「永代供養」の費用はいくら?種類別の相場と内訳をわかりやすく解説!

寺院や霊園が墓地を管理してくれる「永代供養」の費用の相場はいくらくらいなのでしょうか。今回は、「永代供養」の種類別の費用相場や注意点、手続きの流れを解説します。将来に備えて、お墓や供養に関する知識を身つけておくと安心でしょう。

「永代供養」の費用はいくら?種類別の相場と内訳をわかりやすく解説!

「永代供養」とは?普通のお墓と何が違う?

普通のお墓と何が違う?「永代供養」とは

「先祖代々のお墓に入る、なければお墓を購入して納骨する」「お墓を継いだ人がお墓の年間管理料を支払う」「彼岸やお盆、命日にはお墓参りをし、三回忌などの年忌法要を営んでいく」というスタイルが、今までの一般的なお墓・供養の方法でした。

しかし、近年では「お墓を継ぐ人がいない」「子供に負担をかけたくない」「先祖代々のお墓が遠方にある」「費用を安く抑えたい」など、さまざまな理由から、本人や遺族の想いに合わせたお墓・供養のスタイルが登場しています。

その中でも大きな関心を寄せられているのが「永代供養」でしょう。永代供養は、「永代供養料を支払えば、寺院や霊園などの墓地管理者が、永代にわたり供養・管理してくれる供養方法」です。

永代供養には、骨壷からご遺骨を取り出して他の方のご遺骨と一緒に埋葬される合祀墓(ごうしぼ)、石碑などがある納骨スペースに、区画を分けて複数の方の骨壺を納めまる集合墓、建物の中にご遺骨を収蔵する納骨堂など、永代供養の種類は多岐に渡ります。

永代供養と永代使用は意味が異なる

「永代使用」という言葉がありますが、しばしば永代供養と混同されることがあります。永代使用とは、お墓を取得したときに、「寺院や霊園に対して永代使用料を支払って、墓地を永代に渡って使用する権利を取得すること」です。もし、お墓の承継者がいなくなり、永代使用料を支払えなくなった場合には、法律の定めに従って撤去され、遺骨は改葬されたり、共同のお墓に合祀されたりすることになります。

お墓の種類別「永代供養」の費用相場

タイプ別「永代供養」の費用

永代供養のお墓のことを「永代供養墓」といいますが、お墓のスタイルや場所、納骨方法などにより、主に「単独型」「集合型」「合祀型」の3つのタイプに分けられます。永代供養料は、寺院や霊園の場所、屋内か屋外か、納骨する人数、納骨スペースの大きさ、設備の充実度や環境などにより、同じタイプでも大きく変わってくるでしょう。永代供養料のほかに墓石代や墓誌や墓碑へ刻字する費用や、先祖代々のお墓を撤去する場合には、墓じまいの費用も必要です。

一般的な永代供養料の相場

タイプ お墓のスタイル・納骨方法 相場    
単独墓 一般的な墓石の墓。一定期間経過後に合祀される。 40万円程度
※他、墓石代など
集合墓 塔や樹木などの下に個別の納骨スペースが設けられている。一定期間経過後に合祀される。 20万円程度
※他、墓誌・墓碑刻字代など
合祀墓 共同墓・合同墓などとも呼ばれる。モニュメントの下に他の人の遺骨を合わせて合祀される 3~10万円
※他、墓誌・墓碑刻字料など
納骨堂 仏壇型やロッカー型、墓石型、稼働式、一人用、夫婦用、家族用など、種類や大きさで金額が変わる。一定期間経過後に合祀される。 10~100万円
※他、墓誌・墓碑刻字料など

単独墓・個別墓

単独墓・個別墓では、家系ごとに区画やシンボルとなる墓石や樹木があり、その下に遺骨を埋葬します。通常のお墓と同様の埋葬方法のため、永代供養ののなかでは最も丁寧な供養方法でしょう。13回忌や33回忌といった一定の期間が経過すると、集合墓や合祀墓に移される場合が多いです。

単独墓にかかる費用は、50万円~150万円でしょう。永代供養料が約40万円、墓石料が約50万円、納骨量が約5万円、刻字料が約3万円です。区画の面積や墓石の種類によって費用の幅が大きく、永代供養料とは別に管理費がかかる場合もあります。

集合墓

集合墓では、他の家系と区画もシンボルとなる墓石や樹木も共有して、地下の納骨するスペースは個別に分かれています。単独墓が戸建ての家だとしたら、集合墓はマンションのようなイメージでしょう。一定の期間を過ぎると合祀墓や納骨室など納骨スペースも共同のお墓へ移されます。

集合墓にかかる費用は、20万円~60万円でしょう。永代供養料が約20万円、納骨料が約5万円、刻字料が約3万円です。墓石料がかからないものの、納骨スペースの石碑やプレートによって費用に幅があり、永代供養料とは別に管理費がかかる場合もあります。

合祀墓・共同墓・合同墓・合葬墓

合祀墓では、他の家系と区画もシンボルとなる墓石や樹木、地下の納骨するスペースも共有します。共同墓、合同墓、合葬墓も同様のものです。単独墓や集合墓でも一定の期間が過ぎると合祀墓に移されますが、合祀墓に埋葬すると他の遺骨と混ざるため、二度と取り出したり、場所を移したりすることはできません。

合祀墓の費用は、5万円~30万円でしょう。永代供養料が約10万円、納骨料が約5万円、刻字料が約3万円です。納骨するスペースが共同であることや管理の手間がかからないことから、最も費用のかからない永代供養の方法だといえます。

永代供養と納骨堂の違い

永代供養と似た納骨施設として「納骨堂」というものがあります。「納骨堂」とは、遺骨を納めるための施設です。お墓とは異なり、墓石やシンボルはなく、屋内の施設の中に遺骨を納める棚などが備わっています。

一般的には、3回忌、13回忌、33回忌などの一定期間が経過すると永代供養墓に移されることが多いでしょう。しかし、核家族化や地方の過疎化にともなって納骨堂をお墓代わりとして利用されることも増えています。

屋内施設のためにお墓参りがしやすいことやお墓の利用期間に合わせて購入費用を調整できる点が特徴でしょう。一方で、最終的には合祀されたり、個別にお線香をたいたりすることが出来ないという注意点もあります。

永代供養をするときのポイント

永代供養をするときのポイント

永代供養を選択する際は、いくつか考えるべきポイントがあります。

まず、納骨の方法や期間についてです。合祀か個別か、納骨される場所はどこなのか、合祀されるまでの期間はどのくらいなのか、合祀後の墓はどんなものか、など、しっかりと確認するようにしましょう。

次に、納骨できる人数も重要です。一般墓と比較して安価に納骨ができる永代供養墓ですが納骨の人数によって費用が変わることもあります。また、犬・猫などのペットと一緒に納骨をしてほしい場合は、それが可能なのかどうか確認しておく必要があるでしょう。

基本的には墓参りや年忌法要が必要ない永代供養ですが、親族が墓参りをしたいと望んでいるならば、立地も考えなくてはなりません。親族が通いやすい場所にあるかどうかなど、きちんと話し合って決めましょう。

ほとんどの霊園では宗旨宗派を問われませんが、寺院によっては改宗が必要になる場合があります。その場合、入檀料が必要になる場合がありますが、そもそも自分自身がその宗教に改宗してもよいのかどうかを考える必要があります。
もし、何か特定の宗教への信仰を持っているなら、やはり信仰に合った場所を選ぶべきでしょう。

永代供養の注意点

永代供養の注意点

これまで、永代供養の特徴やポイントを解説しましたが、改めて注意しておくべき点をピックアップしておきます。永代供養をご検討されている方は、申し込み前にチェックしておきましょう。

合祀後は改葬・分骨できない

合祀を選んだ場合、その後改葬や分骨はできません。単独型や集合型、納骨堂など、個別に納骨するタイプでも、一定期間が過ぎてしまうと他の人の遺骨とともに合祀されることになります。一定期間の目安としては、年忌法要の33回忌が多いようです。合祀後には、特定の遺骨を取り出して改葬や分骨することができず、個別に墓参りすることができなくなります。

お墓や供養に対する意識が多様化してきたとはいえ、「お墓参りはきちんとしたい」、「先祖代々のお墓を大切にしたい」、「合祀ではなく、個人へお参りをしたい」など、永代供養についてまだまだ否定的な方も多くいらっしゃいます。
永代供養を検討する際にも、きちんと親族と話し合うようにしましょう。

人数などによっては永代供養の方が高くなることも

また、利点として永代供養は一般墓と比べ安く抑えられると紹介をしましたが、場合によってはかえって高くなることがあるので注意が必要です。家族なども一緒に納骨する場合には、人数ごとに永代供養料が加算されたり、納骨スペースの広さも必要になったりするので、自身の場合は永代供養と一般墓、どちらの方が費用が抑えられるのか、しっかりと確認する必要があります。
そのほか寺院によって違いますが、生前に申し込んだ場合管理料などを取られてしまうことがあります。

自身が亡くなった後のことを家族と話し合うのは少々デリケートな問題ですが、きちんと話し合わなければ後々大きな問題がでてきてしまいます。契約をする前に時間を見つけて、しっかりと夫婦や家族、親族で話し合っておくと安心です。

永代供養の手続き・支払い方法

永代供養の手続き方法

永代供養をする場合の申し込み方法や納骨までの流れは、知っておきたいポイント。家族が亡くなった後だけでなく、生前予約や、今あるお墓を墓じまいして改葬することも可能です。それぞれの場合の手続き方法について紹介します。

申し込み・支払い・納骨までの流れ

まず、条件に合う寺院や霊園を検索し、資料請求を行います。その後、現地見学を行い、気に入れば申し込み、契約へと進みます。
申し込みの際は、費用の内訳や購入手続き方法、また供養の内容や利用条件などをしっかりと確認するようにしましょう。契約をしたら、永代供養料など必要な支払いをし、納骨となります。

生前予約した場合

生前予約をした際は、購入後に生前予約したという証明書を発行してもらえます。本人が死亡した時に領収書や証明書が見当たらず、トラブルになる場合があります。
永代供養の生前予約をした場合は、家族や親族に生前予約したことと、証明書の保管場所を伝えて大切に保管しておきましょう。

墓じまいする場合

墓じまいして改葬する場合は、まずお墓のある寺院・霊園に改葬の意思を伝える必要があります。改葬先を決定し、購入したら、改葬先に「受入証明書」を発行してもらい、お墓のある自治体に「改葬許可申請書」と「埋葬証明書」、「受入証明書」を提出し、「改葬許可証」を発行してもらいましょう。

その後、「お魂抜き(閉眼法要)」を行い、お墓の撤去をし、改葬先に納骨をする流れになります。
いずれにしても、勝手な判断や思い込みで対応してはいけません。現在の寺院・霊園と移転先の寺院・霊園にはきちんと説明を受けて、手順と対応方法を確認しましょう。

まとめ

永代供養は最近人気が高まっていますが、家族の間でもお墓や供養についての想いには違いがあります。また費用も様々で、永代供養墓の種類によっては注意事項もあるので事前にしっかりと確認しておきましょう。

いつかは必ず訪れる、お墓や供養の問題。自身の人生としてもご家族の人生としても、安心して供養ができるように、話し合って納得のできるお墓選びをしてください。

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