個人向け社債の3大リスク!分散投資でリスクを抑えた資産運用をしよう!

リスクの低めな投資先として債券があり、なかでも企業が発行する債権が社債です。この記事では社債の特徴とリスクを解説し、債券を含めた分散投資についても解説します。国債のほかにも、リスクの低いおすすめの資産運用を紹介しているので、参考にしてみてください。

個人向け社債の3大リスク!分散投資でリスクを抑えた資産運用をしよう!

社債(個人向け社債)のリスクとは?

社債(個人向け社債)のリスクとは?

企業が投資家から資金を集める方法の1つに「社債」というものがあります。社債は、企業が投資家から借り入れをする時に発行する有価証券で、大部分は金融機関などに向けて発行されます。

一方、発行数は少ないのですが、個人向けに発行される社債もあります。この章では、個人投資家の投資先としての個人向け社債の3つのリスクを解説します。

【信用リスク】元本や利息が支払われない可能性

社債のリスクには「信用リスク」といって、元本や利息が支払われない可能性があります。企業の借り入れなので、企業は投資家に利子を払い、返済期日に融資を受けた金額を返還するのが基本です。

しかし、投資した企業が倒産した場合や資金不足などで返済にあてる資金が準備できなくなるかもしれません。この場合、投資家は利息が受け取れなくなることや、投資した金額である元本が返還されない可能性があります。

可能性としては低いものの、社債には元本や利息を受け取れなくなる可能性「信用リスク」がある点は、理解しておきましょう。

【価格変動リスク】中途換金する時に社債の価格が変わる可能性

社債のリスクには「価格変動リスク」といって、中途換金する時に社債の価格が変わる可能性があります。
社債を現金化する方法は、主に2つあります。1つは返済期日である満期まで保有し、元本を受け取る方法です。もう1つは、満期を迎える前に市場で売却する方法です。

返済期日である満期まで保有すれば、元本を受け取ることができますが、市場で売却する場合、価格は市場の影響で上がることも下がることもあります。そのため、売却のタイミングによっては売却額が元本より低くなり、損する可能性もあります。

この、売却により価格が変わる可能性として「価格変動リスク」があるため、社債を中途換金する場合は注意が必要です。

【流動性リスク】中途換金ができない可能性

社債のリスクには「流動性リスク」といって、社債の流動性が下がると換金できない可能性があります。
社債の満期を待たずに換金するには、市場で売却しなければいけません。そのためには社債を買い取ってくれる人が必要です。

つまり、買い手がいないと社債は途中換金ができません。販売した証券会社が買い取ってくれることもありますが、市場価格が下がった状態では、かなり安い価格での買い取りになったり、購入を断られたりするケースがあります。

このように、社債の流動性が下がると換金できない可能性「流動性リスク」を踏まえて社債の購入を検討しましょう。

社債の種類

社債の種類

社債には、特徴によっていくつかの種類があります。ここでは代表的な3つを紹介します。

普通社債

普通社債は、一般的に「社債」といわれるものです。普通社債は、投資をすると満期まで利息が支払われ、満期になると元本が戻ってきます。投資家の利益は受け取る利息や、途中換金した場合の売却益です。

社債は、投資した企業が倒産をすると元本が返済されない可能性があるため、経営難に陥りそうな社債はリスクが高い代わりに利率も高い傾向にあります。一方、信用度が高い企業の社債は、利率が低く設定されています。

転換社債(CB)

転換社債(CB)は、社債を発行している企業の株式を購入する権利がついた社債です。転換社債の購入権を使って株式を購入する時は、市場の時価ではなくあらかじめ決められた株価で購入できます。

そのため、転換社債の購入権利より株式の時価が低い時にこの権利を利用すると、差額分が投資家の利益になります。
転換社債の購入権利で株式を購入すると、社債の権利はなくなり、株式として扱われます。そのため、社債の利息の受取や元本の返還はなくなりますが、代わりに株主配当などがあれば受け取れるようになります。

劣後債

劣後債は、発行元が倒産した時に、返済の優先順位が低い社債です。「信用リスク」で説明した通り、社債は元本や利息を受け取れなくなる可能性があります。その中でも劣後債は、ほかの債務者などよりも元本が返還されない可能性が高くなります。そのため、利率はほかの社債に比べて高めに設定されるのが一般的です。

満期を迎えた際は、ほかの社債に比べて受け取る利息が多いので、元本を受け取れれば、ほかの社債よりも受け取る利益は大きくなります。

社債の魅力・メリット

社債の魅力・メリット

社債は、基本的には元本が戻る仕組みなので、株式などの時価で価格が決まる投資に比べてリスクが低い商品だといわれています。

一方、元本が保証される国債や預金に比べるとリスクが高い分、利率が高い傾向にあります。つまり、リスクが低い商品の中では比較的利益を得られる投資先であると考えられます。

社債で資産運用する時の注意点と対策

社債で資産運用する時の注意点と対策

社債にはメリットだけではなく、注意点もあります。この章では社債の注意点とその対策について解説していきます。

社債の注意点は前述の通り、発行元が倒産すると元本が返ってこない可能性があることです。再度の説明になりますが、社債は満期を迎えた時に元本が返済されます。しかし、満期を迎える前に発行元が倒産してしまうと、元本が返済される保証はありません。

また、社債購入にはまとまったお金が必要です。株式や投資信託のような少額取引がなく、10万円単位や100万円単位での購入が一般的です。この金額を投資し、満期まで元本返済を待つ間に手元の資金が少ない期間ができてしまいます。

なお、社債は企業が必要な時に発行するため、発行時期は不規則です。欲しい企業の社債が欲しいタイミングで手に入るわけではありません。

これらの注意点の対策には、次のようなものがあります。

社債発行企業の情報収集をする

まずは、投資を検討している社債発行企業の情報収集をして、経営状況を把握しましょう。安定した経営をしている企業であれば、比較的倒産のリスクは低いと考えられます。

経営状態や有価証券の販売条件などは、目論見書で調べられます。目論見書は、債券などの有価証券を発行する企業は必ず作成し、公表しているので、証券会社や企業のサイトなどで確認しましょう。
なお、上場している企業は有価証券報告書でも確認できます。

格付けを参考に信用度を測る

投資先の企業の安定性をみるには、格付け会社の評価を参考にする方法もあります。一般的に「格付け」と呼ばれるもので、格付け会社が信用度をはかり、公開しています。
格付け会社によって評価の誤差や公開方法は異なりますが、第三者の客観的な意見として有効です。

自分の資金計画にあった返済期間の社債を選ぶ

社債の満期を待つと、まとまったお金が手元に戻るまで長時間かかる場合があります。社債に投資すると長期間投資額の回収はできないので、その資金がなくても生活に影響がない期間で行うようにしましょう。

大きな出費のある時期がわかっている場合は、手元に資金を多めに残しておく方が安全です。

自分のリスク許容度に合っているか確認する

社債は株式よりはリスクが低いですが、元本が保証されているわけではありません。受取金額が保証されている保険・国債・預貯金よりはリスクが高い商品です。

ただ、社債は、元本保証の金融商品より利率が高い傾向にあります。投資先によってリスクは変わるので、自分が許容できるリスクに合っているか確認するのが大切です。

分散投資でリスクを抑えよう

分散投資でリスクを抑えよう

投資運用一般にいえることですが、投資先を1つに絞ってしまうと、その投資先の価値が下がると投資資産額が全て下がってしまいます。
この対策として、投資先を複数もつことでリスクを下げる方法があります。
この方法を「分散投資」といいます。特に相反する特徴をもつ投資商品に投資すると、よりリスクは下がるとわれています。

例えば、預金の金利が上がると社債の市場価値が下がる傾向があるなど、真逆の特徴をもつ商品があります。分散投資は、自身で好みの組み合わせを作ることもできますし、運用をプロに任せる方法もあります。分散投資をすることで1つの投資先の価値が下がっても、投資資産全体の損失を小さくすることができるでしょう。

リスクの低いおすすめの資産運用

リスクの低いおすすめの資産運用

資産運用には、社債以外にも比較的リスクの少ない商品もあります。そのなかには、運用をプロに任せて手軽に分散投資ができるものもあります。具体例をみていきましょう。

保険

貯蓄性のある保険は、リスクを少なく資産形成することが可能です。運用というと投資のイメージがあるかもしれませんが、満期保険金や解約返戻金を受け取ることができる保険は、資産形成にも利用できます。

例えば、学資保険・養老保険・個人年金保険などがこれにあたります。
保険で資産形成をするメリットは、契約に基づき満期保険金や解約返戻金・年金が支払われるので、資金計画が立てやすいことです。

注意点は、保険契約によっては払った保険料より戻ってくるお金が少なくなるケースがあることです。また、一般的にいわゆる掛け捨て型の保険よりも保険料が高いため、家計の負担が大きくなる場合があります。

外貨預金

外貨預金は、海外の通貨で預金する運用方法です。海外の通貨に両替して、海外の利率で運用します。仕組み自体は日本円の預金と同じなので、投資初心者の方にもわかりやすい方法になります。

外貨預金のメリットは、日本の利率より高い利率で運用できることです。預金も利息も外貨なので、預け入れた時より円安が進んだ場合は為替差益も得られます。

一方、注意点は、預け入れた時より円高になると為替差損が出ることです。かなり円高になると、利息以上に外貨の価格が下がってしまう可能性もあります。また、両替時に手数料がかかるので、預け入れる時と日本円に戻す時に、手数料がかかります。

なお、外貨預金は預金保険制度の対象外のため、銀行が破綻すると全額戻らない可能性があります。

投資信託

投資信託は、投資家からお金を集めてプロが運用する方法です。運用の利益から投資家に配当が支払われます。投資信託は、複数の株式や債権の銘柄に投資がされるパッケージ商品になっており、個別具体的な投資先は公開されません。投資方針や目標とする利率が公開されるので、その情報をもとに投資先や投資金額を決めます。

投資方針によっては簡単に分散投資ができるため、投資初心者に好まれる傾向があります。また、少額の積立で投資を行うこともでき、この方法は比較的リスクの低い方法であることから、積立NISA(2024年1月以降はNISAのつみたて投資枠)の指定商品の中にもあります。

ただ、投資信託は、元本保証されないので注意しましょう。投資信託は比較的リスクの低い投資先を選ぶこともできますが、価格は市場価値で決まるため、投資額より価値が下がってしまう場合もあります。
また、リアルタイムの売買ができないので、価格変動に瞬時に反応することができません。

金銭信託

金銭信託は、信託銀行が扱う金融商品の1つで、投資家からお金を預かり、信託銀行が代理で運用する商品です。金銭信託の投資先は、信託銀行の方針をもとに決まり、運用利益から投資家に配当が支払われます。

運用は、信託銀行という金融のプロに任せられるので、投資初心者でも分散投資ができます。
金銭信託には、元本保証の「合同運用指定金銭信託(一般口)」と元本保証のない「実績配当型金銭信託」があり、基本的に途中換金はできません。

合同運用指定金銭信託(一般口)

合同運用指定金銭信託(一般口)は、元本が保証されているため、金銭信託の中でもリスクが低いのが特徴です。また、預金と同じように銀行が倒産しても1,000万円とその利息が保証されます。預け入れられる金額や期間は金融機関によって異なります。

リスクが低い分、利率は低めですが、安定した資産運用したい人に向いている商品といえます。

実績配当型金銭信託

実績配当型金銭信託は、実際の運用結果によって配当額が決まる金銭信託です。合同運用指定金銭信託と比べると利益追求型で、リスクも利回りも高めに設定されています。元本保証はなく、金融機関が決めた運用ルールによってリスクが変動します。

この実績配当型金銭信託のサービスとして、三菱UFJ信託銀行の「マネフィット」を紹介します。
 
「マネフィット」は運用の安全性と、預金よりも高い利率で運用することの両立を目指したサービスです。実績配当型の金銭信託ですが、三菱UFJ信託銀行が選定した安全性の高い投資先で運用を行います。スマートフォン1つでお申し込みから商品購入ができますので、必要書類を郵送するなどの手間をかける必要もありません。

買う。寝かす。増える。貯蓄のような運用。「マネフィット」

まとめ

社債は、満期になるまで保有すれば投資額が返ってくる比較的安定した投資先です。しかし、発行元の経営状況や、途中換金の難しさのある投資先でもあります。

より安定した資産運用をするために、社債だけに頼るのではなく、複数の投資先を検討することも大切です。ご自身の耐えられるリスクと、求める利益のバランスを考慮のうえ、分散投資も検討されてはいかがでしょうか。投資初心者でも簡単に分散投資ができる投資信託や金銭信託がありますので、これらを利用してみるのも一案です。

ご留意事項
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