あのお金も相続税の対象?意外と多い「みなし相続財産」とは

相続に関する法律には民法と相続税法があります。民法は主として相続人の範囲や法定相続分などを定め、相続税法は文字通り相続税に関する規定が中心ですが、民法と相続税法とで解釈が異なるものもあります。民法では「相続財産」とみなされませんが、相続税法では含まれるため、相続税の課税対象になる財産を「みなし相続財産」と呼んでいます。

あのお金も相続税の対象?意外と多い「みなし相続財産」とは

相続税申告の際は「みなし相続財産」に注意

相続税申告の際は「みなし相続財産」に注意

相続財産という言葉から思い浮かぶのは、現預金、有価証券、不動産などではないでしょうか。これらは民法上の相続財産です。相続税を申告する際は、これらの財産に漏れがないよう細心の注意が払われます。

■民法上の相続財産とみなし相続財産

民法上の相続財産とみなし相続財産

その一方で見落とされがちなのが、みなし相続財産です。前述のようにみなし相続財産も相続税の課税対象になりますから、民法上の相続財産と一緒に申告しなければなりません。見落としたまま申告すると後日修正申告が必要になり、場合によってはペナルティ(加算税)を課せられることもあります。

みなし相続財産とは?どんな財産が含まれる?

みなし相続財産とは? どんな財産が含まれる?

みなし相続財産には、生命保険の死亡保険金、勤務先からの死亡退職金などが含まれます。
死亡保険金は故人が相続発生時に保有していた財産ではないので、民法上は相続人固有の財産として扱われます。しかし、故人の死亡によって支払いが生じる財産であり、保険料を故人が負担していれば相続財産と同等だとして、相続税の課税対象にされます。
死亡退職金も故人の死亡によって支払われる生前の功労への報酬であり実質的な相続財産と見なされるため、課税対象になっています。
このほか、主に企業や行政から贈られる弔慰金や、故人がかけていた個人年金保険の受給権なども、みなし相続財産と目されます。

みなし相続財産には「非課税枠」がある

みなし相続財産には「非課税枠」がある

生命保険の死亡保険金や勤務先からの死亡退職金を法定相続人が受け取った場合は、法定相続人の生活保障の観点から、一定の非課税枠が設けられています。
死亡保険金、死亡退職金ともに「500万円×法定相続人の数」の範囲内であれば、相続税はかかりません。これを超えた部分のみが課税対象となります。

みなし相続財産は相続放棄をしても受け取れる

みなし相続財産は相続放棄をしても受け取れる

相続放棄とは、「故人の財産」の相続権を放棄することです。これに対し、死亡保険金などのみなし相続財産は、故人の死後、相続人に対して支払われるものですから、相続放棄の対象にはなりません。よって、相続放棄をしても、みなし相続財産を受け取ることは可能です。

ただし、相続放棄をすると最初から相続人ではなかったと見なされるため、法定相続人のために設けられた非課税枠が使えず、全額が相続税の課税対象となるので注意が必要です。

みなし相続財産がある場合の注意点

みなし相続財産がある場合の注意点

みなし相続財産は相続発生時に故人が保有していた財産ではないため、原則的に“遺産分割の対象”にはなりません。一方で、みなし相続財産も、相続人からみると被相続人が遺した遺産として考えることもできるため、これが“争続”の原因になってしまうこともあります。
例えば、相続財産が不動産しかなく、二人の子供のうち長男が不動産、次男が生命保険を受け取ったようなケースです。民法上、次男は相続財産を受け取っていないことになり、不動産を相続した長男に対し、自分の相続権を主張できてしまうのです。

まとめ

みなし相続財産の受取人に指定された相続人は、原則としてほかの相続人に分配する必要はありません。しかし、だからといって特定の相続人が巨額の死亡保険金や死亡退職金を独占すると、相続人間の争いの元になります。不公平感があまりに大きい場合はみなし相続財産を相続財産に加えて計算する場合もありますが(専門用語でこれを「特別受益の持ち戻し」と言います)、“争続防止”の面からは、生前から、みなし相続財産も含めたトータルな相続財産の分配バランスを考えておきたいところです。

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