FPが教えるファイナンシャル・リテラシーの身につけ方や勉強法〜賢くお金を貯めよう!〜

賢くお金を貯めていくためには「ファイナンシャル・リテラシー」は欠かせません。では、「ファイナンシャル・リテラシー」を身につけるためには、何からおこなえばよいのでしょうか?金融教育のプロであるFPがファイナンシャル・リテラシーの身につけ方をお伝えします。

FPが教えるファイナンシャル・リテラシーの身につけ方や勉強法〜賢くお金を貯めよう!〜

ファイナンシャル・リテラシーとは?

ファイナンシャル・リテラシーとは?

ファイナンシャル・リテラシー(金融リテラシー)とは、金融や経済に関する知識や判断力のことです。「日本人のファイナンシャル・リテラシーは低い」と言われていますが、実際のところはどうなのでしょうか?

米国に比べて日本のファイナンシャル・リテラシーは低い?!

金融広報中央委員会は18~79歳を調査対象として、個人のお金や金融に関する知識や行動の特色を把握するために「ファイナンシャル・リテラシー調査」をおこなっています。最新の調査結果を米国と比較したものが下記の表となります。

正誤問題6問の正答率

日本
(2019年)
米国
(2015年)
平均正答率 47% 53%
①複利 44% 75%
②インフレ 55% 59%
③住宅ローン 70% 75%
④分散投資 47% 46%
⑤債券価格 24% 28%
⑥72の法則 42% 33%

※「金融知識・判断力」 に関する正誤問題の正答率を米国調査と比較したもの
※(著者注)海外との比較に当たっては、教育制度、金融商品や金融サービス、税制など制度的枠組みに違いがあるため、幅を持ってみる必要がある

金融知識に自信がある人の割合

日本
(2019年)
米国
(2015年)
12% 76%

【参考】金融広報中央委員会「金融リテラシー調査 2019年」 詳しくはこちら

共通の正誤問題の正答率は日本47%に対して米国53%と日本のほうが低いという結果でした。さらに、「金融知識に自信がある人」(「とても高い」と「どちらかとかいえば高い」との合計)の割合です。米国の76%に対して日本は12%と大きく下回っています。実際に私がFPとして一般の方からお金に関する相談を受けていても、多くの人がお金に対して苦手意識を持っていると感じています。

なぜ大切?FPが考える「ファイナンシャル・リテラシー」

なぜ大切? FPが考える「ファイナンシャル・リテラシー

では、なぜ「ファイナンシャル・リテラシー」は大切なのでしょうか。

私たちは、生活をしていく上で「金融」と関わりを持つことは避けられません。貯蓄・投資・保険・ローンなどさまざまな金融商品を自分の生活に合わせて利用していくことが求められるからです。特に昨今は、多種多様なサービス形態で金融商品が提供されているので、それぞれの商品を正確に理解して、適切に活用することが一段と難しくなってきています。

リテラシーが高い場合には、このような環境下でも適切な情報を入手して理解し、自分に合った有利な制度を活用することで、着実に資産形成を行える可能性があります。

リテラシー不足は不利益につながる可能性も

一方、リテラシーが乏しい場合には、自分でも理解できない金融商品を利用してしまって損をしたり、生活に合っていない金融商品や過剰な保険にお金を支払って生活を圧迫してしまうこともあります。最悪のケースでは詐欺などの金融犯罪に遭ってしまうなど、お金に関する「知識」(ファイナンシャル・リテラシー)が乏しいために正しい判断ができず、不利益を被る可能性があるのです。

このようにファイナンシャル・リテラシーの有無は家計や人生に大きな影響を及ぼします。金融や経済の知識をしっかりと持ち、自らの生活や価値観に合わせて「判断」をする力がより求められるようになってきているといえるのです。

現役FPが教えるファイナンシャル・リテラシーの身につけ方

現役FPが教えるファイナンシャル・リテラシーの身につけ方

では、ファイナンシャル・リテラシーを身につけるためには何をすればよいのでしょうか。

知識を身につける

まずは、土台となる基本知識を身につけましょう。
大切なのはこの「基本」をおろそかにしないということです。基本を学ばずにインターネットやSNSなどに溢れる一部の情報だけでさまざまな判断をしているケースが多々あります。貯蓄や資産運用、税金、社会保障制度などのお金の基本知識を理解していない状態で金融商品に関する情報を集めると、商品ありきの偏った判断をしがちです。土台となる基本知識があるからこそ、多くの情報の中から自分にとって必要な知識や情報を選択することができるのです。

参考までに、年齢層別に最低限身につけるべきファイナンシャル・リテラシーが一覧となっている「金融リテラシー・マップ」を金融広報中央委員会が公開していますので、まずは身につけるべきポイントを確認してみましょう。

【参考】金融広報中央委員会「金融リテラシー・マップ」 詳しくはこちら

その上で必要な基本知識を次のような方法でインプットしていきます。

・お金に関する本を読む
スキマ時間などを活用しながら、手軽に知識を得ることができる点がメリットです。お金の情報は鮮度が重要なため出版時期に注意をしましょう。

・金融関連のセミナーに参加する
最新の情報を専門家から直接得ることができる点がメリットです。
参加する際は、主催者を確認しましょう。無料セミナー等も多数開催されていますが、安心して学習できる環境や中立的な情報を得るためには有料セミナーや相談も検討しましょう。

・お金に関するインターネットサイトで学ぶ
インターネットには、コラムや体験記などさまざまな情報が溢れています。基本を学ぶ段階では金融広報中央委員会の「知るぽると」や日本証券業協会のサイトなど、できるだけ正しい情報ソースを元に発信しているサイトを選びましょう。

【参考】
金融広報中央委員会 「知るぽると」 詳しくはこちら
日本証券業協会 「金融・証券に関する学習情報」 詳しくはこちら

知識を知恵に変える

知識を知恵に変える

知識はインプットしただけでは役に立ちません。リテラシーを身につけるためには、知識を知恵に変える作業が必要です。知恵とは、知識を使って適切に「判断」する力のことです。

知識を知恵にするためには、自分自身のこととして知識を使ってみることが大切です。

例えば、税金の知識をインプットしたならば、まずは自分の源泉徴収票や住民税決定通知書を見てみましょう。実際に自分が支払っている金額を見ることで、その知識が現実味を帯びてきます。

次に、知識を使って「経験」をします。iDeCoやふるさと納税など税制上お得といわれている制度が自分にとって本当に有利なのかを調べて、検討するという「経験」です。そして、可能な範囲で実際にチャレンジしてみましょう。実際に行動を起こすことで気付くこと、学ぶことはとても多いです。

資産運用のリテラシーを身につけるためには、本を読んでいるだけではなく、少額からでも自分のお金を使って投資を「経験」することが大切です。

このように知識を使って、経験を積んでいくことで、ファイナンシャル・リテラシーは身につき、どんどんと向上していきます。

まとめ

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ファイナンシャル・リテラシーがあるということは、知識があるだけではありません、知識を活用して「判断」をする能力があるということです。自信を持ってお金と付き合っていくためには、学ぶだけではなく、実際に自身で資産運用を行い、できる限り経験を積み重ねていくことが大切です。

ご留意事項
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