iDeCo(イデコ)のデメリットとは?元本割れのリスクに備えよう

老後の資金不足への備えとして注目されているiDeCo。節税効果や運用益が非課税になるなどメリットがある一方で、デメリットもあります。今回はiDeCoのデメリットについて解説します。iDeCoの注意点や元本割れのリスクを理解しましょう。

iDeCo(イデコ)のデメリットとは?元本割れのリスクに備えよう

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは?

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは?

iDeCoとは、正式には「個人型確定拠出年金」といいます。年金には、国民年金や厚生年金などの「公的年金」と国民年金基金や確定拠出年金などの「私的年金」があります。
私的年金の確定拠出年金には、iDeCoの「個人型確定拠出年金」と勤務先の企業が掛金を拠出してくれる「企業型確定拠出年金」があります。会社員や公務員の方は会社によって制度が異なるため、人事や労務に確認してみてください。

iDeCoの加入条件は、公的年金に加入している20歳以上65歳未満の個人です。任意で加入することができ、自分で拠出額を決めて運用します。掛金と運用益は60歳以降に受け取ることができるうえ、掛金全額が所得控除の対象となり、所得税や住民税の負担を軽減することができます。また、運用益は非課税になるといった税制優遇のメリットが大きいでしょう。

iDeCoのデメリット・注意点一覧

iDeCoのデメリット・注意点一覧

老後の資産形成の1つとして利用する人が増えているiDeCoですが、メリットだけではありません。具体的には、以下の6点がデメリットとしてあげられるでしょう。

1.中途解約できない。
2.原則60歳まで引き出すことができない。
3.老後に受け取る年金額が事前に確定しない。
4.積立金額は年に1度しか変更できない。
5.口座管理手数料がかかる。
6.受け取る時に課税されることがある。

出典 

では、iDeCoに加入した場合のデメリットを1つずつ解説していきます。

1.中途解約できない

iDeCoは中途解約ができません。例外的にiDeCoを脱退し、一時金を受け取ることが認められているものの、以下のような厳しい条件をクリアする必要があります。

・国民年金保険料の納付を免除されている
・通算拠出期間が3年以下
・個別管理資産額が25万円以下

なお、中途解約はできないものの、掛金を0円に設定することは可能です。ただし、掛金を0円にしても口座管理費用がかかるので注意してください。

2.原則60歳まで引き出すことができない

iDeCoは、年金制度の1つであるため原則60歳まで引き出すことができません。住宅購入や子供の教育費などで60歳までに大きな支出の可能性があり、蓄えがない場合は、NISAのような途中で引き出すことができるほかの選択肢を併せて検討するとよいでしょう。

加入者が60歳より前に死亡した場合は、遺族がその全てを「死亡一時金」として受け取れます。運用商品は所定の日(指定できません)に売却・現金化されたうえでの受け取りになります。

また掛金の支払いが難しくなった場合、運営管理機関に加入資格喪失届を申請し「運用指図者」となることで掛金の支払いが免除されます。ただし、運用指図者であった期間は退職所得控除の勤続年数に加算されないため注意が必要です。

3.老後に受け取る年金額が事前に確定しない

iDeCoでは、自分で金融商品を選んで運用するため、運用益によって将来受け取る年金額が変動します。そのため、老後の資金計画を立てにくいというデメリットがあります。

老後の資金を増やすためにも、金融商品ごとの特性(リスクとリターン)やリスクの種類を理解できる程度の専門知識が必要です。
金融庁のホームページでは、資産運用のポイントを分かりやすく解説しています。参考にしてみてください。

【参考】iDeCoでできる資産運用ガイド 詳しくはこちら

4.積立金額は年に1度しか変更できない

掛金の変更は1年の間(12月分から翌年11月分の掛金)に1回しかできません。
ただし、退職して被保険者種別が変更になった時や、転職した勤務先の企業年金制度によって拠出限度額を調整する場合は、積立額を変更しなくてはいけない場合があります。

5.口座管理手数料がかかる

iDeCoで掛金を拠出している場合、国民年金基金連合会(105円)、信託銀行(66円)及び、運営管理機関に対する手数料が、毎月掛金から引かれます。
掛金の拠出をしない場合でも、積み立てられた資産から信託銀行(66円)及び、運営管理機関に対する手数料が毎月控除されます。運営管理機関へ支払う口座管理手数料は金融機関によって異なり、多くの場合月額は数百円程度でしょう。

また、新規加入時に2,829円(税込み)の事務手数料が国民年金基金連合会から徴収されます(掛金から控除)。

6.受け取る時に課税されることがある

通常、金融商品の運用で得られた利益は課税されますが(源泉分離課税20.315%)iDeCoは、運用益が非課税です。しかし、iDeCoの受取方法によっては課税されることがあるので注意が必要です。

iDeCoの受取方法は年金か一時金のいずれかを選択できます(金融機関によっては、年金と一時金の併用が可能)。

年金として受け取る場合は「公的年金等控除」一時金の場合は「退職所得控除」の対象となるものの、控除額を超える分は税金がかかります。年金で受け取る場合は、公的年金との合算が控除額を超えた分に課税されるでしょう。

また、一時金で受け取る場合は控除額は退職金とiDeCoの一時金の合計額に適用されます。受け取り方法を選ぶ前に人事や市役所などで確認しましょう。

【要注意】iDeCoが元本割れすることはある?

【要注意】iDeCoが元本割れすることはある?

iDeCoでは、運用益を期待できる反面、金融商品によって元本割れのリスクがあります。ここでは、元本割れした場合の対処法や元本割れしないための備えに関して解説します。

元本割れのリスクは加入者自身が負う

iDeCoの掛金の運用先は、元本保証のある「元本確保型」と元本割れのリスクがあり「元本変動型」の2種類があります。元本変動型を選択すれば掛金以上の成果を期待できる一方、元本割れのリスクがあります。
運用先はiDeCo加入者自身が選択し、損失は補填されないため、加入者自身が元本割れのリスクを負わなくてはなりません。

iDeCoの資産が元本割れした時の対処法

iDeCoの資産が元本割れした場合、どうしたらいいでしょうか?運用方針を見直すという方法があるでしょう。
ただし、元本変動型から元本確保型に切り替えた場合、成果の期待はできないため月々の口座管理手数料を差し引かれるとマイナスになる場合があることに注意が必要です。

また、iDeCoは一時的に資産が目減りしたとしても、長期間毎月定額で買付するため購入額が平均され、価格変動による影響を抑えられます。相場には価格変動の波があることを理解し、景気が悪くなった時は回復するまで待つ「長期投資」を心がけるのも1つの手です。

元本割れしない金融商品を選ぶためには

iDeCoでは、運用方針や掛金の運用先と購入額を自分で決める必要があります。元本割れをしないことや自分に合った金融商品を見定めるためには、最低限の投資知識が必要です。

また、金融機関も自分で選び、口座開設手続きを行う必要があります。
口座管理手数料などのコストや、商品ラインナップは金融機関によって異なるため、十分比較したうえで決めましょう。口座開設の手続きが不安な場合、金融機関によっては専門のコールセンターが手続きをサポートしてくれます。

自ら投資知識を身に着けるための勉強をしたり、活用できるサポートがないか情報収集をしたりすることで、iDeCoで賢く老後の資産形成をしていきましょう。

まとめ

まとめ

iDeCoは注意点やデメリットはあるものの、多くの人にとってはメリットが大きい制度です。現在の年金制度や貯蓄だけでは不安な方は、少額からでも複利効果によって受取時には一定額の収入になる可能性があります。定期預金で安定した貯金を継続的に行えている方は、家計に無理のない範囲でiDeCoを組み入れるとよいでしょう。

資産運用の目的によってはNISAがおすすめの場合もあります。メリット・デメリットを比較し、目的に合った資産形成の方法を選びましょう。

ご留意事項
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