パートやアルバイトも自分で申請できる「休業支援金」とは?

「休業支援金」の特徴は、雇用主から支払われる「雇用調整助成金」とは異なり、自分で給付の申請ができる点にあります。コロナ禍の影響で勤務先が休業しているにも関わらず手当を受けられていない方に向けて、その基本的概要や申請方法などをご紹介します。

パートやアルバイトも自分で申請できる「休業支援金」とは?

「休業支援金」とは?「雇用調整助成金」と何が違う?

「休業支援金」とは?「雇用調整助成金」と何が違う?

「休業支援金」とは、コロナ禍の影響でアルバイトやパート勤務先が休業、もしくは時短営業となり、収入が減少してしまった方へ支給される支援金をいいます。一般的に、アルバイトやパート従業員への休業手当は、雇用主から従業員へ支払われる「雇用調整助成金」が基本です。しかし「休業支援金」は、その支払い形態や申請方法が「雇用調整助成金」とは大きく異なります。

被雇用者が申請できる「休業支援金」

「休業支援金」は、アルバイトやパート従業員の側から申請手続きを行う、被雇用者向けの支援金です。つまり、雇用先を介することなく、必要に応じて個人で直接申請を行うことで、支援金を受け取れます。

雇用者側が申請する「雇用調整助成金」

雇用者側が申請する「雇用調整助成金」

一方、「雇用調整助成金」とは、アルバイトやパート従業員を雇用している雇用主側が厚生労働省へ申請し、休業手当を国が肩代わりする形で支払われる支援金です。あくまで雇用者側の支援金制度であるという点が、「休業支援金」との違いとなっています。本制度では、雇用者側と厚生労働省との間で申請手続きが行われるため、仮に雇用者側が支払いに消極的で申請を行わなかった場合、被雇用者側は支援金を受け取ることができません。

いつから?いくらもらえる?「休業支援金」の基本

いつから?いくらもらえる?「休業支援金」の基本

次に、「休業支援金」が支給される対象となる期間や金額、申請の仕方などの基本的な情報を見ていきましょう。特に、支給される金額の計算方法や、申請にあたり必要な書類の作成などについては、内容が複雑となっていますので、申請前にそれぞれよく確認する必要があります。

対象者

対象者

どのような場合に支給の対象となるかは、勤め先の企業規模によって異なります。それぞれの条件について、厚生労働省のホームページでは以下のように示されています。

■休業支援金の条件

【中小企業に勤務されている方】
2020年4月1日〜2021年9月30日の間で、コロナ禍の影響により休業となった事業主から、その休業分の賃金や休業手当が支払われていない方。

【大企業に勤務されている方】
2020年4月1日〜2020年6月30日、2021年1月8日〜2021年9月30日(※1)の期間で、雇用されているシフト制労働者等(※2)で、コロナ禍の影響により休業となった事業主から、その休業分の賃金や休業手当が支払われていない方。

※1……2020年11月7日以降に時短要請を出した都道府県については、要請開始以降の休業も含みます。
※2……シフト制や日々雇用、または登録型派遣のように労働契約上、労働日が明確でない方。

出典 

※厚生労働省「支給対象(新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金)」詳しくはこちら

基本的に、コロナ禍の影響で勤務先が休業となってしまい、賃金や休業手当を受け取れていない場合は対象になるため、主婦でパート勤務されている方や学生アルバイトの方など幅広い層が含まれます。

もらえる金額

支給金額は、休業する前に支払われていた賃金の80%です。ただし、大企業に勤務されている方で2020年4月1日〜6月30日までの休業分については、賃金の60%となります。申請対象となる休業開始前6ヶ月分の給与の内、任意で選択した3ヶ月分の給与の合計を90日で割って、1日当たりの平均賃金を算出し、それを基準に計算します。

金額の算出方法

休業前の1日当たりの平均賃金×80%×(各月の日数-勤務済みの日数ー勤務者の事情で休んだ日数)

出典 

支給金額の上限は1日あたり1万1,000円までですが、2021年5月以降の休業分は、原則的に1日あたり9,900円(※3)までとなっています。

※3……緊急事態措置又はまん延防止等重点措置を実施すべき区域の知事の要請を受けて営業時間の短縮等に協力する新型インフルエンザ等対策特別措置法施行令第11条に定める施設については、1万1,000円となります。

申請期間

2021年7月28日に申請期間が延長されたため、昨年の休業分も、まだ申請することが可能です。現在の申請期間については、厚生労働省のホームページにて以下のように示されています。

中小企業で勤務している方の申請期間

休業期間 申請期限(郵送の場合は必着)
2020年10月~2021年6月 2021年9月30日(木)
2021年7月~2021年9月 2021年12月31日(金)

ただし、2020年4月〜9月分も、シフト制や日々雇用など登録型派遣で勤務されている方や、自治体の要請によるショッピングセンターの休館など、外部の影響によって休業となった場合は対象になります。

そのほか、労働条件通知書などによって所定労働日が明確で(週〜日勤務など)、被雇用者側の都合で休業している訳ではないにも関わらず、労使で休業の事実について認識が一致しない場合も対象になります。

大企業で勤務している方の申請期間

休業期間 申請期限(郵送の場合は必着)
2020年4月〜2020年6月
2021年1月8日〜2021年6月(※)
2021年9月30日(木)
2021年7月〜9月 2021年12月31日(金)

※2020年11月7日以降に時短要請を発令した都道府県は、要請が開始した時期以降の休業期間も含みます。
※厚生労働省リーフレット「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の対象期間の延長及び緊急事態宣言の発令等に伴う地域特例のお知らせ」詳しくは
こちら

申請方法や必要書類について

「休業支援金」の申請は、郵送もしくはオンラインによって行います。郵送で申請する場合は、以下の書類の作成が必要です。

・支給申請書
・支給要件確認書
・本人確認書類(免許証の写しなど)
・振込先口座確認書類(キャッシュカードの写しなど)
・休業前および休業中の賃金額が確認できる書類(給与明細の写しなど)

出典 

書類様式については、勤め先の企業規模によって異なるのでご注意ください。支給申請書と支給要件確認書は、それぞれ厚生労働省のホームページよりダウンロードできます。なお支給要件確認書は、原則的に雇用者側と協力して作成しますが、もし雇用者側の協力が得られない場合、その旨について記載したうえで申請手続きを行えます。
勤め先が大企業の場合は、上記の書類に加えて、シフト制・日々雇用・登録型派遣である旨が記載された疎明書と、その内容が確認できる書類(労働契約書など)が必要です。以上の必要書類を封筒に入れ、指定の宛先に郵送してください。

一方、オンラインにて申請を行う場合は、上記の必要書類のうち支給申請書は申請ページで作成し、支給要件確認書以下はPDF形式にデータ化して提出する必要があります。あらかじめ準備しておくことで、申請手続きをスムーズに進められます。オンライン申請は申請専用ページから手続きできます。

まとめ

まとめ

本記事では、「休業支援金」の基本的な情報をご紹介しました。コロナ禍が長引いている現状で、勤務先の休業が続き金銭面でお困りの方は、個人で手続きができる「休業支援金」の申請を検討されてみてはいかがでしょうか。

ご留意事項
  • 本稿に掲載の情報は、ライフプランや資産形成等に関する情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の取得・勧誘を目的としたものではありません。
  • 本稿に掲載の情報は、執筆者の個人的見解であり、三菱UFJ信託銀行の見解を示すものではありません。
  • 本稿に掲載の情報は執筆時点のものです。また、本稿は執筆者が各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性について執筆者及び三菱UFJ信託銀行が保証するものではありません。
  • 本稿に掲載の情報を利用したことにより発生するいかなる費用または損害等について、三菱UFJ信託銀行は一切責任を負いません。
  • 本稿に掲載の情報に関するご質問には執筆者及び三菱UFJ信託銀行はお答えできませんので、あらかじめご了承ください。

RANKING

この記事もおすすめ