一戸建ての売却の流れや高く売るためのポイントなど戸建て売却完全ガイド

一戸建てを売却する際には、売却手続の流れや相場、価格査定に関して知っておくことが望ましいです。事前対策により、高く売却できる可能性があります。今回は、一戸建ての売却にあたり事前に知っておきたいポイントを解説します。

一戸建ての売却の流れや高く売るためのポイントなど戸建て売却完全ガイド

一戸建て売却の流れと期間について知ろう

一戸建て売却の流れと期間について知ろう

まずは一戸建てを売却するときの流れと、売却に要する期間の目安を確認しましょう。

一戸建てを売却するときの流れの全体像

不動産の売却は、売却する前の下準備から最終的な引渡しまで、大きく3段階に分けられます。

第1段階:不動産会社への相談と土地・建物の査定、媒介契約の締結
 ※媒介契約:宅建業者に対し売買契約成立への営業努力を求める契約
第2段階:売り出し活動と内覧対応、売買交渉、売買契約締結
第3段階:決済と建物の引き渡し、税金面での処理(確定申告)

出典 

不動産売買の媒介契約には、「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があります。各契約の主な違いは、他の不動産会社に買い手の探索を依頼できるか、自分で買い手を探索したときに媒介契約を結んだ不動産会社に売買手続きを依頼しなければならないかという点です。

一般媒介契約の場合にはいずれも制限がありませんが、専任契約の場合はほかの不動産会社と重ねて媒介契約を締結することが制限されます。専属専任媒介契約の場合には、自分で買い手を探索した場合でも、媒介契約を結んだ不動産会社に売買手続きを依頼する必要があり、媒介手数料を支払う必要があります。

売却にかかる期間

売却にかかる期間は、6ヶ月ほどは見ておいたほうがよいでしょう。一戸建ての売却は、建物の間取りや外観に個性があるために買主とのマッチングが難しく、マンションを売る場合よりも契約成立までの期間は長くなりがちです。

期間の内訳としては、第1段階が1ヶ月前後、第2段階が1~4ヶ月ほど、第3段階が1ヶ月程度です。買主がどれだけ早く現れるか、契約交渉が折り合うかといった点が売却期間の長短を左右します。

戸建ての売却で損しないための4つの知識

戸建ての売却で損しないための4つの知識

個人の場合、不動産取引を行う機会は多くても数回しかないため、多くの人は不慣れな点が多いと思います。しかし、不動産の売却金額は少しのずれが大きな金額になりがちであるために、売却価格の設定は慎重に行いたいものです。
適正な売却価格を設定し、少しでも手残り金額を多くするために、次の4つのポイントを押さえておくとよいでしょう。

①正しい相場が分かると、適正価格で売り出しができる

売却したい価格と実際の売却価格は必ずしも一致しません。相場を知らなければ、価格を安くしすぎて損をしてしまったり、高くしすぎていつまでも売れなかったりといったリスクがあります。事前に相場を調査しておくことで、売り出し価格を適切な額に設定することが可能となります。

現在では、さまざまな不動産情報サイトがあるために、インターネットで不動産の売買情報を調べることが容易になりました。
複数の取引事例を比較するためには、同じ基準で比較することが必要となります。通常は土地面積や建物の延床面積を基に「㎡単価(もしくは坪単価)」を算出して比較します。
周辺の取引事例の平均㎡単価(平均坪単価)に売り出し予定の地積や延床面積を乗じれば、売却価格の目安がわかってきます。
もっとも、対象地の場所や形状、建物の築年数等で売却価格は変わってきますので、あくまで目安と考えておくとよいでしょう。

②今後の不動産相場の動向を予測する

一戸建ての売却価格は対象不動産の立地や広さ、築年数といった条件により異なります。しかし、どのような不動産の売却であれ共通するのは、不動産相場の動向を踏まえた判断が求められる点です。

現在の不動産相場を知り、今後の不動産相場の動向を予測するには、Webサービスを活用したり、不動産会社への問い合わせをしたりするのが手っ取り早い方法です。

Webサービスは、全国指定流通機構連絡協議会が運営する「REINS Market Information(レインズマーケットインフォメーション)」や国土交通省の「不動産取引価格情報検索」、民間の不動産データベースサイト「東京カンテイ」や「SUUMO」などが参考になります。
不動産会社に問い合わせるときは、対象の不動産がある地域に詳しい地元の不動産会社に問い合わせるのがよいでしょう。

今後の全国的な不動産市場の動向としては、価格急落は当面考えにくいものの、新型コロナウイルス感染者拡大などに伴い、不動産の買い控えや売り出し件数の増加が見込まれます。不動産の売却を検討する際には不動産会社などの売却価格査定に加えて、不動産市場の動向を参考にして機を逃さない判断が求められるでしょう。

【参考】三菱UFJ不動産販売:【2020年】過去10年間の公示地価推移から読み取る今後の住宅地価動向 詳しくはこちら

③精緻な価格調査のためには、不動産会社に価格査定してもらうべき

インターネットによる情報収集は、大まかな売却相場を調査できる反面、売却対象不動産の個性が反映されていません。そのため、個別具体的な事情を反映した売却価格を知りたければ、プロである不動産会社に調査を依頼して、売却価格の査定してもらうべきです。

プロの不動産業者は、周辺の取引価格相場を参考に、対象不動産の築年数や道路付け、間取り、日当たり、周辺状況など、個別的な事情を考慮して売却価格の査定をします。
最終的な売却価格は買主との交渉によって決まりますが、査定価格は売り出し価格を決定する際の目安になるでしょう。

④一戸建てを売るなら、「買取」という方法もある

不動産会社の仲介で買主に売る方法のほか、不動産会社が直接の買主になる「買取」という方法もあります。売却価格自体は市場価格よりも若干安価になりますが、スピーディーな取引が行われて換金が早くなることや仲介手数料が不要となる点は大きなメリットであるといえます。

一戸建て売却で生じる税金への注意点

一戸建て売却で生じる税金への注意点

一戸建てを売却するときには、売却にかかる税金とその計算方法についても事前に確認しておきましょう。ここでは、売却対象不動産が自宅であった場合の控除についても紹介します。

一戸建て売却時に発生する税金とは

不動産売却の際にかかる主な税金は、譲渡所得税と住民税、仲介手数料に伴う消費税、契約時の印紙税が挙げられます。このうち特に重要なのが譲渡所得税です。

譲渡所得税の計算方法

譲渡所得税は、譲渡所得に一定税率を掛け合わせます。
譲渡所得は、土地・建物の売却収入から、取得時にかかった費用(取得費)と売却時にかかった費用(譲渡費用)を引いて算出します。
税率は一戸建てを所有していた期間が、売却した年の1月1日現在で5年以下(短期譲渡所得)か5年超(長期譲渡所得)かで、異なります。

具体的には前者なら所得税率は30%、さらに復興特別所得税0.63%と住民税9%を足し合わせ、計39.63%。後者なら所得税率は15%で、復興特別所得税0.315%、住民税5%と合わせて計20.315%です。ただし、一定の控除や特例により、課税対象所得の減少や税率軽減が可能な場合もあります。(復興特別所得税は2037年まで)

【参考】国税局:No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)詳しくはこちら
【参考】国税局:土地や建物を売ったとき 詳しくはこちら

居住用不動産の控除の特例

自宅として居住していた一戸建てであれば、売却時の譲渡所得から最高3,000万円が控除されます。その自宅だった一戸建ての所有期間が10年を超えていた場合、課税所得6,000万円以下の部分につき税率が14.21%となる軽減特例があります。

また、譲渡により損失が生じた場合の損益通算や繰越控除、一戸建てが相続財産だった場合の取得費加算といった制度もあるので、詳細は不動産会社や税理士へ確認するとよいでしょう。

【参考】国税局:土地や建物を売ったとき 詳しくはこちら

高額査定をもらうための対策

高額査定をもらうための対策

不動産のプロの価格査定の際に高額な査定が出れば、売却の際の心強い支えになります。ここでは、高額査定に向けた対策を説明します。

査定の流れ

売却価格の査定は、現地調査・資料の精査を行い、それを基に価格算出が実施されます。

具体的には、現地での土地建物の現況調査や、境界確認、周辺状況の確認と、役所での法令関係調査、登記簿謄本等による権利関係の確認や測量図面・建築図面の確認によって得られた基礎資料をベースとし、売却時の不動産市場動向も踏まえて査定を行います。

査定価格に影響してくる評価項目には、境界問題などの有無や、建物の日照や通風、騒音・振動などの有無、維持管理状況、水回りの具合、雨漏りなどの住宅の瑕疵の有無といった点が挙げられます。周辺環境については、商店街などの生活インフラとの距離、交通の利便性や公共施設の有無が主にチェックされます。

一戸建ての建物価格査定の方法

一戸建ての建物価格の査定は、基本は延床面積を基に算出される建築費と築年数をベースに評価されます。現在の建築費相場から新築価格を算出し、そこから年数経過による価値下落分を差し引くという計算方法です。どのくらい差し引かれるかは建物の老朽化の度合い、建物付属設備の損傷度合い。不動産市場の動向との兼ね合いにもよります。

高額査定のポイントは?

価格査定の評価ポイントで重視されがちな建物や付属設備の維持管理をしっかり行うことです。メンテナンスや交換を行ったときにはその資料をしっかり残しておきましょう。修繕履歴がはっきりしていることは査定アップにつながります。
キッチンやトイレ、浴室、洗濯機周りなどの水回り設備は特に汚れや老朽化が目立つ場所です。手入れや補修については特に気をつけて定期的に行いましょう。

また、権利関係が不明確だと必要以上に査定が減額される恐れがあります。相続などにより所有者が変わっていた場合、移転登記をして権利関係を明確にしておきましょう。

まとめ

まとめ

一戸建ての売却は、できるだけ有利な価格で行いたいものです。不動産相場を確認するとともに、複数の不動産会社による一括査定を受けるなどの工夫をするとよいでしょう。また、税金面でも控除や特例制度があります。対象となるかどうか専門家に相談してみることをおすすめします。

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