看護師の年収やボーナスは高水準?その実態をデータから読み解く

病院で働く医師と同じように、一緒に働いている看護師も年収が高いのでは、なんとなく思っている人も多いのではないでしょうか。ですが、実際どれくらいもらっているかは意外と知らないもの。この記事では、さまざまなデータから看護師の年収やボーナスを紹介したいと思います。

看護師の年収やボーナスは高水準?その実態をデータから読み解く

看護師の賃金は、他職種よりも高額!?

看護師の賃金は、他職種よりも高額!?

厚生労働省が発表した平成30年賃金構造基本統計調査によると、看護師の平均賃金は33万1,900円。全体の平均賃金は33万6,700円なので、全体平均よりやや低くなっています。
ただし、看護師は9割以上が女性を占めるので、注目すべきは女性の平均との比較です。看護師の女性の平均賃金は33万800円、一方女性全体の平均賃金は26万5,600円となり、6万6,300円高く、割合では26%高い賃金水準となっています。

※年収=「きまって支給する現金給与額」×12(ヶ月)+「年間賞与その他特別給与額」で計算
※数値は「企業規模計(10人以上)」のもの

【参考】平成30年賃金構造基本統計調査 看護師 詳しくはこちら
【参考】平成30年賃金構造基本統計調査 全体 詳しくはこちら
【参考】平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況 詳しくはこちら

看護師は年収も高水準

看護師は年収も高水準

同じ調査によると。看護師の年間の賞与は81万6500円。全体の平均賞与は93万1,600円で、ボーナスはやや水準が下りますが、年収では全体に比べて4%ほど高い水準となっています。

看護師の収入

職種 月収 ボーナス 年収
全体 30万6,200円 93万1,600円 460万6,000円
看護師 33万1,900円 81万6,500円 479万9,300円

看護師になるためには

看護師になるためには

看護師になるためには、看護師国家試験に合格しなければなりませんが、高校を卒業後、
・看護大学(4年制)
・看護師学校、看護短期大学(3年制)

などで学ぶか、
中学を卒業後に
・高等学校5年一貫教育のコース
で学ぶことで国家試験の受験資格を得ることができます。

また、准看護師が実務経験を積むことなどで受験資格を得ることができるコースもあります。

看護師が国家資格であるのに対し、准看護師は都道府県知事により与えられる資格です。准看護師になるには中学校あるいは高等学校卒業後、都道府県知事の指定した養成所・学校で2年以上学ぶことが必要で、その後試験に合格することで免許が交付されます。
業務の範囲は看護師と変わりませんが、医師や看護師の指示がないと業務を行うことができない点が看護師との大きな違いです。

また、看護師になるために4年制の看護大学を選ぶ人が増えています。保健師や助産師、養護教諭一種の資格が同時に取得できるケースもあるため、多様な教育を受ける環境や設備が充実していることが背景にあります。

今後、大卒とそうでない看護師の収入がどう推移していくのかも気になるところです。

看護師の仕事の環境は

看護師の仕事の環境は

看護師の仕事の環境は、勤務する病院や地域により大きく異なります。医療機関は、医療法によって、「病院」と「診療所」に分けられています。患者が入院できるベッド数が20床以上ある医療機関を病院、19床以下の医療機関を診療所と呼びます。
病院の病棟で働く看護師の場合は、2交代や3交代でのシフト制勤務が一般的です。一方、クリニックなどと呼ばれる診療所は診察時間が平日に限られているところが多く、日勤のみが一般的です。そうした勤務体系の違いなどから、大病院で働く看護師の方が診療所で働く看護師より収入は高くなる傾向があるようです。

看護師は今後も需要が高まる職種のひとつ

社会にとってなくてはならない存在の看護師ですが、厚生労働省の推計によると、団塊世代全員が75歳以上となる2025年には都市部を中心に、看護師、准看護師、保健師、助産師を含めた看護職員が最大で27万人不足すると見られています。看護師の需要は今後さらに高まっていくものと思われます。

【参考】東京新聞「看護職、最大27万人不足 厚労省推計 2025年、都市部顕著 2019年10月22日付」 詳しくはこちら

看護師におすすめの貯蓄術

看護師におすすめの貯蓄術

人の命を預かるという責任が大きな職場だからこそ、ついついお買い物などでストレスを発散してしまう人もいるかもしれません。ですが、他職種よりも高水準の年収にある看護師とはいえ、将来の生活設計を考えるなら貯蓄を考えることも必要です。

夜勤などもあり、あまり貯蓄について考えを巡らせる時間がないという方には、天引き貯蓄など、自然と貯蓄が習慣となるような貯蓄術をおすすめします。

最も一般的なのは財形貯蓄で、勤務先が制度を採用していることが条件になりますが、天引きなので、「給料日に使い過ぎてしまう」ということも少なくなり、自然とお金を貯める習慣がつくでしょう。財形貯蓄には「一般財形」「住宅財形」「年金財形」の3種類があり、「住宅」と「年金」は使途が限定されますが、合わせて貯蓄残高550万円まで利子等に税金がかかりません。また、「一般財形」には利子等の非課税は適用されませんが、条件を満たせば「住宅財形」、「年金財形」と同様に財形貯蓄を行っている勤労者が利用できる住宅ローンである「財形持家転貸融資制度」も適用されます。

勤務先に制度がない場合は、金融機関の自動振替を利用して月々一定額を積み立てるという方法もあります。

こうした方法で一定の金額を貯蓄に充てることで、無駄な支出を抑えることにもつながるほか、実際に貯蓄の残高が増えてくることが実感できれば、お金を貯める習慣も身につきます。

貯蓄に余裕が出てきたら資産運用も視野に

ある程度の貯蓄ができ、月々の収支に余裕ができれば、さまざまな資産運用を考えてみるのもいいかもしれません。
まず、勤務先に制度がある場合は確定拠出年金(DC)を利用したり、勤務先に制度がない場合でも、個人型の確定拠出年金・iDeCo(イデコ)を利用し、毎月一定額で金融商品を購入するといった将来のためのお金の増やし方も考えていきましょう。DCやiDeCoの確定拠出年金には、掛金が全額「所得控除」され税金が戻ってくる、運用益が非課税で再投資される、年金として受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金として受け取る場合は「退職所得控除」の対象となるというメリットがあります。
運用する商品には、元本保証の定期預金もありますし、投資信託などのリスクはあるが利率などが有利な商品もあります。定期預金と投資信託を組み合わせるといった手法も可能なので、将来の資産形成に有効なものと考えられます。

まとめ

看護師は責任が大きく、勤務も不規則な職場もありますが、やりがいも大きく、収入も比較的高い水準にある職業です。看護師も、もちろん将来を見据えた貯蓄が重要です。自然と貯蓄が積み立てられていく制度やサービスを利用することで貯蓄の習慣をつけてみてはいかがでしょうか。

ご留意事項
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