【5000万円の運用】さらなる資産形成や退職金活用のポートフォリオを解説
5,000万円を運用することで、将来的に大きな資産を築ける可能性があります。とはいえ、運用にはリスクをともなうため、安定した利益が期待できる投資方法を理解し、目的に合った方法や資産配分を考えることが重要です。本記事では、5,000万円を運用する方法や運用時の注意点を解説します。

目次
5000万円を運用すべき理由

5,000万円の資産を運用した方がよい主な理由は、以下のとおりです。
・インフレによって価値が目減りする可能性がある
・老後の資産は予測が難しい
・投資資金が大きいと高いリターンが期待できる
インフレが起こって物価が上昇すると、相対的にお金の価値は下がります。5,000万円を預金口座に預けたままにしていると、将来的に物価が上昇した時に価値が目減りする可能性があります。
また、老後生活に必要な資金を現役時代に正確に予測するのは困難です。5,000万円では希望する生活が送れないことが老後生活に入る直前に判明すると、対策できる方法は限られてしまっています。さらに、老後生活中に資金が底を尽きてしまうこともあるかもしれません。
インフレによる資産価値の目減りに対策し、希望する老後生活を送る可能性を高めるためには、5,000万円を銀行の預貯金とするのではなく、運用した方がよいと考えられます。5,000万円という大金を投資に回すことができれば、高いリターンも期待できるでしょう。
例えば、利回りが4%、運用期間が10年である場合、投資元本が500万円と5,000万円では10年後に得られる収益はそれぞれ以下のとおりです。
・投資元本500万円:約895.4万円(+495.4万円)
・投資元本5,000万円:約8,954.2万円(+4,954.2万円)
5,000万円の資産を運用できる人は、そう多くはいません。投資に回せる資金が多くあるというメリットを活かして、運用を始めてみてはいかがでしょうか。
5000万円の運用シミュレーション

5,000万円を運用するといくらの資産を形成できるのでしょうか。運用期間と想定される年利をもとに、試算してみましょう。結果は以下のとおりです。
運用期間 | 年利1% | 年利3% | 年利5% | 年利7% |
---|---|---|---|---|
5年 | 5,255万円 | 5,796万円 | 6,381万円 | 7,012万円 |
10年 | 5,523万円 | 6,719万円 | 8,144万円 | 9,835万円 |
15年 | 5,804万円 | 7,789万円 | 1億394万円 | 1億3,795万円 |
20年 | 6,100万円 | 9,030万円 | 1億3,266万円 | 1億9,348万円 |
5,000万円を年利1%で運用したとしても、運用期間が20年であれば、6,100万円まで増やせます。5%以上の年利で15年以上運用することができれば、1億円を超える資産を形成することも可能です。
5000万円のおすすめ運用方法

5,000万円を運用する場合、どのような金融商品を選べばよいのでしょうか。 ここでは 、5,000万円を運用する時に選ぶとよい金融商品の例をご紹介します。
株式投資
株式とは、企業が経営に必要な資金を調達する目的で発行する有価証券のことです。
株式に投資をすると、出資先の企業が将来的に成長して株価が上昇した時に売却をすることで、大きな譲渡益(キャピタルゲイン)を得られる可能性があります。また、投資先の企業の業績が好調であれば、配当金を受け取ることもあります。
日本国内の企業の株式は、基本的に1単元(100株)ごとの取引となりますが、単元未満株を取り扱う証券会社であれば、1株から取引をすることも可能です。また、米国株は1株から投資ができるため、少額の資金で世界を代表する企業の株式に投資できます。
ただし、株式投資で利益を得るためには、企業の業績や今後の経済状況などを分析しなければなりません。投資先の企業が倒産すると株価が0円になることもあるため、株式投資はハイリスク・ハイリターンの投資方法といえます。

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債券
債券とは、国や企業がお金を借りる時に発行する有価証券のことです。国が発行する債券を 「国債」といい、会社が発行する債券を「社債」といいます。
債券に投資をした人は、満期を迎えるまで定期的に利子を受け取ることが可能です。また、満期を迎えると投資した元本が返還されます。
発行先の国や企業が破綻しない限り、利子の支払いと元本の返還が約束されるため、債券はほかの金融商品と比較してリスクが低いといわれています。

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投資信託
投資信託とは、運用のプロが投資家から資金を集めて国内外の株式や債券などで運用をし、得られた利益が還元される仕組みの金融商品です。
資金の運用先は、投資家の代わりに商品(ファンド)の運用方針にしたがって運用のプロが選ぶため、投資信託であれば投資の初心者でも始めやすいでしょう。
また、商品によっては投資した資金が数百の資産に分散投資されます。株式や債券などを分散投資しようとすると多額の資金が必要になりやすいですが、投資信託であれば少ない金額で分散投資をすることが可能です。しかし、元本割れするリスクがある点と手数料として信託報酬がかかる点に注意して、投資商品を選ぶようにしましょう。

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不動産投資
マンションやアパートなどの不動産に投資をして5,000万円を運用をするのも1つの方法です。不動産に投資をすれば、毎月家賃収入を得て収入源(インカムゲイン)を増やせるだけでなく、将来的に物件を売却して大きな売却益(キャピタルゲイン)を得られる可能性もあります。
資産が5,000万円あれば、自己資金のみで投資用不動産を取得することも可能です。一方で、金融機関から融資を受けられると「レバレッジ効果」が働き、少ない元手で大きな利益を得られます。
また不動産は、資産形成だけでなく相続対策にも活用できます。相続税を計算する際、土地や建物などの不動産は時価よりも低く評価される傾向にあるためです。
ただし、不動産は現金や有価証券と比較して分割しにくいです。そのため、遺産の大半を不動産が占めていると、残された家族が引き継ぎ方で揉めてしまいかねません。不動産で運用をする際は、自分自身が亡くなったあとにトラブルが生じないか検討することも重要です。
貯蓄型の生命保険
生命保険は、死亡や所定の高度障害状態、病気、ケガなどさまざまなリスクに備えるために加入する商品です。主に万が一のリスクに備えるための商品ですが、貯蓄型の生命保険であれば資産形成に活用することもできます。
例えば「終身保険」に加入すると、一生涯にわたって万一に備えながら、必要に応じて途中で解約をして解約返戻金を受け取ることも可能です。受け取った解約返戻金は、老後の生活費や介護費用などを支払うための資金源にできます。
また、相続対策をする際も、生命保険は役立ちます。相続が発生した時、生命保険の死亡保険金を相続人が受け取る場合「500万円×法定相続人の数」まで相続税がかかりません。
仮に、亡くなった時の法定相続人が、配偶者と長男、長女の三人である場合「500万円×3人=1,500万円」までの死亡保険金が非課税となります。生命保険を活用することで、相続税の負担を減らし、より多くの遺産を家族に残しやすくなるでしょう。
ヘッジファンド
ヘッジファンドとは、市場の動向に関係なく利益を追求するファンドのことです。通常の投資信託とは異なり、相場が悪化しても利益を得るために、先物取引や信用取引なども積極的に活用する点が特徴的です。
そのため、ヘッジファンドでも資金を運用できれば、相場が悪化した時にほかの資産から発生しているマイナス分を補える可能性があります。
ただし、ヘッジファンドを購入できるのは、金融機関をはじめとした機関投資家や富裕層などに限られるため、誰でも投資できるわけではありません。また、最低投資金額は数千万円単位といわれており、一般的な金融商品として高く設定されています。
定期預金
定期預金は、預け入れる時に期間を指定する預金のことです。1年や2年など、預入時に決めた期間が満了するまで、口座にあるお金は原則として引き出せません。その代わりに、普通預金よりも金利が高いため、より多くの利息収入が期待できます。
また、普通預金と同じく「預金保険制度」の対象です。金融機関が経営破綻した時、預金者一人につき1,000万円までの元本と、破綻日までの利息が保護されます。
元本保証がありながら、普通預金よりも高い利息を得られる点が、定期預金の魅力です。5,000万円のうち、堅実に運用していきたい部分については、定期預金で運用するとよいでしょう。

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5000万円を運用する時の注意点

5,000万円を運用する時は、いくつかの注意点があります。ここでは、運用時の主な注意点を5つご紹介します。
分散投資でリスクコントロールする
投資には「卵を1つのカゴに盛るな」という格言があります。この格言には「特定の商品に集中投資するのではなく、複数の商品に分散投資をしてリスクを軽減すべき」という意味があります。
特定の商品に集中投資をすると、投資先の商品価格が下がった時に、保有する資産の全体が大幅に減少してしまいかねません。一方、値動きが異なる複数の商品に分散投資をしていると、1つの投資先の価格が下落したとしても、資産全体の減少が起こりにくくなります。
5,000万円の資金を運用する時は、1つの対象に集中投資をして大きなリターンを狙うのではなく、分散投資による堅実な運用をおすすめします。
自分にあったポートフォリオを組む
ポートフォリオとは、保有する金融商品の具体的な組み合わせのことです。分散投資を活用して資産運用をする時は、運用目的をもとに自分自身に合ったポートフォリオを組むことが重要です。
例えば、老後の生活資金を確保するために、退職金として受け取った5,000万円を運用することが目的であるとしましょう。この場合、積極的に増やすよりも債券や定期預金などの低リスクの商品を中心として運用した方がよいと考えられます。
高いリターンを得ようとして高リスクの運用商品に投資をすると、投資先の価格が大幅に下落して老後の生活資金が不足する恐れがあるためです。
なお、ポートフォリオを組む時は「国内株式と外国債券」「外国株式と国内不動産」など値動きの異なる投資対象を組み合わせましょう。同じような値動きをする投資対象を組み合わせても、分散投資によるリスク軽減効果は得られないためです。

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リスク許容度に合わせて投資先を選ぶ
そもそもリスクとは、収益の振れ幅のことです。例えば、リスクが高いとは「大きな収益を得られる可能性もあれば、大きな損失が出ることもある」ということを意味します。
リスク許容度とは、運用している資産の収益がどれくらいまでのマイナスになっても受け入れられるかの度合いのことです。リスク許容度は人それぞれであり、年齢や運用経験、保有資産、性格などさまざまな要素に左右されます。
例えば、資産運用の経験があまりなく、資産が少しでも減ってしまうことに抵抗がある人は、リスク許容度が低いと考えられます。
リスクとリターンは比例するため、リスクが低く高いリターンが期待できる運用方法というものは存在しません。そのため、5,000万円の運用方法を検討する時は、自分自身がどこまでのリスクを許容できるのか考えることが重要です。
老後資金は長期・積立投資を心がける
5,000万円を運用する目的が老後資金の準備である場合「長期投資」を心がけることが重要です。長期投資とは、運用期間が10年などの長期にわたる投資方法のことです。
老後生活が始まる直前に資金の準備を始めようとすると、運用期間が短くなることで高いリスクを許容せざるを得なくなるかもしれません。
その点、長期投資であれば「複利効果」の恩恵を得られやすいため、リスクが低い運用方法でも目標金額を準備しやすくなります。複利効果とは、運用で得た利益を元本に加えて再投資することで、資産が膨らんでいく効果のことです。
また、5,000万円をまとめて投資をするのではなく「積立投資」をするのも有効です。積立投資では、商品の価格が安い時は多く、価格が高い時は少なく購入します。長期的に積立投資をすると、時間の分散もできるため商品の価格変動リスクを抑えやすくなります。

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不安な場合は専門家に相談する
5,000万円の運用を成功に導くためには、目的をもとに運用方法を選び、適切にポートフォリオを組むことが重要です。とはいえ、資産運用の経験が浅い方にとって、運用方法を選んでポートフォリオを組むのは、簡単なことではないでしょう。
そこで、5,000万円の資産を運用する時は、資産運用の専門家に相談することをおすすめします。金融機関の担当者やファイナンシャル・プランナーなどの専門家に相談することで、目的に合った運用方法や具体的な投資先を提案してくれるでしょう。
5,000万円は大金であるため、運用に失敗すると多額の損失が生じかねません。資産運用の経験があまりない方は、専門家にサポートしてもらうと安心でしょう。
三菱UFJ信託銀行では、資産運用に関するご相談(店頭/WEB)の事前予約を当WEBページより承っております。無料の相談予約はこちらから
【年代別】5000万円を運用するポートフォリオの組み方

5,000万円を運用する時のポートフォリオを組むためには、まず株式や債券、不動産などの資産にどのように配分するのかを考えることが大切です。運用をする時の資産配分を「アセットアロケーション」といいます。
ここでは、ポートフォリオを組む時のポイントや、アセットアロケーションの例をご紹介します。
40代で5000万円を運用する場合
40代は、50代や60代と比較して、運用期間を長くしやすいです。投資先の価格が下がって損失が発生しても、挽回できるだけの期間を設けやすいでしょう。
そのため、以下のようにリスクの高い商品の割合を多くすることが可能です。
・国内株式:25%
・外国株式:25%
・国内債券:20%
・外国債券:20%
・不動産(REIT):10%
5,000万円の資金があれば、株式や債券の個別銘柄に投資をすることもできますが、投資信託を活用するのも方法です。運用先に株式や債券が含まれている投資信託に投資すると、プロが代わりに運用をしてくれます。また、個人では難しい外国で取り扱われている銘柄への投資も容易でしょう。
不動産については、REITやREITファンドに投資するほかにも、5,000万円の10%である500万円を自己資金とし、金融機関から融資を受けて現物不動産に投資をする方法もあります。
安定した年収があり金融機関からの融資を受けやすい人や、家賃収入を得たい人は、現物不動産に投資をしてみるのもよいかもしれません。
50代で5000万円を運用する場合
50代は、40代以下よりも運用期間が短くなりやすく、損失を挽回する期間を設けにくいため、株式の割合を減らして債券の割合を増やすとよいでしょう。
資産配分の例は、以下のとおりです。
・国内株式:15%
・外国株式:15%
・国内債券:30%
・外国債券:30%
・不動産(REIT):10%
60代で退職金5000万円を運用する場合
60代の人が、5,000万円の退職金を運用する場合は、積極的に増やすよりも極力資産を減らさないように守りの運用に徹することをおすすめします。
リスクの高い方法で退職金を運用すると、損失が発生して老後の生活が経済的に苦しくなってしまいかねません。また、60代から運用を始めると損失を取り返すための期間も設けにくいです。
そのため、60代で退職金を運用する時は、以下のように債券や定期預金などを中心に選び、堅実に運用するとよいでしょう。
・定期預金:20%
・国内株式:5%
・外国株式:5%
・国内債券:40%
・外国債券:20%
・不動産(REIT):10%
相続対策を検討している方は、定期預金や債券の割合を減らして、5,000万円の一部で保険料を支払って終身保険に加入するのもよいでしょう。
まとめ
5,000万円の運用方法には、投資信託や株式投資などさまざまな種類があります。5,000万円を長期にわたって運用することができれば、利回り次第では1億円以上の資産を築くことも可能です。
また、投資目的をもとに投資先や資産の配分を慎重に選ばなければなりません。判断に迷うようであれば、資産運用の専門家に相談することをおすすめします。

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