ボーナスが少ない理由とは?平均支給額や少ないときの対処方法を解説

ボーナスが少ないのは、企業の業績や個人の評価が芳しくないことが原因かもしれません。また、そもそもボーナスの水準が低い業界に在籍している可能性もあります。今回はボーナスの平均支給額や支給額が少ない時の対処方法などを紹介します。福利厚生の手厚さや転職という選択肢まで視野を広げてみましょう。

ボーナスが少ない理由とは?平均支給額や少ないときの対処方法を解説

民間企業のボーナス平均額は冬39万円・夏38万円

民間企業のボーナス平均額は冬39万円・夏38万円

まずは、民間企業のボーナス平均額についてみていきましょう。厚生労働省が行っている「毎月勤労統計調査」によると、2022年夏のボーナスの支給額の平均は38万9,331円でした。また、同年の冬のボーナスの平均支給額は、39万2,975円となっています。(いずれも事業所規模5人以上が対象)

つまり、民間企業では会社員一人あたり、年に平均約78万円のボーナスをもらっていることになります。

【参考】厚生労働省「毎月勤労統計調査令和5年2月分結果速報等」 詳しくはこちら
【参考】厚生労働省「毎月勤労統計調査令和4年9月分結果速報等」 詳しくはこちら

ボーナスの多い・少ない業界ランキング

どの業種も同じように平均的な額のボーナスを支給されているわけではありません。同じく、厚生労働省の「毎月勤労統計調査」の結果をもとに、業種別のボーナス平均支給額をみていきましょう。
以下の表は、2022年の冬のボーナスの支給状況を業種別に示したものです。

最もボーナスの高い業界は「電気・ガス業」(80万5,880円)、次いで「情報通信業」(66万2,768円)「学術研究等」(63万4,606円)の順となっています。

2022年冬のボーナスの支給状況

産業 一人当たりの平均支給額(円) 前年比(%)
鉱業,採石業等 54万4,459円 ▲7.4
建設業 49万8,569円 1.6
製造業 51万4,074円 2.4
電気・ガス業 80万5,880円 1.4
情報通信業 66万2,768円 ▲1.2
運輸業,郵便業 39万812円 18.8
卸売業,小売業 36万5,502円 6.2
金融業,保険業 62万1,410円 ▲0.7
不動産・物品賃貸業 55万4,675円 11.1
学術研究等 63万4,606円 6.8
飲食サービス業等 6万7,605円 20.5
生活関連サービス等 16万4,324円 28.7
教育,学習支援業 53万7,569円 3.3
医療,福祉 30万9,224円 0.3
複合サービス事業 45万5,815円 ▲3.5
その他のサービス業 21万7,774円 ▲2.0
調査産業計 39万2,975円 3.2

【参考】厚生労働省「毎月勤労統計調査令和5年2月分結果速報等」 詳しくはこちら

ボーナスの多い・少ない都道府県ランキング

ボーナスの多い・少ない都道府県ランキング

ボーナスの支給額には地域差もあります。厚生労働省の調査によると、都道府県ごとの年間賞与とその他特別給与の金額は、以下の通りです。

年間賞与とその他特別給与の金額の上位5都道府県

都道府県 支給額の平均
東 京 112.9万円
愛 知 102.7万円
神奈川 96.2万円
大 阪 95.4万円
滋 賀 90.9万円

年間賞与とその他特別給与の金額の下位5都道府県

都道府県 支給額の平均
沖 縄 49.5万円
青 森 59.7万円
宮 崎 61.1万円
鳥 取 62.6万円
山 形 62.6万円

【参考】厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況」 詳しくはこちら
【参考】都道府県別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(47都道府県一覧)詳しくはこちら

年間賞与とその他特別給与の金額をボーナスと捉えると、もっとも高いのは東京都でした。東京都のボーナスの金額の平均は、約113.0万円です。
一方、もっともボーナスの低い都道府県は、沖縄県の49.5万円であり、東京都の2分の1以下となっています。

ボーナスが少ない理由

ボーナスが少ない理由

ボーナスが少ない理由としては、以下が考えられます。

●会社の業績が良くないから
●個人の評価が良くないから
●業界や地域によって賃金の水準が低いから
●基本給・福利厚生・退職金が手厚いから

1つずつみていきましょう。

会社の業績が良くないから

そもそもボーナスは、会社の利益を社員に還元するものです。ボーナスを支給するためには、会社の業績がよく、利益を上げていなければなりません。
個人がどれだけ仕事を頑張っていたとしても、会社が経営判断を誤り利益が少なかったのであれば、ボーナスの支給額は少なくなってしまうでしょう。

また、社会的な事情で経営に打撃を受けたことで、ボーナスの支給額が減ってしまうケースもあります。

例えば、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による外出活動や営業活動の自粛で売上が大幅にダウンし、ボーナスの支給額が大幅に減少した会社は少なくありませんでした。

個人の評価が良くないから

企業によっては、査定期間内で挙げた個人の業績や身に付けた資格・能力などを評価してボーナスの支給額を決定します。
期首に定めた目標を達成できなかった場合や、取得予定であった資格やスキルなどが得られていなかった場合、ボーナスは少なくなってしまうでしょう。

また「遅刻が多い」「上司や同僚への接し方に問題がある」など、個人の行動内容がボーナスの支給額に影響することもあります。

業界や地域によってボーナスの支給額の水準が低いから

飲食サービス業をはじめとしたボーナスの水準が低い業界で働いている場合、支給額が少なくなる可能性があります。

厚生労働省によると、2022年冬のボーナスの平均支給額がもっとも低いのは飲食サービス業の6万7,605円です。平均支給額がもっとも高い電気・ガス業(80万5,880円)とは、約73.8万円もの差があります。

【参考】厚生労働省「毎月勤労統計調査令和5年2月分結果速報等」 詳しくはこちら

また、ボーナスの支給額の水準が低い地域で働いている可能性も考えられます。年齢や性別などが同じであっても、働く業界や勤め先があるエリアによっては、ボーナスの支給額が少なくなることがあるのです。

基本給が高い・福利厚生制度が手厚いから

企業は得られた利益の中から、従業員に支払う給与や福利厚生制度を運営するための予算などをどのように分配するかを決めなければなりません。

基本給を高くしたり福利厚生制度を手厚くしたりする形で、企業の利益を従業員に還元している企業は、ボーナスの支給額が少なくなることがあります。ボーナスの金額だけでなく、視野を広げると、その他の部分トータルで社員に利益還元している企業も多いです。

ボーナスの額を事前に把握する方法は?

ボーナスの額を事前に把握する方法は?

以上、民間企業における業界別ボーナス平均支給額、都道府県別のボーナス支給額ランキングについてみてきました。
みなさんのボーナスは、平均支給額を上回っていたでしょうか? それとも下回っていたでしょうか?
もしかしたら、ボーナスが多い業界なのに「なぜ、うちは支給額が少ないのか?」と疑問に思った方もいるかもしれません。

そもそもボーナス制度の採用は任意であり、法律で企業に義務づけられているわけではありません。よって、その支給額の規定も企業によってさまざまです。

また、同じ業界に属していても会社の業績次第でボーナスが減額されているケースも多く、ボーナス支給額が上位の業界の会社に就職すれば、必ずボーナスをたくさんもらえる、というわけではありません。

転職・就職する際は、いざ入社してからボーナスの少なさに困らずに済むよう、志望している企業がどのような方法でボーナスを支給しているのか、その目安はいくらぐらいかを確認したうえで入社するようにしましょう。

日本では主に次の3つの方法でボーナスの支給額が決められるケースが多いので、参考にしてください。

・給与の●ヶ月分を支給する

給与の基本給を基準額として支給する方法で、多くの企業が採用しています。何ヶ月分支給されるのかは、全体の業績などに応じて企業側が決定します。

・全員に一律の金額を支給する

「一律10万円を支給」など、対象となる社員に一律で同じ金額を支給するケース。新入社員や中途入社の社員など勤務年数の少ない社員を対象に一律同額でボーナスを支給するケースがよく見られます。

・給与の●ヶ月分+個人の業績に応じた金額を支給する

個人の業績に応じてボーナスの額を決める方法。頑張った成果が収入に直接反映されるので、社員のモチベーションの維持にも有効な方法です。

多くのボーナスを手にする方法

多くのボーナスを手にする方法

より多くのボーナスを受け取りたいのであれば、以下の方法が選択肢としてあげられます。

1.個人評価や会社の業績を上げる

ボーナスを上げたいのであれば、まずは個人の評価を高めるように努めることが大切です。定められた目標を大きく上回る成果を上げたり、予定よりも多くの資格を取得したりすると、より多くのボーナスを得られる可能性があります。

個人の評価を上げてボーナスの支給額を増やしたい時は、勤務先の人事評価制度を確認しておきましょう。人事評価制度や給与規定を確認し、支給額の算出方法や影響する要素などを把握しておけば、ボーナスを増やすためにどのような努力をすればよいかが分かりやすくなります。

ボーナスの支給規定や個人の評価基準がよく理解できない時は、人事部門や先輩、上司に相談をすることが大切です。

2.ボーナスの多い会社に転職する

現在勤めている企業であまりボーナスを増やせる見込みがないのであれば、転職を視野に入れるのも一案です。

求められるスキルや能力などが同じであっても、企業によってボーナスの支給額は異なります。インターネットの転職サイトを確認したり、転職エージェントに相談をしたりして、より多くのボーナスが期待できる企業に転職できないか検討してみるとよいでしょう。

特に、転職エージェントに相談をすると、転職を希望する企業に給与やボーナスの希望を伝えてもらい、交渉をしてもらえることがあります。履歴書の添削や模擬面接などさまざまなサポートを利用できるため、転職の経験が少ない人でも安心して転職活動に臨めます。

3.副業を始めて「自分ボーナス」を作る

職場で認められている場合は、副業や週末起業をして給与以外の収入を増やし、それをボーナスとして活用する方法があります。

副業を始めるのであれば、クラウドソーシングに登録をするのも方法です。クラウドソーシングでは、ライティングやデータ入力、営業、システム開発、翻訳など、さまざまな種類の仕事が募集されています。
自分自身のスキルや趣味などを活かせる副業が見つかるかもしれません。

少ないボーナスでもしっかり貯まる!少額から始められる資産運用は?

少ないボーナスでもしっかり貯まる!少額から始められる資産運用は?

では、すでに今現在、ボーナスの少ない企業で働いている人は、どうすればボーナスを有効に活用することができるのでしょうか? 結論から言うと、ボーナスが少なくてもその気になれば、貯金や資産運用をすることは可能です。

ここでは、ボーナスを活用して資産運用を始める時のポイントを解説します。

1.ボーナス払いで無計画な散財をしない

ボーナス払いとは、クレジットカードで買い物をした際の代金がボーナス支給月の翌月に引き落とされる決済方法のこと。

買い物をする時点で口座にお金がなくても、ボーナスで支払えるというメリットがあり、電化製品など比較的高額の買い物をする際に利用する人が多いようです。また、ボーナス払いを利用しても基本的に手数料はかかりません。

しかし、ボーナス払いはボーナスの前借りです。ボーナス払いで買い物をすればするほど、手元に残るボーナスは少なくなってしまいます。

無計画に利用すると、ボーナスを貰う前に全額使ってしまっていた……という事態に陥るかもしれません。貯金や資産運用をする分まで使ってしまわないよう、ボーナス払いを利用する時は充分に計画を立てることが大切です。

2.ボーナスで毎月の赤字を補填する生活をやめる

毎月の生活費が不足する度にカードローンを使い、ボーナスをその返済に当てている人もいます。

この場合も「ボーナス払い」と同じく、ボーナスを前借りして使ってしまうことになります。いざボーナスが支給されても「ローンの支払いをしたら、手元にはほとんど残らない」ということになりかねません。

まずはボーナスありきの生活を改めて、毎月の支出を見直し、月々の予算内で生活するように心がけましょう。

3.NISAで資産運用を始める

低金利の現代では、ボーナスを預貯金口座に預けていてもあまり利息収入は期待できません。そのため、預貯金のみでは老後生活や子供の進学、マイホームの購入などのライフイベントに向けた資金が思うように貯められない可能性があります。

そこで、ボーナスの一部を用いて、将来のために資産運用を始めるのも1つの方法です。投資信託や株式などの金融商品に投資をすることで、より効率的に資産が形成ができる可能性があります

金融商品で資産形成をする時は、NISAを活用するとよいでしょう。NISAとは、金融商品の投資で得られた利益に税金がかからなくなる制度のことです。

投資信託や株式などに投資をして得られた売却益や配当などには、約20%の税金がかかります。しかし、NISA口座で商品を取引していたのであれば、運用益を得ても税金はかかりません。

2024年1月からは新しいNISAが開始され、1年間で新規投資できる金額が従来のNISAよりも増える予定です。また、非課税で運用できる期間は無期限になるため、NISA口座で購入した商品をどのタイミングで売却しても、利益に税金がかからなくなります。

ただし、投資はリスクをともなうため、元本割れとなる可能性もあります。NISAを活用して資産形成を始める時は、金融機関やファイナンシャル・プランナーなどに相談し、投資のリスクをよく理解したうえで自分自身に合った商品を選ぶことが大切です。

まとめ

民間企業のボーナスの平均支給額は年間約78万円(夏38万9,331円、冬39万2,975円)です。ただし、年齢や業界、地域などで支給額は大きく変わります。また、企業によって支給額や方法は異なるので、就職・転職の際は必ず確認しましょう。

ボーナスが少ないと感じるのであれば、仕事を頑張って個人の評価や会社の業績を上げるのも1つの方法です。現在の職場でボーナスのアップが見込めないのであれば、転職を検討するとよいでしょう。また、副業や週末起業で収入を増やす方法もあります。

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