパスワードは一覧で記録しておくことをおすすめします。手書きだと読み間違えやすいため、なるべくPCなどで入力し、見やすく管理しておきましょう。
現時点で不要な契約やアカウントなどは、この機会に解約してしまうことが望ましいです。

重要なデータや機器に関しては、金庫を設けるなど保管場所も厳重に管理するとよいでしょう。信頼の置ける家族にきちんと処分してもらえるよう伝えておく必要もあります。
なお、削除方法によってはデータは復元できてしまう可能性があるため、完全に消去したいなら専門家に依頼する必要があるかもしれません。

エンディングノートを作成する

エンディングノートとは、自身の個人情報や資産状況、葬儀方法や訃報を知らせてほしい人など、家族や信頼している身近な人へのメッセージを残すノートのことです。民法上における「遺言書」は、きちんとした手順で作成した場合、法的な効力を持ちますが、エンディングノートは残された人へのメモに近い形式なため、法的効力は発生しません。

しかし、前述した、ものの整理を行う際もエンディングノートがあればスムーズでしょう。後々遺言書を作成するときにも活用できます。自身の思いを残された遺族に向けて綴るのもよいでしょう。エンディングノートは書店や文房具店で取り扱われているので、終活の一歩として活用をおすすめします。

遺言書を作成する

遺言書とは、遺言を民法上で決まった形式で記した書面のことを指します。生前整理のゴールは遺言書であることが多く、法的拘束力も発生するため、非常に重要なものです。決まった形式に従わないと法的拘束力を持たなくなってしまうため、細心の注意を払って作成しましょう。

遺言書は必ず残さなくてはいけないというわけではありませんが、あれば財産相続などのトラブルを回避することもできます。遺言書がない場合は、基本的には法定相続分に則って遺産が分割されます。
亡くなった後に、この人にこの財産を託したいなど強い思いがある場合は、残された家族のためにもきちんと作成することをおすすめします。

生前整理をしなかった場合のトラブル

生前整理をしなかった場合のトラブル

これまで生前整理の手順について説明してきました。もし生前整理を行わなかった場合、どんな問題が起こりうるでしょう。

生前整理を含めた終活をする大きな理由は、生きている間に、「自分が亡くなった後に所有物をどう処理してほしいか」「財産分与をどうしたいか」「葬儀はどの形式で行ってほしいか」などといった希望を残すことです。生前整理をしないまま亡くなってしまうと、「もの」の処分について残された人が困ってしまいます。

口頭で財産分与などの方式を家族に伝えておいたとしても、前述したとおり法的拘束力が発生しません。そうなった場合、家族間でのトラブルも起きやすくなりますので、遺言書の作成も検討する必要があります。

高齢になってくれば終活という意味も含めて、ある程度身辺整理を行おうという気持ちになります。しかし、まだ高齢でない場合、なかなか死後のことは遠いことであり想像しにくいかもしれません。とはいえ、事故や大きな病気などでいつ自身が亡くなるかはわからないため、元気なうちに生前整理を行うのは非常に意味のある行為なのです。

「生前整理」を業者に依頼した際の費用相場は?

「生前整理」を業者に依頼した際の費用相場は?

生前整理をしたいけれど時間がとれない、できれば手間をかけたくないといった場合には業者に依頼することも可能です。自分で整理するとなるとついつい捨てられないものに関しても、業者が入ることでスッキリ手放せるケースもあります。また、財産の相続などもプロに相談することでスムーズに解決するでしょう。

業者に依頼する場合、ものの処分がメインになるため、分量に合わせて金額が変動します。相場として、2tトラック1台で6万円前後でしょう。

以下は、全国的に見た間取り別での費用平均です。

間取り別の生前整理の費用相場

間取り 生前整理の平均費用
1K 3万5,080円〜
1DK 5万6,352円〜
1LDK 7万7,711円〜
2DK 10万4,459円〜
2LDK 12万9,662円〜
3DK 15万5,863円〜
3LDK 17万9,283円〜

整理するものが大量にあるといった人にとっては、何から手をつけたらよいかわからず途方にくれてしまうこともあります。その場合、業者に依頼するほうがスムーズなケースも多いため、ご自身の状況に合わせて検討してみてください。

まとめ

生前整理は亡くなった後、自分の希望を叶えるだけでなく、残された家族のためにも非常に重要な行為です。人間いつどうなるかはわからないため、元気なうちに行うことが重要です。人生の最期をきちんとした状態で迎えるためにも、ぜひこの記事を参考にし、できることからまずは始めてみてはいかがでしょうか。

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