「ボーナスなし」の人はどのくらい?ボーナスに頼らず貯蓄する方法は?

ボーナスを支給しない企業は意外と多く、ボーナスなしで生活している会社員も少なくありません。ボーナスがない会社員は、どのくらいいるのでしょうか? また、ボーナスがない人のための貯蓄法もご紹介します。

「ボーナスなし」の人はどのくらい?ボーナスに頼らず貯蓄する方法は?

「ボーナスなし」の会社員は全体の約14%

「ボーナスなし」の会社員は全体の約14%

厚生労働省が発表した2017年(平成29年)の「就労条件総合調査」によると、「ボーナス制度がない」と回答した企業は全体の9.9%、「ボーナス制度はあるが、支給しなかった」と回答した企業は「ボーナス制度がある」と回答した企業のうち、4.3%でした。つまり、全体の約14%の会社員がボーナスを受給していない、「ボーナスなし」の社員ということになります。

では、ボーナスを支給していない企業には、どんな特徴があるのでしょうか。まずは企業の規模別に見てみましょう。同じく厚生労働省の「就労条件総合調査」の結果で、「ボーナス制度なし」「ボーナス制度はあるが支給していない」と回答した企業の割合を従業員数別に見てみると、下の表のようになります。この調査結果を見る限り、従業員数が少ない・規模の小さな会社ほど「ボーナスなし」の割合が高いことがわかります。

「ボーナスなし」の会社員は全体の約14%

※1「ボーナス制度はあるが支給しなかった」の割合は、「ボーナス制度がある」企業を100とした割合

続いて、「ボーナスなし」が多い業界について見ていきましょう。「就労条件総合調査」の結果で、「ボーナスなし」の回答が多かったのは、以下の業界の企業でした。

「ボーナスなし」の回答が多かった企業

※1「ボーナス制度はあるが支給しなかった」の割合は、「ボーナス制度がある」企業を100とした割合
※2 専門・技術サービス業、飲食サービス業、生活関連サービス業、複合サービス業を除くサービス業


【参考】厚生労働省「就労条件総合調査 平成29年」 詳しくはこちら

「ボーナスなし」の会社はブラック企業?

「ボーナスがない」というと、労働条件が悪い、いわゆる「ブラック企業」のように聞こえてしまいますが、実際にはそうとも限りません。もちろん、業績が悪くてボーナスを支給できない企業もありますが、中には、業績に問題がないのにあえてボーナス制度を設けていない企業もあります。

そもそも、ボーナスは、労働の対価である賃金(給与)とは異なり、法的に支払いが義務づけられているものではありません。したがって、企業がボーナス制度を設けていなくても、法律には違反していないことになります。ただし、労働契約や就労規則などにボーナスの支払いを記載している企業には、ボーナスの支払い義務が生じ、もしボーナスが支払われなかった場合は、社員が企業側に支払いを求めることができます。
ボーナスがない会社に勤務している人は、一度、労働契約や就労規則などにボーナスの支払いについて書かれていないかどうかを、確認してみてください。

なぜ「ボーナスなし」なのか、確認しよう

前述の通り、ボーナス制度を採用するかしないかは基本的に企業の自由であり、ボーナスがない会社が一概に労働条件の悪い会社というわけではありません。「ボーナスなし」の理由には、主に次のようなものがあります。

理由1:年俸制を採用している

年俸制とは、社員の給与の額を1年単位で決定する制度です。月給制の場合、「基本給+手当」の額が毎月算出されて支給されるため、給与の額が月ごとに異なりますが、年棒制の場合は、あらかじめ本人の能力や業績に応じて1年分の給与額が決められています。ただし、労働基準法第24条で、「毎月少なくとも1回は賃金を支払わなくてはならない」(毎月支払いの原則)とされていることから、年棒制の企業であっても1年分の給与がまとめて支払われるのではなく、年俸額を12等分した額が12回にわけて支払われます。中には16等分して2ヵ月分をボーナスとして年2回支払うケースもありますが、この場合のボーナスは本人の年俸の一部であり、月給制の社員のボーナスのように会社の業績に応じて金額が上下することはありません。

理由2:経営状態が悪く、ボーナスが支給されていない

会社の経営状態が悪く、支給されないケースがあります。労働契約や就労規則に「業績によってはボーナスを支払わない」旨の記載があれば、支給を求めることはできませんが、特に記載がないのに支給がなかった場合は、社員が企業側に支給を求めることができます。

いずれにせよ、会社に入ってから「え! ボーナスがないの?」と戸惑うことがないよう、就職・転職の際には事前にボーナスの有無を確認し、ボーナスがない場合はその理由を確かめて、納得した上で入社するようにしましょう。

ちなみに求人広告などでは、「ボーナス」ではなく「賞与」と記載されていることが多いですが、意味は同じです。例えば、「賞与有り 年2回(7月、12月、前年実績計1ヶ月)」と記載されている場合は、年2回(7月と12月)、金額にするとボーナス2回で計給与1ヶ月分が支払われますよ、という意味です。

「賞与あり」とのみ記載されているケースも多いので、労働契約を結ぶ前に必ず、「年に何回支給されるのか」「支給時期はいつか」「支給額はいくらか」を確認するようにしましょう。

「ボーナスなし」でもできる貯蓄法は?

「ボーナスなし」でもできる貯蓄法は?

共通ポイントサービスPontaを運営する株式会社ロイヤリティマーケティングの調査によると、2019年の冬のボーナスの使い道として最も多かったのは「貯金・預金」(40.5%)でした。確かにボーナスを全部貯めることができれば、将来の備えにもなるので堅実といえるでしょう。

【参考】株式会社ロイヤリティマーケティング「第37回Ponta消費意識調査 2019年10月発表」 詳しくはこちら

しかし、ボーナスなしの人が貯蓄ができないというわけではありません。ボーナスがあると気が大きくなって「ボーナス払い」で高額なものを買ったり、月々の赤字をボーナスで補填するような事態に陥ったりしてしまい、実質的には「ボーナスなし」と同じ状況の人もたくさんいます。ボーナスがないからといって諦めず、将来にそなえてコツコツと貯金をしましょう。

ボーナスがない人におすすめの貯蓄法は、無理のない範囲で毎月確実に貯められる「先取り貯金」です。

先取り貯金

毎月の給与が振り込まれたら、すぐに一定金額を貯蓄専用口座に移し、残りを生活費にする方法です。
生活費の余りを貯蓄するという発想ではなく、貯蓄額を差し引いた残りで生活するという発想に切り替えることで、着実に貯蓄を増やすことができます。
また、勤務先で採用されている場合は「財形貯蓄制度」を利用するのもよいでしょう。毎月、一定額が給料から自動的に天引きされて提携先の金融機関の口座で積立される仕組みで、簡単に引き出すことが難しいので、自分で先取り貯金をするよりも確実にお金を貯めることができます。

ボーナスがないなら、自分でボーナスを作ろう

ボーナスがないなら、自分でボーナスを作ろう

そして、ボーナスがない人にぜひ挑戦してほしいのが、自分で自分のボーナスを作ることです。例えば、次のような方法で、日々頑張る自分や家族にボーナスを贈ってみてはいかがでしょうか。

1. 小銭貯金をする
毎日、財布に残った小銭を貯金箱に入れる。家族で協力すると貯まりやすい。

2.カードのポイントを貯める
複数のカードを使うとポイントが分散してしまうので、なるべく少ない数のカードを厳選して使うとポイントがたまりやすい。

3.投資に挑戦する
投資に興味があるなら、少ない金額で始められる「つみたてNISA」に挑戦しても。20歳以上なら口座開設をすれば始められ、年間40万円までは非課税で投資信託を購入できる上、運用益も非課税。運用中の資金はいつでも引き出すことができる。

まとめ

ボーナス制度の採用は法的に義務づけられているわけではないので、ボーナス制度のない会社で働いている人は、会社が方針転換しない限り、ボーナスの支給を受けることはできません。ボーナスがない理由に納得できない場合や、ボーナスがないとモチベーションが維持できない場合などはボーナスのある会社への転職を考えてもよいでしょう。ただし、ボーナスがなくても、その気になれば貯蓄は可能です。財形貯蓄や、少額から始められるつみたてNISAなど無理なく始められる方法を探してみてください。

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