最大50万円が受け取れる「すまい給付金」を徹底解説!
住宅取得は、人生の三大資金のひとつともいわれるほど、大きな金額が必要になります。そのため複数の支援制度が用意されていますが、いずれの制度も自分から申請が必要なため、制度をしっかりと理解して活用したいところです。ここでは最大50万円が受け取れる「すまい給付金」について、その仕組みや対象者、申請方法を解説します。
「すまい給付金」ってなに?
すまい給付金は、消費税が5%から8%へと引き上げられた2014年、消費税率引上げによる住宅取得者の負担を緩和するために創設された制度です。
さらに、2019年10月に消費税率が10%へ引き上げられた際には、住宅取得について下記の4つの支援策が打ち出されました。
・住宅ローン減税の控除期間が13年間
・すまい給付金は最大50万円
・贈与税非課税枠は最大1,500万円
・次世代住宅ポイント制度
このうち、「住宅ローン減税」は、消費税率10%が適用される住宅の取得等については、2020年12月31日までに居住した場合は、控除期間を13年間に拡大することで、増税による負担分を軽減するという支援が打ち出されました。
すまい給付金は住宅ローン減税との併用も可
しかし、この住宅ローン減税は住宅取得者が支払っている所得税と住民税からローン残高の1%分が控除される仕組みのため、収入が低いなどの理由で、そもそもの納税額が少ないという人は負担軽減の効果が小さくなります。
そのため、住宅ローン減税による負担軽減効果が十分でない人に対して作られた制度が「すまい給付金」です。収入に応じて最大で50万円の現金を受け取ることができ、住宅ローン減税と併用することができます。
すまい給付金の対象となる人とその条件は?
では、すまい給付金の対象者とその条件を確認していきましょう。
対象となるのは、下記の条件に当てはまる人です。
・住宅の所有者(不動産登記上の持分保有者)
・住宅の居住者(住民票において、取得した住宅への居住が確認できる者)
・収入額の目安が775万円以下(消費税10%の場合)
※ 夫婦(妻は収入なし)及び中学生以下の子どもが2人のモデル世帯において住宅取得する場合の夫の収入額の目安。
・住宅ローンを利用しない現金取得者の場合は、年齢が50歳以上
50歳未満の場合は住宅ローンを利用していることが条件となっていて、その住宅ローンについては、以下の3点を満たすことが必要です。
・自ら居住する住宅の取得のために必要な借入金であること
・償還期間が5年以上の借入れであること
・金融機関等からの借入金であること
(住宅ローン減税の対象となる住宅ローン貸出金融機関と同じ)
また、すまい給付金は下記のような住宅の質に関する要件を満たし、消費税の課税対象となる物件が対象です。そのため、消費税が非課税とされている個人間売買の中古住宅は対象となりません。
給付対象となる住宅の要件
給付対象となる要件は、新築か中古か、また住宅ローンを利用するか現金で取得するかなどで以下のように要件が変わります。
住宅ローン利用者の要件
新築住宅 | 中古住宅 | |
---|---|---|
床面積 | 50㎡以上 | 50㎡以上 |
品質要件 | 工事中の検査により品質が確認された次の住宅 1. 住宅瑕疵担保責任保険に加入 2. 建設住宅性能表示制度を利用等 |
売買時等の検査により品質が確認された次の住宅 1. 既存住宅売買瑕疵保険に加入 2. 既存住宅性能表示制度を利用 (耐震等級1以上のもの) 3. 建築後10年以内で建築時に住宅瑕疵担保責任保険に加入または建設住宅性能表示制度を利用 |
上記の住宅ローン利用者の要件に加えて、現金取得者は以下の追加要件もあります。
現金取得者の追加要件
新築住宅 | 中古住宅 | |
---|---|---|
年齢 | 50歳以上 (住宅を引き渡された年の12月31日時点) |
50歳以上 (住宅を引き渡された年の12月31日時点) |
収入額 | 収入額の目安が650万円以下 (都道府県民税の所得割額が13.30万円以下) |
収入額の目安が650万円以下 (都道府県民税の所得割額が13.30万円以下) |
すまい給付金はいくらもらえる?
対象となった場合、すまい給付金はいくらもらえるのでしょうか?
給付額は、住宅取得者の収入により決まる給付基礎額と持分割合によって決定されます。
収入は市区町村が発行する個人住民税の課税証明書によって証明される都道府県民税の所得割額で確認しますが、ここではモデル世帯のケースで見てみましょう。
住宅ローンを利用する場合の収入額の目安
夫婦(妻は収入なし)及び中学生以下の子どもが2人の場合は収入額により、以下のようになります。
給付基礎額 | 収入額の目安 |
---|---|
50万円 | 450万円以下 |
40万円 | 450万円超525万円以下 |
30万円 | 525万円超600万円以下 |
20万円 | 600万円超675万円以下 |
10万円 | 675万円超775万円以下 |
例えば、夫の収入が400万円、住宅を夫婦の共有名義にしており、夫の持ち分が1/2の場合は、給付額は50万円に1/2を掛けた25万円となります。
夫婦共有名義の場合は、持分割合に応じて夫婦共に申請することもできますが、それぞれが申請の要件を満たす必要があります。
上記の例で50歳未満の妻も申請をする場合は、妻自身も住宅ローンを利用しているか、夫の住宅ローンの連帯債務者である必要があります。妻が連帯保証人の場合は申請できません。
給付額は、国土交通省のすまい給付金公式サイトでシミュレーションできますので、確認をしてみましょう。
すまい給付金の申請方法
では、すまい給付金の対象となった場合の申請方法を確認しましょう。申請は、住宅事業者等が手続きを代行することも可能です。
すまい給付金申請方法
すまい給付金の申請時期や手続きに必要な書類など、申請方法を確認しましょう。
申請時期
取得した住宅に入居した後。
申請方法
すまい給付金事務局に郵送にて申請する郵送申請または全国のすまい給付金申請窓口に持参して申請する窓口申請。
申請期限
住宅の引渡しを受けてから1年(当面の間、1年3ヶ月に延長)以内。
手続きに必要な書類
申請には以下の書類が必要になります。
出典・給付申請書(すまい給付金申請窓口で入手するか、すまい給付金制度のホームページからダウンロードにて入手可)
・建物の登記事項証明書・謄本(原本)
・住民票の写し(原本)
・個人住民税の課税証明書(非課税証明書)(原本)
・工事請負契約書または不動産売買契約書
・住宅ローンの金銭消費貸借契約書
・振込先口座が確認できる書類(通帳等)
・施工中等の検査実施が確認できる書類
・中古住宅販売証明書(中古の場合)(原本)
申請したらいつもらえる?
申請書類に不備等がなければ、申請書類の提出から概ね1.5ヶ月から2ヶ月程度で申請者に給付金が支払われます。
給付を受けたら確定申告は必要?
すまい給付金は、一時所得になります。一時所得の金額の計算では、50万円の特別控除があるため、一時所得がすまい給付金のみであれば最大給付の50万円でも課税されません。他に一時所得がある場合は確定申告が必要となります。
確定申告が必要な場合は、国税庁のホームページより入手できる「国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書」を添付することにより、給付金は総収入金額に含めなくてよくなり、結果として課税されません。
また、すまい給付金事務局より送付される「すまい給付金の振込みのお知らせ」(圧着ハガキ)が申告の際に求められる場合がありますので、大切に保管しておいてください。
※国税庁「申告書・申告書付表と税額計算書等 一覧(申告所得税)」 詳しくはこちら (ページ内の「国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書」)
まとめ
すまい給付金の対象となる条件や申請方法を確認しました。
この制度は2021年12月までに引き渡され、入居が完了した住宅までが対象となる制度です。期間内に住宅を取得する人は、対象条件をしっかり確認して、申請をしましょう。
また、住宅ローン減税やすまい給付金の他にも「住宅取得資金等の係る贈与税の非課税措置」等の減税制度や、「地域型住宅グリーン化事業」といった補助金制度など、住宅取得に関する各種支援策が用意されています。これらは、すべて申請をすることで対象となりますので、各制度の条件等を確認して、利用できる制度はしっかり活用していきましょう。
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