うちのボーナス、少ない?ボーナスの平均支給額とその賢い活用法とは?

ボーナスシーズンになると、自分のボーナスが世間一般に比べて多いのか・少ないのかが気になる人もいるのではないでしょうか。今回はボーナスの平均支給額をはじめ、ボーナスに関するさまざまなデータを紹介。ボーナスを活用して貯蓄を増やす方法も併せて紹介します。

うちのボーナス、少ない?ボーナスの平均支給額とその賢い活用法とは?

民間企業のボーナス平均額は冬39万円・夏38万円

民間企業のボーナス平均額は冬39万円・夏38万円

まずは、民間企業のボーナス平均額についてみていきましょう。厚生労働省が行っている「毎月勤労統計調査」によると、2018年冬のボーナスの平均支給額は、38万9,926円、2019年夏のボーナスの支給額の平均は38万1,520円でした(いずれも事業所規模5人以上が対象)。つまり、民間企業では会社員一人当たり、年に平均約77万円のボーナスをもらっていることになります。

【参考】厚生労働省「毎月勤労統計調査平成31年2月分結果速報等」 詳しくはこちら
【参考】厚生労働省「毎月勤労統計調査令和元年9月分結果速報等」 詳しくはこちら

最もボーナスが少ないのは「宿泊・飲食サービス業」

とはいえ、どの業種も同じように平均的な額のボーナスを支給されているわけではありません。同じく、厚生労働省の「毎月勤労統計調査」の結果をもとに、業種別のボーナス平均支給額をみていきましょう。以下の表は、2019年の夏のボーナスの支給状況を業種別に示したものです。最も高いのが「電気・ガス業」(77万9,700円)、次いで「情報通信業」(67万9,098円)、「学術研究等」(66万402円)の順となっています。

2019年夏のボーナスの支給状況

産業一人当たりの
平均支給額(円)
前年比(%)
鉱業・採石業57万5,709円23.8%
建設業51万3,611円▲2.0%
製造業51万5,799円▲1.1%
電気・ガス業77万9,700円5.7%
情報通信業67万9,098円▲2.0%
運輸業・郵便業36万7,721円▲5.3%
卸売業・小売業33万9,683円▲1.1%
金融業・保険業60万7,594円10.0%
不動産・物品賃貸業44万7,369円11.3%
学術研究等66万402円4.2%
飲食サービス業等6万2,888円▲10.4%
生活関連サービス等15万9,473円▲1.6%
教育・学習支援業50万5,637円▲1.5%
医療・福祉27万6,147円2.2%
複合サービス事業42万9,742円▲3.8%
その他のサービス業20万8,834円▲3.7%
調査産業計38万1,520円▲1.4%

地方公務員で最もボーナスが少ないのは「鳥取県」

ボーナスの支給額には地域差もあります。民間企業については公式な調査結果がないので、参考となる指標として、地方公務員のボーナスについての地域差をみてみましょう。地方公務員のボーナスは各地域の民間企業のボーナスなどを参考に、各自治体が就業規則で定めています。
総務省が発表した「地方公務員の期末手当・勤勉手当支給状況」によると、2017年(平成29年)度の職員一人当たりの期末手当・勤勉手当(ボーナス)の平均支給額が最も多かったのは東京都で、職員一人当たり平均約181万8,400円が支給されています。一方、最も少なかったのは鳥取県で、職員一人当たりの平均支給額は約146万5,200円でした。

支給額が多かった都道府県ベスト5※

都道府県支給額
東京都181万8,400円
愛知県177万7,600円
静岡県176万6,000円
滋賀県176万4,200円
福島県175万7,000円

支給額が少なかった都道府県ワースト5※

都道府県支給額
鳥取県146万5,200円
島根県153万9,800円
青森県154万8,800円
高知県155万8,600円
沖縄県156万1,400円

※職員一人当たりのボーナス支給額

【参考】総務省「給与・定員等の調査結果等」 詳しくはこちら

ボーナスの額を事前に把握する方法は?

ボーナスの額を事前に把握する方法は?

以上、民間企業における業界別ボーナス平均支給額、地方公務員の都道府県別ボーナス平均支給額についてみてきました。みなさんのボーナスは、平均支給額を上回っていたでしょうか? それとも下回っていたでしょうか? もしかしたら、ボーナスが多い業界なのに「なぜ、うちは支給額が少ないのか?」と疑問に思った方もいるかもしれません。

そもそもボーナス制度の採用は任意であり、法律で企業に義務づけられているわけではありません。よって、その支給額の規定も企業によってさまざまです。また、同じ業界に属していても会社の業績次第でボーナスが減額されているケースも多く、ボーナス支給額が上位の業界の会社に就職すれば、必ずボーナスをたくさんもらえる、というわけではありません。いざ入社してからボーナスの少なさに困らずにすむよう、就職・転職の際には目当ての企業がどのような方法でボーナスを支給しているのか、その目安はいくらぐらいかを確認した上で入社するようにしましょう。日本では主に次の3つの方法でボーナスの支給額が決められるケースが多いので、参考にしてください。

・給与の●ヶ月分を支給する
給与の基本給を基準額として支給する方法で、多くの企業が採用しています。何ヶ月分支給されるのかは、全体の業績などに応じて企業側が決定します。

・全員に一律の金額を支給する
「一律10万円を支給」など、対象となる社員に一律で同じ金額を支給するケース。新入社員や中途入社の社員など勤務年数の少ない社員を対象に一律同額でボーナスを支給するケースがよく見られます。

・給与の●ヶ月分+個人の業績に応じた金額を支給する
個人の業績に応じてボーナスの額を決める方法。頑張った成果が収入に直接反映されるので、社員のモチベーションの維持にも有効な方法です。

少ないボーナスでもしっかり貯まる!少額から始められる資産運用は?

少ないボーナスでもしっかり貯まる!少額から始められる資産運用は?

では、すでに今現在、ボーナスの少ない企業で働いている人は、どうすればボーナスを有効に活用することができるのでしょうか? 結論から言うと、ボーナスが少なくてもその気になれば、貯金や資産運用をすることは可能です。ただし、それには条件が2つあります。

ボーナス払いで買い物をしない

まず1つめの条件は、「ボーナス払いで買い物をしないこと」。ボーナス払いとは、クレジットカードで買い物をした際の代金がボーナス支給月の翌月に引き落とされる決済方法のこと。買い物をする時点で口座にお金がなくても、ボーナスで支払えるというメリットがあり、電化製品など比較的高額の買い物をする際に利用する人が多いようです。しかし、ボーナス払いはボーナスの前借りなので、当たり前ですが、ボーナス払いで買い物をすればするほど、手元に残るボーナスは少なくなってしまいます。気がつけば、ボーナスを貰う前に全額使ってしまっていた……という事態に陥るケースも珍しくありません。貯金や資産運用をする分までボーナス払いで使ってしまわないよう、十分注意しましょう。

ボーナスで毎月の赤字を補填する生活をやめる

毎月の生活費が不足する度にカードローンを使い、ボーナスをその返済に当てている人もいます。この場合も「ボーナス払い」と同じく、ボーナスを前借りして使ってしまうことになるので、いざ支給されても「ローンの支払いをしたら、手元にはほとんど残らない」ということになってしまいます。まずはボーナスありきの生活を改めて、毎月の支出を見直し、月々の予算内で生活するように心がけましょう。

「つみたてNISA」なら少額からでも運用可能

ボーナス払いやボーナスでのローン返済を極力減らして、手元にボーナスが残ったら、将来のために資産運用を始めてみてはいかがでしょうか。ここでは、比較的低リスクで、少額から始められる資産運用の方法として、今話題の「つみたてNISA」をご紹介します。

<つみたてNISA>
つみたてNISA(ニーサ)は、長期の積立・分散投資を通じた資産形成を後押しするために、2018年1月に創設された税制優遇制度です。つみたてNISAの始め方は、以下のとおりです。

① つみたてNISAの取り扱いがある金融機関で専用口座を開設する
② 投資したい投資信託を選ぶ
③ 入金して積立設定をする(月々の積立金額を決める)


月々の最低積立額は金融機関によって異なりますが、中には月100円から積み立てられるところもあり、「ボーナスが少ない」という人にも始めやすいといえるでしょう。しかも年間40万円までは非課税で投資できるので、ボーナスをもらったら、40万円以下のまとまった金額を、まずはNISAの口座に入れておき、その中から適宜積み立てるようにするとよいでしょう。つみたてNISAの投資対象になっている投資信託は、いずれも金融庁の厳しい基準をクリアした比較的リスクが低いものに限定されています。ただし、リスクはゼロではなく、最悪の場合は元本割れの可能性もあることを理解した上で、投資するようにしてください。どの投資信託を選べばよいかわからない人・不安な人は金融機関の担当者に相談するとよいでしょう。

ボーナスを増やすなら、転職や副業も視野に

ボーナスを増やすなら、転職や副業も視野に

「やはり、もっとボーナスがほしい!」という人は、次にあげる3つの方法を検討してみてください。

1 業績を上げる

ボーナスに個人の業績が反映される場合は、業績を上げることがボーナスの額を増やす一番の方法です。
日々の業績を上げる努力をし、その成果を目に見える形で人事考課の担当者にアピールしましょう。

2 副業などで「自分ボーナス」を作る

職場で認められている場合は、副業や週末起業をして給与以外の収入を増やし、それをボーナスとして活用しましょう。ただし、増えた収入をその分使ってしまっては意味がありません。貯蓄や資産運用に回しましょう。

3 転職する

業績がボーナスに反映されない場合、副業が禁止されている場合は、転職を視野に入れるのも一案です。転職先を探す際には、ボーナス支給の仕組みや目安の確認を忘れずに。転職エージェントを活用して、給与やボーナスについての希望を伝え、協議・納得した上で入社する方法もあります。

まとめ

民間企業のボーナスの平均支給額は年間約77万円(冬39万円、夏38万円)です。業界や地域によって、大まかな傾向はわかりますが、個々の企業によって支給額や方法は異なるので、就職・転職の際は必ず確認しましょう。副業や週末起業で収入を増やし、増えた分をボーナスとみなして活用するのもよいでしょう。ただし、ボーナスが少なくても、普段の生活を見直せば、貯蓄や資産運用をすることは可能です。つみたてNISAなど少額でもできる資産運用をはじめ、今の自分にできる範囲で将来への備えをすることが大切です。

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