定年を待たずに自由な生活を!「セミリタイア」に必要な資産形成など

定年を迎える前に資産を形成して仕事を辞め、ストレスのない範囲で収入を得ながら悠々自適な生活を送る「セミリタイア」。時間の拘束や煩わしい人間関係から解放され、自由な暮らしができるとして近年注目が集まっています。本記事では、セミリタイアのメリットやデメリット、必要な資産形成などを解説します。

定年を待たずに自由な生活を!「セミリタイア」に必要な資産形成など

セミリタイアとは?

セミリタイアとは?

セミリタイアとは早くから資金を貯め、定年退職前に仕事を辞めてプライベートの時間を大切にしながら、不労所得やアルバイトなどで一定の収入を得ながら生活することを主に指します。

セミリタイアを望む人は、時間的および精神的な余裕を求めていることがほとんどです。そのため一切の仕事を辞めてしまうわけではなく、ストレスにならない範囲で収入を得るところが完全なリタイアとの違いです。

定年前にセミリタイアすることのメリット・デメリット

セミリタイアをする上で最大のメリットは、時間的な拘束から解放されることでしょう。趣味の活動や長期旅行、ボランティアなど、これまでは仕事が忙しくてできなかったことも楽しめるようになります。

しかし、セミリタイアにはデメリットもあります。セミリタイア後は社会とのつながりを維持するのが難しくなるほか、社会的な信用度が低くなり、クレジットカードが作れない、ローンが組めないといった問題も生じます。

セミリタイアする方法

セミリタイアする方法

何歳でセミリタイアするにしても、リタイア後は安定した収入を得るのが難しくなります。必要な資金をシミュレーションし、仕事を辞める前に十分な資金を形成しておくことが大事です。

十分な資金を用意したつもりでも、病気などで突然多額のお金が必要になる可能性もあります。不足の事態に備え、株式投資や不動産投資などで不労所得を得られるよう準備しておきましょう。

クラウドソーシングなどを活用してインターネット上で仕事をする方法もあります。会社を辞める前に仕事につながりそうな資格やスキルを取得しておけば、セミリタイア後も定期的な収入を得やすいでしょう。

30代でセミリタイアするには

30代は結婚や出産などのライフイベントを迎え、それにともなってマイホームの購入を検討する方も多い時期です。そのため40代や50代でのセミリタイアに比べて多額の貯蓄や資金が必要です。かなり早い段階で資金形成を始めないとセミリタイアは難しいでしょう。

40代でセミリタイアするには

40代は結婚して就学期の子供を持つ方も多く、教育費や養育費などの支出が増える時期です。子供がいる場合はセミリタイアへのハードルが高くなると考えておきましょう。

50代でセミリタイアするには

50代は子供が独立し始めるタイミングであることから、セミリタイアを決断する人の多い年代といえます。学費や養育費の負担が減り、夫婦二人分の生活費があれば暮らしていけるようになります。
ただし、趣味や旅行などにお金を使いたいと考えている場合は余裕のある資金計画が欠かせません。ある程度の資金を形成できているなら、株式投資や不動産投資などの資金運用を検討しましょう。

セミリタイアに必要な貯金額は

セミリタイアに必要な貯金額は

セミリタイアに必要な貯金額は年齢や家族構成によって異なります。年代別に家族がいる場合と単身世帯の場合で用意すべき資金額をみていきましょう。

家族・単身で必要な貯金額

まずは家族がいる場合に必要な貯金額を考えてみましょう。

総務省の統計データによると、2019年における二人以上の世帯の平均支出は1ヶ月あたり29万3,379円でした。この金額を基に、セミリタイアから65歳までの支出を月30万円、子供が独立しているであろう65歳から85歳まで生きた場合の支出を月20万円と仮定します。

また、不労所得やアルバイトなどで得られる65歳までの収入を月10万円、65歳以降20年間の年金受給額も月10万円として必要な資金を算出していきます。ただし、これらの金額はあくまで平均支出額をベースにした目安の額です。子供の人数や住んでいる地域などによっても変動すると考えてください。

セミリタイアに必要な貯蓄額(家族有)

30歳 40歳 50歳
65歳未満(約30万円-10万円)×12ヶ月×35年=8,400万円 65歳未満(約30万円-10万円)×12ヶ月×25年=6,000万円 65歳未満(約30万円-10万円)×12ヶ月×15年=3,600万円
65歳以上(約20万円-10万円)×12ヶ月×20年=2,400万円 65歳以上(約20万円-10万円)×12ヶ月×20年=2,400万円 65歳以上(約20万円-10万円)×12ヶ月×20年=2,400万円
合計1億800万円 合計8,400万円 合計6,000万円

【参考】総務省統計局:「家計調査年報(家計収支編)2019年(令和元年)家計の概要 家計収支の概況(二人以上の世帯)」詳しくはこちら

一方、単身世帯の方の場合、2019年における1ヶ月あたりの平均支出は16万3,781円です。この金額を基に、セミリタイアから85歳まで生きた場合の支出を月17万円、セミリタイアから65歳で年金の受給が始まるまでの収入を月7万円、65歳以降の年金受給額を月7万円として必要な貯蓄額を計算します。

セミリタイアに必要な貯蓄額(単身)

30歳 40歳 50歳
(17万円-7万円)×12ヶ月×35年=4,200万円 (17万円-7万円)×12ヶ月×25年=3,000万円 (17万円-7万円)×12ヶ月×15年=1,800万円
4,200万円 3,000万円 1,800万円

【参考】総務省統計局:「家計調査年報(家計収支編)2019年(令和元年)家計の概要 総世帯及び単身世帯の家計収支」詳しくはこちら

セミリタイア後に必要な支払い

セミリタイア後に必要な支払いには、年金や保険料、日々の生活費などが挙げられます。それぞれを詳しくみていきましょう。

年金や各種保険

年金や健康保険加入は国民の義務です。会社員の健康保険料は会社と折半しますが、セミリタイア後の健康保険料は全額を自己負担です。健康保険料は前年の収入に応じて決定されるため、退職した翌年に収入が減少していた場合でも現役時代と同額を払わなければならないことを頭に入れておきましょう。

自動車税や住民税

日々の生活で必要になる税金には、住民税や自動車税などがあります。住民税も、現役時代と同額程度を払わなければならないため、セミリタイアに向けて資金を蓄える際には、納税分もあらかじめ用意しておきましょう。

居住費や光熱費

賃貸物件に住んでいる方や住宅ローンを返済中の方であれば、毎月の支出で大きなウエイトを占めるのが居住費です。また、居住形態に関わらず水道光熱費も必要です。

その他

上記以外では、通信費や交通費、病気や体調を崩した際の医療費、最低限身だしなみを整えるための理美容費、交際費、飲食代(外食など)、娯楽費、被服費、雑費などがあります。

セミリタイアのための資産形成

セミリタイアのための資産形成

セミリタイアのための資産を全て貯金で賄うのは、生活を切り詰めたとしてもかなり困難です。株式投資や不動産投資、投資信託など、自分に合った方法で資産を運用することが欠かせません。

セミリタイアで失敗する事例

セミリタイアで失敗する事例

いざ仕事を辞めてセミリタイア生活に入ってみたものの、なかにはさまざまな事情から再び本格的に働かざるを得なくなることもあるかもしれません。

生活の変化と資金不足問題

仕事を辞めると、一気に社会との接点や人との関わりが少なくなります。セミリタイア後に生きがいを失い、無気力感や孤独感に悩まされる方も少なくありません。

また、資金計画の詰めが甘いと途中で生活資金が底をついてしまうこともあります。仕事を辞めてからの期間と年齢に比例して再就職のハードルも高くなるため、不労所得など何かしらの収入源を確保しておくことが肝心です。

悠々自適な生活を送れない

具体的な目的がないまま仕事を辞めてしまうと次第に退屈を持て余し、ハリのない生活に陥る場合があります。何のためにセミリタイアするのか明確にしておくことが、充実したセミリタイア生活を送るコツといえるでしょう。

まとめ

まとめ

セミリタイアを目指すなら、必要な資金と毎月の支出をシミュレーションすることが第一歩です。貯金だけでなく投資などもうまく活用し、効率的な資産形成を目指しましょう。安定的に資産運用ができればセミリタイア後の収入源にもなります。また、日々の暮らしに張り合いを持たせるためにも、自分なりに社会とつながる方法を確保しておくようにしましょう。

ご留意事項
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