要注意!住宅ローン借換えを検討すべき基準やタイミングを徹底解説

住宅ローンの借り換えには返済額を減らしたり、金利タイプの変更ができたり、メリットがある一方、注意点もあります。そこで本記事では住宅ローンの借り換えをする際の注意点とともに借り換えを検討すべき基準やタイミングなどについて解説します。

要注意!住宅ローン借換えを検討すべき基準やタイミングを徹底解説

住宅ローンを借り換える時の注意点

住宅ローンを借り換える時の注意点

住宅ローンの借り換えをする主な目的としては、「返済額の減額」「金利上昇のリスク対策」「団体信用生命保険の充実」などが挙げられます。これらの目的のために住宅ローンを借り換える上での注意点を解説します。

返済額を減らしたい場合

住宅ローンの借り換えで最も多い理由は、ローンの金利をより低くし毎月の返済額を下げるためです。毎月の住宅ローン返済額が下がれば、長期的な負担を軽減することができます。しかし返済額をできるだけ減らすには以下のことに注意することが重要です。

1.複数の銀行を比較して金利の低いところを選ぶこと
2.諸費用も含めて返済シミュレーションを行うこと

住宅ローンの借り換えを検討する際、普段よく利用する銀行や近所の銀行に真っ先に足を運びたくなるかもしれませんが、そこが一番安い金利とは限りません。借入額が大きな住宅ローンでは小さな金利の違いも大きな負担につながるので、複数の銀行の情報を集めて、金利が低いところを比較検討しましょう。

ただし、その際に注意すべきなのは金利だけに注目して、その他の諸費用を見逃してしまうことです。住宅ローンの借り換え時にはそれなりに大きな諸費用が必要になります。たとえ金利が下がったとしても、諸費用込みで考えると今までのローンと総コストは変わらない、あるいは高くなってしまうこともあるかもしれません。
したがって、金利だけでなく諸費用も含めてシミュレーションを行い、本当に返済総額が減るのか確認することが大切です。
このほか、返済期間の延長によっても月々の返済額を減額することができますが、対応している金融機関が限られていたり、条件が厳しかったりすることでうまくいかないことが多いようです。

金利上昇のリスクに備えたい場合

金利上昇のリスクに備えたい場合

住宅ローンの借り換えに際しては、金利上昇のリスクに備えて金利タイプを変更したい方もいるでしょう。昨今の不安定な社会情勢を思えば、今後の金利上昇リスクを警戒して、変動金利から固定金利へ変更する方が賢明かもしれません。
たとえば日本銀行がマイナス金利政策を修正することがあれば、住宅ローンの金利も上昇すると考えられます。

変動金利から固定金利に借り換える場合の注意点は、返済コストの上昇です。一般に固定金利は同時点の変動金利よりも高い利率に設定されているので、月々の返済額(金利額)は高くなります。将来的に急激な金利上昇が起きた場合は固定金利の方が有利になる可能性もありますが、それも確実ではありません。少なくとも短期的には支払いコストが増えることを覚悟しておきましょう。

固定金利からより金利の低い固定金利へ切り替える場合は、先述したように諸費用込みでの返済総額などを計算することが重要です。また、急いで借り換えをするよりも、金利が底値になったと判断できるまで待った方がいいかもしれません。

逆に固定金利から変動金利に切り替える場合は、将来の金利上昇リスクについても視野に入れ、余裕のある返済計画を立てましょう。

団体信用生命保険を充実させたい場合

団体信用生命保険(団信)の充実を目的に住宅ローンの借り換えをするケースも考えられます。団信とは、債務者が亡くなったときや、重度の障がいなどを負った際に住宅ローンの返済を免除するための保険です。団信は住宅ローン契約後に変更できませんが、最近はその保険内容も充実してきていますので、この目的でローン借り換えを検討する人も増えています。

ただし、団信に加入する際には、直近の健康状態を申告することが必要です。その結果や年齢状況によっては、希望の団信に加入できない可能性があるので注意しましょう。また、団信に特約をつけると、その分の保険料として住宅ローン金利に若干上乗せされる場合があります。したがって、団信を充実させたい場合は、返済負担の上昇も考慮に入れることが大切です。

住宅ローンを借り換えるデメリット

住宅ローンを借り換えるデメリット

上記では住宅ローンを借り換える際の注意点を目的別に解説しましたが、住宅ローンの借り換えは、場合によっては損になることもあります。では、どんな場合に損をしてしまうのか、住宅ローンを借り換えることで起きうるデメリットについて紹介します。

住宅ローンの借り換えに諸費用がかかる

住宅ローンの借り換えに際しては、事務手数料をはじめとする諸費用が必要となります。これらの金額は金融機関によって変わりますが、数十万円の出費を要することも珍しくありません。したがって、借り換えによって総返済額が低くなるかどうかは、諸費用の出費も計算に入れることが必要です。なお、借り換え時に必要となる代表的な諸費用としては以下のものが挙げられます。

・事務手数料
・保証料
・抵当権の抹消費用および設定費用
・印紙税

住宅ローン控除を受けられなくなる

住宅ローンの借り換えによって、住宅ローン控除の適用対象から外れてしまうことも大きなデメリットです。住宅ローン控除は、完済期間が10年未満(もしくは条件に応じて13年未満)になると適用対象外になってしまいます。したがって、借り換え時に完済期間を短くすると、住宅ローン控除の適用対象外になり、税負担が重くなる可能性があります。

繰上げ返済手数料がかかる

住宅ローンを借り換えるということは、既存のローンを繰り上げ返済するということです。そして繰り上げ返済には一定の手数料がかかります。手数料の額は金融機関によって異なりますが、数万円程度必要になることもあります。先の諸費用と併せて返済総額の計算に加えましょう。

手続きが面倒

住宅ローンの借り換えの手続きなどにかかる労力もデメリットの一つです。借り換え先の金融機関を探し、金利や保険などの情報を調べ上げ、住民票などの必要書類を用意して住宅ローン審査に申し込むといった作業をこなすには、それなりの時間と労力がかかります。

しかも住宅ローン審査に必ず通るとは限りません。既存の住宅ローンの契約時より経済状況が悪化していたり、信用情報に問題があったりした場合は審査に落ちる可能性があります。こうした煩雑な手間をかけてまで借り換えする価値があるかについても考える必要があるでしょう。

借り換えの検討をすべき基準

借り換えの検討をすべき基準

これまで述べてきたように、住宅ローンの借り換えは場合によっては期待する効果を発揮できないことがあります。このような事態を防ぐためには、以下の基準を目安に借り換えの検討をするのがおすすめです。

借り換えによって金利が1%以上下がる

住宅ローンの総返済額は金利の影響を強く受けます。借り換え前後での金利差が1%以上あれば、返済負担を軽くする効果は高くなるでしょう。逆に金利差が0.5%以下など些細なものであれば、諸費用で相殺される部分が大きくなってしまうかもしれません。

住宅ローンの残高が1,000万円以上

利息負担は、ローン残高が多ければ多いほど総返済額に与える影響が大きくなります。逆にいえば、ローン残高がすでに少なくなっていれば、借り換えによって金利を低くしてもその効果は実感しにくくなるということです。
一般的には、金利差の影響が実感しやすいのはローン残高が1,000万円以上の場合とされています。

残りの返済期間が10年以上

住宅ローンの残りの返済期間も重要です。一般に返済期間が短ければ短いほど、利息負担は小さくなります。したがって、返済期間が残り10年を切った状態で借り換えを行っても、満足のいく節約効果は期待しにくいでしょう。

借り換えの検討をすべきタイミング

借り換えの検討をすべきタイミング

続いては、上記の基準を押さえたうえで借り換えの検討をすべきタイミングを解説します。

借り換えを考えるタイミングとしては、第一に金利の変動時期が挙げられます。変動金利の住宅ローンは、金融市場の状況と連動して利率が変わるので、住宅ローンの更新時期に従来よりも金利が上昇する場合があります。そのため、今後の金利が予想より高くなりそうであれば、自分の希望に合った金利の住宅ローンを探してみるといいでしょう。

また、金利状況以外にも自分の経済状況・生活状況に適したタイミングを選ぶのもポイントです。先述のように、借り換え時にもローン審査は行われるので、できるだけ返済能力を信用される状態であることが好ましいでしょう。

たとえば、自動車の購入などで高額のローンを組んだばかりであったり、転職直後で収入が安定していない状態であったりすると、審査時にマイナスになりかねません。したがって、住宅ローンの借り換えは、他のローンを組んだり転職をしたりする前に済ませておくのがおすすめです。

借り換えができない場合がある?!

借り換えができない場合がある?!

審査があるからには、借り換え時に住宅ローンの申請が却下されるケースもあります。

同一金融機関内での借り換えはできない

同一の金融機関内での住宅ローン借り換えは許可されません。たとえば自分が契約している銀行から以前契約したときよりも良い条件の住宅ローンを出されたとしても、それに切り替えることはできないということです。
ただし、その銀行が提供している通常のローンからフラット35に切り替えることは可能な場合もあります。これはフラット35の場合、その貸付の大元は住宅金融支援機構であり、銀行はその代理店にすぎないからです。

返済能力が懸念される場合

次に挙げられるのは、借入人の返済能力に不安がある場合です。借入額に対して収入が少ないと判断された場合は審査に落ちる可能性があります。基本的に住宅ローンを借りる際には、年収に対して年間返済額の割合(返済比率)を25%~30%以下に抑えることが必要です。
もちろん、この割合はぎりぎりクリアすればいいというものではありません。審査時に有利になるためにも、生活を安定させるためにも、年収に対する返済比率はできるだけ抑えることが望ましいです。

先述した「他のローンの借り入れ直後や転職直後は避けた方がいい」というのも、この返済能力や返済比率と関係しています。他のローンの延滞履歴があるなど、信用情報に傷がある場合も審査時に不利になります。

その他では、団信との関係で健康状態に問題がある場合や、物件価値が著しく低下しているような場合にも審査で引っかかることがあります。いずれにしても、借り換えの申し込みが必ず通るとは限らないことは留意しておきましょう。

まとめ

住宅ローンの借り換えには、金利コストの軽減などのメリットが見込める一方、十分に検討しないと、むしろ負担が増えるなど逆効果に終わる可能性があります。したがって、住宅ローンの借り換えを行う際には、その借り換えによって本当に自分の目的が達成できるのか入念に情報収集したりシミュレーションしたりすることが大切です。

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