老後を海外で過ごしたい!移住におすすめの国や必要な準備や費用

定年退職後は海外で老後生活を送りたい方も少なくありません。この記事では、老後に海外移住をすることのメリット・デメリット、移住先を選ぶためのポイント、移住のための具体的な準備などを解説します。海外移住先としておすすめの国も5つ紹介するので参考にしてみてください。

老後を海外で過ごしたい!移住におすすめの国や必要な準備や費用

老後に海外に移住するメリット

老後に海外に移住するメリット

老後を海外で過ごしたい、そんな方には海外への移住は魅力的な選択肢の1つです。
では、老後に海外移住をするメリットはどのようなものがあるのでしょうか。以下の3点を順に解説していきます。

・年金暮らしでもゆとりのある生活ができる
・理想のセカンドライフを送ることができる
・自分に合った生活ができる

年金暮らしでもゆとりのある生活ができる

「年金暮らし」というと、預貯金を取り崩しながら慎ましやかに暮らしていく、というイメージをもつ方もいるかもしれません。

しかし海外の移住先によっては、日本よりも物価の安い国や老後生活に必要な費用が安く済む国もあります。老後生活の資金繰りの悩みが減ったり、老後の生活水準が上がったりする可能性があるでしょう。

理想のセカンドライフを送ることができる

理想のセカンドライフとはどのようなものでしょうか。
もし海外での暮らしが長年の夢だった方や、新天地でセカンドライフを送りたいと考えている方は、海外への移住によって理想の人生を叶えることができます。

また海外への移住によって、グローバルな視点が広がることや、新たな価値観を得られることも理想的なセカンドライフの過ごし方といえるかもしれません。

自分に合った生活ができる

今みなさんは、なぜ日本に住んでいるのでしょうか。
改めて考えると、単に「生まれた国が日本だったから」「仕事の都合で日本に住んでいる」ということが理由である方がほとんどではないでしょうか。

そのような方のなかには、日本ではない違う国の方が自分に合っているのではと感じる方もいるかもしれません。気温や湿度、季節など、日本では当たり前のことも、海外では一切異なるということも多くあります。
例えば、日本の蒸し暑い夏。世界各地には、一年を通して快適な気温で天気に煩わされずに過ごすことのできる国もあるのです。

文化や宗教の面でも、日本ではない国の方が合っているという方もいるでしょう。
また食事に関しても、他国の料理が好きな方もいるでしょうし、ほかの国の食習慣の方が肌に合うという人もいます。
例えば、食事のほとんどを屋台の外食で済ませるという文化の国もあります。

老後に海外に移住するデメリット

老後に海外に移住するデメリット

一方、老後に海外移住をすることのデメリットも存在します。メリットとデメリット双方をバランスよく把握して、総合的に判断していくことが大切です。以下の4点を順に解説していきます。

・物価が上昇して老後生活が苦しくなる
・ビザの取得には経済的な条件がある
・言語の壁や文化の違いに苦労する
・医療制度や介護制度が充実しているとは限らない

物価が上昇して老後生活が苦しくなる

海外の移住を決める時点では、物価水準が日本よりも低い国であっても、今後物価が上昇していく可能性があります。
その場合には、老後の生活が想定していたよりも苦しくなってしまうでしょう。

東南アジア諸国などの新興国は、経済成長に伴い物価が上昇している傾向があります。
また昨今の円安の状況によって、相対的に物価が上昇し、現時点での物価水準がずっと続くわけではないということはデメリットの1つとして考えておくべきです。

ビザの取得には経済的な条件がある

海外で老後の長期間を過ごすためには、基本的にはその国のビザを取得する必要があります。どの国においても、滞在目的に応じていろいろな種類のビザがあり、取得条件も異なります。

ビザを取得するために、経済的な証明が求められる場合もあるでしょう。
退職後に収入がない状態で十分な老後資金がなければ、ビザの取得が難しいということも、デメリットといえるでしょう。

言語の壁や文化の違いに苦労する

移住する国の新しい文化は刺激的で、自分自身の視野を広げることができるでしょう。一方、言語の壁や文化の違いに戸惑い、慣れるまでは苦労してしまうケースもある点は、デメリットといえます。

旅行として海外の国に滞在することと長期間居住することでは、同じ国でも見えてくる景色が異なってきます。
刺激的に感じられることが日常になると、そのたびにストレスを感じるかもしれません。

既に日本から移住し生活している人の話を聞いて、より具体的に移住後の生活をイメージできるようにするといいでしょう。

医療制度や介護制度が充実しているとは限らない

移住先の国の医療制度や介護制度は事前にチェックしておきましょう。なぜなら、日本と同程度の医療サービス・介護サービスを受けることのできない国もあるからです。

老後に海外へ移住する場合、必然的に医療や介護のサービスを受ける可能性は高くなります。そのため、事前に移住を検討している国の医療制度・介護制度をよく調べておく必要があります。

また、日本の医療保険制度は相対的に見て充実しており、また日本で受けられる医療は世界的に見ても高水準です。国によっては、国民全員が加入できる医療保険制度が存在しない国もあります。その場合には、高額な保険料を支払って自ら民間の保険に加入する必要も出てきます。

海外移住先を決めるポイント

海外移住先を決めるポイント

以上のような海外移住のメリット・デメリットをふまえ、老後の海外移住先を決めるポイントを考えてみましょう。

治安や気候など生活のしやすさ

治安や気候など、生活がしやすいかどうかという点は、移住先を選んでいくうえで大きなポイントとなります。
日本は安全な国だといわれていますが、国によっては日本ほど治安がよくないところもあります。治安情報を事前に確認したうえで移住先を決めていきましょう。

また、気候も大きなポイントです。ある国の文化を気に入って移住したが、気候が合わずに母国へ帰国することとなったという方もいるくらい重要といえます。

物価や生活水準が自分に合っている

移住先の国の物価や生活水準が自分に合っているかもポイントです。

極端に物価が高過ぎる場合には、移住後に生活資金が苦しくなって、海外での生活が難しくなってしまいます。無理のない支出で、自分に合っている生活水準を保てる国を選ぶ視点が大切になってきます。

医療制度や介護制度が充実している

老後いつまでを海外で過ごすのかによりますが、その国の医療サービスや介護サービスを利用する可能性もあるでしょう。
移住先候補の国の医療制度や介護制度、またそれらを利用するための社会保障制度を事前に確認しておきましょう。

ビザの取得条件を満たしている

前述の通り、退職後に長期滞在のビザを取得する際には、一定の条件が課されている国が多い状況です。そのため、移住先を選定する際には、移住先のビザの取得条件を満たしているかどうかを確認しましょう。

特に、経済状況の証明が必要な国への移住を検討する場合には、早めに情報収集し、資金を準備しておく必要があります。

老後の海外移住の目的が果たせる

そもそもなぜ老後に海外移住するのか。移住先で、移住の目的や理想のセカンドライフが果たせるかどうかは、大切なポイントです。

「年金暮らしでもゆとりある生活をしたい」「長年の夢であった海外暮らしをして、新たな価値観に触れたい」「ほかの国の文化の中で暮らしたい」など、移住の目的は人それぞれでしょう。

これまで見てきたような、各種の条件から移住先の国を選定することももちろん大切です。
しかし当初思い描いていた海外移住の目的を、移住先の国で果たせるかどうかも考える必要があるでしょう。

老後の海外移住先としておすすめの国

これらのポイントを念頭に置いて、海外移住先としておすすめの国をご紹介していきます。まだ具体的に移住先が決まっていない方は、選択肢の1つとして参考にしてみてください。

マレーシア

老後の海外移住先としておすすめの国

日本よりも物価の安い東南アジアへの移住は、多くの方が魅力的に感じるのではないでしょうか。

マレーシア政府観光局によると、マレーシアの治安は、東南アジアの中でも比較的よいといわれています。しかし、人気のない道や暗い道は歩かないなど、旅行先で基本的に気を付けるべき事項は守る必要があります。

マレーシアの気候は、年間を通して温暖です。平均気温は27℃で、日本の夏のように35℃を超えるような灼熱の暑さではありません。朝晩は25℃前後と過ごしやすいことも特徴です。

マレーシアの物価水準は、現地の外食の価格や市場などでの買い物の物価は日本の約1/2から1/3といわれており、安く済みます。
一方日本食や酒類は、日本よりも割高になる傾向があります。
また、マレーシアは産油国であるため、ガソリン代が安いことも特徴の1つです。

住環境のコストパフォーマンスの良さも、魅力の1つです。首都クアラルンプールの家族用コンドミニアムの家賃は、RM2,500程度からとなっています。ジムやプールが備えられていることも多く、日本よりも満足感の高い住居に住めるかもしれません。

マレーシアは医療水準が比較的高いことも特徴です。首都クアラルンプールやペナン島には私立総合病院もあり、十分な治療を受けることができるでしょう。

注意点としては、マレーシアには公的な医療保険制度がないことです。公立の病院に対しては政府予算から支出があり、費用が安く設定されていますが、外国人には適用されない場合もあるようです。治療費などは全額自己負担となる可能性もあるため、民間の医療保険に加入する必要があります。

移住する際に取得すべきビザは「MM2H」と呼ばれるビザです。経済状況の証明を提出し、一定額以上をマレーシアの銀行に預けるなどの条件をクリアすることで、最長5年の滞在が許可されます。
以前は他国と比較して容易に取得できたため人気であったこのビザですが、2021年10月以降条件が大幅に厳しくなり、取得できる人は限られている印象です。金融資産総額150万RM以上(約4,500万円)という条件に加えて、月収RM4万以上(約120万円)という条件もあることから、マレーシアへの移住を検討されている方は、リタイア以前から準備を始めることが望ましいでしょう。

【参考】【公式】マレーシア政府観光局「プチ暮らし」詳しくはこちら

タイ

老後の海外移住先としておすすめの国

観光地としても人気のタイ。「微笑みの国」といわれるように、その国民性や独特な食文化を好まれる方も多いのではないでしょうか。

タイは、比較的治安がよいことで知られていますが、近年クーデターやデモがニュースにもなっています。首都バンコクでは外務省によって危険レベル1と指定されています。多くの日本人が住むタイですが、政治の情報などをチェックしておく必要はあるでしょう。

気候は、一年を通して温暖な熱帯性気候です。年間平均気温は29℃ですが、最も暑い4月の平均気温は35℃と、昨今の日本の夏のような高い気温を記録することもあります。

物価について、以前は物価が日本の半分程度であるともいわれ、日本から移住すれば経済的に余裕をもって過ごすことができていました。
しかし、昨今の情勢や経済成長から、年2~3%のインフレが起こっています。また日本の食料品は割高です。

移住後の住まいとしては、現地日本人が多く住むバンコク市内スクンビットエリアなどが選択肢です。2ベッドルームコンドミニアムの家賃相場は、3万バーツほどとなっています。
一般的にタイのコンドミニアムにはプールやジムが備わっていることが多く、金額に対して豪華な住環境を手に入れることも可能です。

タイの医療レベルは高く、バンコク市内の私立病院のなかには日本語の通じる病院もあるので安心です。
タイには公的な医療保障制度がありますが、外国人の場合タイの企業に雇用されている人のみが対象です。
そして原則として事前登録した医療機関でしか受診できないことから、現実的には全額自己負担で病院を受診することになるでしょう。そのためタイに移住する際も、民間の保険に加入する必要があります。

長期滞在ビザには、例えば「ノンイミグラント-O-X」という50歳以上が取得できる退職者用のロングステイビザがあります。このビザの代表的な条件は、以下の通りです。

・金融証明書の提出(以下のうちどちらか)
 A)タイ国内のタイの銀行預金残高証明書の提出(300万 バーツ以上の預金残高が確認できること)
 B)タイ国内のタイの銀行預金残高証明書(180万バーツ以上の預金残高が確認できる証明書)と、年間 120万バーツ以上の収入を証明できる証明書の提出
・タイで就労しないこと
・基本的な犯罪歴がないことや入国禁止リストに入っていないことなど

まずは上記条件と移住者の年金受給額などを比較して、ビザ取得が可能かを確認しましょう。

【参考】外務省「海外安全ホームページ: 危険情報詳細」詳しくはこちら
【参考】在福岡タイ王国総領事館「ノンイミグラント-O-X (ロングステイ 10 年)」詳しくはこちら

フィリピン

老後の海外移住先としておすすめの国

フィリピンは日本から近く飛行機で約5時間程度で行き来することができるため、頻繁に一時帰国をされる方には人気の移住先です。また国民の英語レベルの高さは有名で、あたたかな国民性も魅力です。

一方、フィリピンの治安については、情報をよく収集することが大切です。外務省の危険レベルも2023年12月時点で1~3となっており、移住先の都市を選定する際にも慎重に判断する必要があります。また犯罪件数も日本よりも多い傾向にあり、治安がよくないエリアは事前に情報を得ておくことが大切でしょう。

フィリピンの気候は温暖で、年間を通じた平均気温は26~27℃です。冬の寒さや花粉症に悩むことがないのはメリットといえます。

物価の安さもフィリピンを移住先とする魅力の1つです。大体、日本の1/3〜1/5程度といわれています。
特に住居費は、中心地を選ばなければ、日本よりもはるかに低い賃料で贅沢な設備の整ったコンドミニアムに住むことができるでしょう。

フィリピンの医療事情は、地域によって異なるというのが実情です。移住先として人気があるセブやマニラでは、高度な医療を受けることができます。こういった面からも、移住先エリアの選定は特に重要といえます。

また、フィリピンには国民全員が加入できる「フィルヘルス」と呼ばれる医療保険制度があります。外国人であっても加入できることが特徴です。入院治療となった場合には給付がありますが、通院は自己負担となるため、民間の保険も合わせて検討する必要があるでしょう。

老後をフィリピンで過ごすためにメリットとなるのは、ビザの取得が比較的容易であることです。SRRVと呼ばれるリタイアメントビザは、厳しい収入証明や多額の預託金も必要ありません。フィリピンへの移住の魅力の1つといえます。

【参考】外務省「海外安全ホームページ: 安全対策基礎データ」詳しくはこちら
【参考】SRRV – フィリピン退職庁 詳しくはこちら

ポルトガル

老後の海外移住先としておすすめの国

ヨーロッパへの移住に憧れる方にとって、ポルトガルは魅力的な選択肢の1つです。

ポルトガルは治安のよさで有名です。治安や紛争などの情報をもとに決定される「世界でもっとも平和な国ランキング2023」では7位となっています。ちなみに日本は9位です。
気候はほかのヨーロッパ諸国と比べても温暖です。年間を通して、平均最高気温は20℃くらいで、最低気温は12℃ほどとなっています。
ポルトガルは物価が高いといわれているほかのヨーロッパ諸国の75%ほどとなっており大きな魅力の1つです。

ポルトガルの医療水準はほかのヨーロッパ諸国と比較すると低いといわれています。SNSと呼ばれる国の医療保障制度があり、ポルトガルに住んでいる場合加入することができます。

老後にポルトガル移住する際に選択肢の1つとなるのはD7ビザです。ポルトガル滞在中の生計のための資金があることを証明する書類を提出する必要がありますが、具体的な金額の条件はありません。

【参考】経済平和研究所(IEP)「世界平和度指数」詳しくはこちら
【参考】外務省「世界の医療事情 ポルトガル」詳しくはこちら
【参考】査証(ビザ) - 領事部 - 日本のポルトガル大使館 詳しくはこちら

インドネシア

老後の海外移住先としておすすめの国

赤道直下に位置する島国のインドネシアは、観光地のバリ島も有名ですが移住先としても人気の国です。

インドネシアの治安は、外務省が指定する危険レベルでは、全域で1以上となっています。首都ジャカルタ周辺でも大小さまざまな抗議デモが発生しているため、情報を確認していく必要があるでしょう。

インドネシアは熱帯性の気候であり、年間平均気温は、28.5℃程度です。乾季と雨季があるため、雨季にはスコールの様な大雨が降り洪水には注意が必要です。

インドネシアの物価は安く、特に住まいに関わる費用は日本よりも各段に抑えられるでしょう。ほかの東南アジア諸国と同様、日本からの輸入品は割高です。食材は現地のものを調達するなどバランスを取ることで、日本にいるよりも低い金額で暮らすことができます。
また近年物価も上昇してきているので、そのリスクも踏まえる必要があります。

インドネシアの医療レベルは、都市部と地方部に差があるというのが現状です。外国人が多く住むジャカルタなどの都市部では、医療レベルが高く、安心して病院にかかることができます。
なかには日本語対応可能な病院もあります。BPJSと呼ばれる医療保険制度もあり、長期滞在のビザがあれば外国人でも加入することができます。

インドネシアへの移住のためのビザには、リタイアメントビザがあります。年齢が55歳以上で、月額1,500ドル以上の年金受給者または現地にて生活支払い能力があるかどうか預金の保有証明を出すことで申請可能です。

また2022年10月にはインドネシア政府より「セカンドホームビザ」という新たなビザが発表されました。20億ルピア以上の預金証明が必要ですが、滞在期間は5年または10年となり、投資や就労も可能となっています。

【参考】外務省「海外安全ホームページ: 危険情報詳細」詳しくはこちら
【参考】厚生労働省「[東南アジア地域にみる厚生労働施策の概要と最近の動向(インドネシア)]」詳しくはこちら
【参考】在本邦インドネシア共和国大使館, in Tokyo, Japan 詳しくはこちら

老後の海外移住に必要な準備

老後の海外移住に必要な準備

移住先の国が決まったら、移住にむけて具体的な準備を始めていきましょう。ここでは以下の5項目について、具体的に説明していきます。

・老後資金の準備
・ビザの取得
・年金や医療保険など老後生活の手続き
・自宅や財産整理などの終活
・英語や公用語の勉強

老後資金の準備

老後資金は、海外に移住するにせよしないにせよ、計画的に準備する必要があります。
移住先の国によっては、ビザの取得のため一定金額の預金証明を提出する必要があります。事前にその金額を確認して、海外で老後生活を送るために必要な資金を準備していくことが重要です。

また、先に述べたように、今後の物価上昇に備えて、余裕をもって資金を備えておきましょう。どこの国でも基本的には日本からの輸入品は割高となります。物価が安い国であっても、日本での暮らしを再現しようとすると資金が一定度必要になってくるでしょう。

ビザの取得

ビザの取得にむけて具体的な準備を始めましょう。なかにはマレーシアのように定期収入の証明が求められる国もあり、ビザ取得の手続きを行うタイミングも重要になってきます。

移住先の国が決まったら、すぐにビザ取得の要件を確認し、少しずつでも準備を始めるといいでしょう。

年金や医療保険など老後生活の手続き

老後の海外移住に必要な準備

海外への移住が決まったら、年金や医療保険などの手続きも計画的に行いましょう。
年金は、海外へ移住するタイミングによって必要な手続きが異なります。年金受給開始前に移住する場合は、移住後自分で「年金請求書」ダウンロードして手続きをすることになります。

また、既に年金受給を開始している場合も、海外に転出する際に手続きが必要となります。詳しくは、日本年金機構のホームページでご確認ください。

また、医療保険の手続きも必要です。現地の医療保険制度を確認するとともに、現在日本で加入している保険が海外移住後も支払われるのかどうか保険会社に確認しましょう。
現地で保険に加入する場合には、その要件も調べる必要があります。
大切なことは、移住前後の期間に保険に入っていない「無保険」の期間が生じないようにすることです。

海外への移住が決まったらご加入の保険が移住先の国でも適用可能かどうかを確認し、必要に応じて保険の見直しを行いましょう。

【参考】日本年金機構「日本国外に居住しています。「年金請求書(事前送付用)」は送付してもらえますか。」詳しくはこちら
【参考】日本年金機構「年金を受けている方が海外に転出するとき」詳しくはこちら

自宅や財産整理などの終活

セカンドライフを海外で過ごすことを決めたら、日本にある財産整理を始める必要があります。

国によって遺産相続のルールが異なるため、あらかじめ遺言書を作成するなどの準備をしておかなければ、その国のルールで財産が分配されてしまったり、日本にいる家族が不便な思いをすることに繋がりかねません。

不動産などの資産がある方は、相続を見据えた準備をしておく必要があるでしょう。

また、移住先で亡くなった場合、基本的には現地で埋葬されることが一般的です。葬儀のスタイルに希望がある場合には、事前に移住先の国で希望する形での葬儀や埋葬が可能か確認しておきましょう。

英語や公用語の勉強

老後の海外移住に必要な準備

移住先の国で生活していくには、少なからず外国語の習得が必要になります。少しでも英語が話せればなんとか生活していけるという国もあれば、現地の公用語を知っていた方が便利という国もあります。

移住先の国の状況を事前に確認したうえで、必要な勉強をスタートしていきましょう。今はスマホのアプリを使って気軽に外国語の勉強を始められますし、オンライン通話によって現地の方から直接言語を学ぶこともできるでしょう。

まとめ

老後に海外への移住することは、充実したセカンドライフを過ごす選択肢の1つです。海外移住のメリット・デメリットを知ったうえで、具体的な移住先の国も検討していきましょう。

また移住先を決めた後には、準備を計画的に始めていくことが大切です。
何よりも重要なことは、どうして海外へ移住するのか、その目的をはっきりさせることです。移住先では、その目的を果たすことができるのか。そして、治安や気候、物価や医療制度などを総合的に判断して、海外移住を検討してみてください。

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