公務員のボーナスは平均●ヶ月!職種別・国家/地方別など

公務員は民間企業に比べ、雇用の安定した職業です。ボーナスも充実しているといわれていますが、実際にはいくらぐらいもらえるのでしょうか。本記事では、国家公務員と地方公務員の場合に分け、公務員のボーナス支給額について解説します。

公務員のボーナスは平均●ヶ月!職種別・国家/地方別など

公務員のボーナスは 4.45ヶ月分!

公務員のボーナスは 4.45ヶ月分!

景気に左右されにくいことから安定性の高い職業だといわれている公務員。特に不景気の年は就活生に人気のある職業のひとつですが、公務員はいくらボーナスをもらっているのかご存じでしょうか。

公務員は、国の業務に従事する国家公務員と、地方自治体の業務に従事する地方公務員の2つにわかれています。
そのうち、国家公務員のボーナスは月給の4.45ヶ月分です。この額は法律で決められており、2019年まで6年間は毎年増額されてきました。

一方、地方公務員のボーナスは、基本的に国家公務員の水準に基づいて定められていますが、各自治体の条例やその地域における民間企業の水準なども踏まえたうえで決定されるため、実際の支給額は自治体によって幅があります。

【参考】
人事院:「給与勧告の骨子」 詳しくは
こちら
総務省:「給与・定員等の調査結果等」4) 期末・勤勉手当の支給状況 都道府県、市区町村 詳しくはこちら

10年ぶりに公務員のボーナスが減少!

10年ぶりに公務員のボーナスが減少!

2014年から2019年まで連続で引き上げられ、2019年には月給4.50ヶ月分とされていた国家公務員のボーナス。
しかし、人事院は2020年10月、新型コロナウイルス感染拡大の影響で民間企業のボーナス水準が低下したことを踏まえ、2020年度の国家公務員のボーナスを0.05ヶ月分引き下げるよう国会と内閣に勧告しました。
人事院が国家公務員のボーナス引き下げを求めるのは、リーマンショック後の2010年以来10年ぶりのことです。

人事院が約12,500の民間事業所を対象に実施した調査によると、2019年8月から2020年7月までの直近1年間、民間企業によるボーナスの支給実績は4.46ヶ月分で、国家公務員の水準を下回っていました。

今回の改定は、公務員と民間とのボーナス格差を是正することを意図したものです。これに伴い、地方公務員のボーナス支給額にも影響が及ぶ可能性が大きいとみられています。

【参考】
・内閣官房内閣人事局:「国家公務員の給与(令和2年版)」詳しくは
こちら
・人事院:「勧告 給与勧告の骨子」 詳しくはこちら

公務員のボーナスの仕組み

公務員のボーナスの仕組み

そもそも、公務員のボーナス支給額はどのように決められているのでしょうか。

国家公務員の給与やボーナス賞与の支給条件は、国家公務員法に基づいて決められています。国家公務員の給与は市場経済の動向に左右されることがないため、その点では民間企業で働く従業員よりも有利といえます。

その一方、労働基本権に一部制約があり、組合の組織や団体交渉を行うことはできても、交渉の結果に基づいて労働協約を結んだり、ストライキを行ったりすることは認められていません。

【参考】
総務省:「国家公務員の労働基本権」詳しくは
こちら

こうした民間企業との格差を解消するために設けられているのが、人事院勧告制度というものです。

■人事院勧告制度とは

人事院は、毎年民間企業の給与実態を調査し、国家公務員の給与が民間企業の水準と比較して適切かどうかを判断します。その結果を年に一度、例年では8月に国会や内閣に対して報告しなければなりません。

人事院から勧告を受けた政府は、その内容を閣僚会議で協議し、方針を正式に閣議決定します。その後、国家公務員の給与に関する改正案を国会に提出することにより、国家公務員の給与条件が見直されるという仕組みです。

出典 

なお、国家公務員のボーナスは「期末手当」と「勤勉手当」の2種類で構成されています。期末手当とは、基本給に応じて支払われる賞与で、在職期間が長いほど上昇していきます。一方の勤勉手当は、職員の勤務成績に応じて支給される能力給のようなものです。

【参考】
内閣官房内閣人事局:「国家公務員の給与(令和2年版)」詳しくは
こちら

国家公務員と地方公務員でボーナスが違う?

国家公務員と地方公務員でボーナスが違う?

国家公務員と地方公務員とでは、ボーナスの支給額が異なります。地方公務員は所属する自治体によって支給条件が異なるため一概にはいえませんが、両者の平均支給額を比較すると、地方公務員の方が、金額が高い傾向にあります。

国家公務員は約136万円

2019年における一般職の国家公務員のボーナス平均支給額は、夏が67万9,100円、冬が68万7,700円、合計すると136万6,800円でした。

ただし、前述のとおり2020年分のボーナス支給額は引き下げが決まっているので、この平均額よりも低くなることが予想されます。

【参考】
内閣官房内閣人事局 報道資料:「令和元年12月期の期末・勤勉手当を国家公務員に支給(令和元年12月10日)」詳しくは
こちら

内閣官房内閣人事局 報道資料:「令和元年6月期の期末・勤勉手当を国家公務員に支給(令和元年6月28日)」詳しくはこちら

地方公務員は約163万円

2019年における一般職の地方公務員のボーナス支給額を都道府県別にみると、最も多かったのは東京都で178万2,300円、最も低かった鳥取県では133万6,800円、都道府県の平均支給額は163万2,206円でした。

市区町村別にみると、最も高かったのは東京都武蔵野市で185万7,700円、最も低かったのは北海道島牧村で支給なし、平均支給額は146万5,650円という結果でした。このように、地方公務員のボーナスは自治体によって大きく差があることがわかります。

【参考】
総務省:「給与・定員等の調査結果等」4) 期末・勤勉手当の支給状況 都道府県、市区町村 詳しくは
こちら

職種による公務員のボーナスの違い

公務員のボーナスは職種によっても違いがあります。
例えば、都道府県に所属する一般職の地方公務員のうち、2019年における一般行政職のボーナス平均は163万9,489円でした。なお、一般行政職とは、教員や警察官などの専門職ではなく、役場で事務仕事に従事する公務員のことです。

そのほか、教育公務員のボーナス平均は179万6,606円、警察職は157万9,372円です。教育職に就いている公務員のボーナスは比較的高いことがわかります。

【参考】
総務省:「給与・定員等の調査結果等」4) 期末・勤勉手当の支給状況 都道府県、市区町村 詳しくは
こちら

まとめ

まとめ

公務員のボーナスは民間企業の動向に基づいて毎年改定がなされており、景気が悪化すればボーナスが削減される可能性があります。実際2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、公務員のボーナスが削減される方針です。

公務員のボーナスは民間企業に比べると安定しています。しかし、支給額は国家公務員と地方自治体とで違いがあり、どこの自治体に所属するかによっても大きく変動するので、気になる方は人事院や各自治体のホームページで確認してみてください。

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