袱紗(ふくさ)の用途や使い方を解説!ないときの対処法も

礼儀が重んじられる結婚式や葬儀といった冠婚葬祭などの場において今日でもよく用いられるのが、袱紗(ふくさ)です。日本では古くから誰かに物を贈ったり渡したりする際、それを大切に「包む」ことで気持ちを表すという文化があります。いざという時に困らないためにも、袱紗(ふくさ)についての知識や使い方を学んでいきましょう。

袱紗(ふくさ)の用途や使い方を解説!ないときの対処法も

袱紗(ふくさ)とは?

袱紗(ふくさ)とは?

日本で物を包むために古くから用いられてきた布といえば「風呂敷」ですね。
袱紗(ふくさ)はこの風呂敷を原型として発展したものですが、一般的には風呂敷よりも小さく、絹やちりめん製の四角い形状をしたものを指します。
最近では、持ち歩きや扱いを簡便化した封筒型タイプのものも多く用いられています。

袱紗(ふくさ)の用途は?

袱紗(ふくさ)の用途は?

袱紗(ふくさ)にはいろいろな用途があります。茶道をたしなむ人には、茶器を扱う時や清めるために使う布として、なじみ深いことでしょう。また、国の大切な文書を扱う儀礼においても、重要な文書を包むために使われているシーンがテレビなどでよく見られます。
しかし、私たちが実際に使う場面としてもっとも多いのはやはり、結婚式やお葬式などといった冠婚葬祭です。
そのような場で金銭を扱う際、祝儀袋や不祝儀袋などで一度包んで渡すのは最低限のマナーと言えますが、袋の上から更に袱紗(ふくさ)で包み、渡す相手の目の前でそれを開いて手渡すことが、本来望ましいマナーとされています。

用いる目的は冒頭にも書いた通り、贈り物を丁重に包むことで先方を大切に思う気持ちや敬意を示すことです。袱紗(ふくさ)が利用される理由は、持参する途中で水引がくずれたり、袋が皺になることを防止できるという実用的なものだけではありません。先方の「お気持ち」や「まつりごと」を大切に考え、喜びや悲しみを共にするという日本独特の礼儀を重んじる儀礼からきているものです。こうした意味合いもあり、金封を裸で持参するということは、「先方に対する礼を失する」と考えられています。
このように贈り物をする際、精神的・実用的の両面から大きな役割を果たすのが、袱紗(ふくさ)なのです。

袱紗(ふくさ)の使い方は?

袱紗(ふくさ)の使い方は?

結婚式などの慶事とお葬式などの弔事とでは、使える袱紗(ふくさ)の種類や包み方、渡し方などにそれぞれ異なる作法があります。

結婚式など慶事における袱紗(ふくさ)の使い方

慶事の場合は、以下の手順で包むのが作法です。

1.角が上下左右になるように広げる
2.中心より心持ち左に寄るように祝儀袋をおく
3.初めに左端を折りたたみ、次いで上、下、最後に右端の順で折りたたむ
4.左側にはみ出した部分は内に折る

出典 

包んだものを受付などで手渡す際には、以下のような作法で行います。

1.お祝いの言葉を述べる
2.取り出した袱紗(ふくさ)を左手に乗せ、右手で開く
3.時計回りの向きで祝儀袋を回し、相手方に正面を向ける
4.袱紗(ふくさ)を畳み、両手で祝儀袋を渡す。この時、袱紗(ふくさ)は傍らに置いても祝儀袋の台にしても、どちらでもよい

出典 

葬儀など弔辞における袱紗(ふくさ)の使い方

弔事の場合の包み方は、慶事の時とは全体に左右が逆となります。

1.角が上下左右になるように広げる
2.中心より心持ち右に寄るように不祝儀袋をおく
3.初めに右端を折りたたみ、次いで下、上、最後に左端の順で折りたたむ
4.右側にはみ出した部分は内に折る

出典 

包んだものを受付などで手渡す際には、以下のような作法で行います。

1.お悔やみの言葉を述べる
2.取り出した袱紗(ふくさ)を右手に乗せ、左手で開く
3.反時計回りの向きで不祝儀袋を回し、相手方に正面を向ける
4.袱紗(ふくさ)を畳み、両手で不祝儀袋を渡す。この時、袱紗(ふくさ)は傍らに置いても不祝儀袋の台にしても、どちらでもよい

出典 

袱紗(ふくさ)の色や種類は用途で変えるべき?

袱紗(ふくさ)の色や種類は用途で変えるべき?

袱紗(ふくさ)は、用いる場面が慶事か弔事かによって色や柄を使い分ける必要があります。
慶事の場合、色は華やかで明るい印象を与える、赤や朱色、オレンジ、金色や桃色などを選びましょう。
鶴や亀、梅や松など縁起物とされる動植物の柄や刺繍が入ったものを用いることもできます。

弔事の場合は、色は落ち着きを感じさせる寒色系、紺色や藍色などの青系統や緑色、グレー、茶色などを選びましょう。
柄については、蓮や菊といった弔事に用いられる花や家紋などであれば差支えはないとされますが、華美になることは避けなければなりませんので、無地のものを選ぶのが無難かもしれません。

なお、紫色や家紋入りのものは慶事・弔事どちらでも使うことができます。
種類については、主に以下の4つがあります。

風呂敷型

一番オーソドックスなものとなる、正方形のシンプルな形のものです。一般にただの風呂敷よりも上品な素材の生地を用い、丈夫さやデザイン性を高めるため裏地を付けたものも多くあります。金封を渡した後は小さく折りたためるため、持ち運びにもかさばらないというメリットがあります。

爪付き型

風呂敷型に、布を留め具を付けて機能性を高めたものです。持ち運びする際に包みが崩れにくくなるのが利点です。風呂敷型の袱紗(ふくさ)と同様、使用していないときはコンパクトになります。

台付き型

風呂敷型に金封を乗せる台が取り付けられたものです。熨斗袋の型や飾りがより崩れづらくなるほか、包む際に位置を決めやすいという利点があります。

金封型

間に金封を挟むだけで良い封筒型タイプのものです。包む際の作法に迷う必要がないため、時間のない時や慣れない人でも安心して使うことができます。金封があいてしまう心配もありません。もっとも簡易的に使える袱紗(ふくさ)でしょう。
金封型を使うことは現代では決してマナー違反ではありませんが、より伝統的で正式な形にこだわりたい際には、上から三つ目までの中から選ぶことをおすすめします。

袱紗(ふくさ)はどこで手に入れられる?

時間に余裕があり、これを機にきちんとしたものを準備したいという場合は、やはり百貨店で探すのが確実です。
スーツなどフォーマルウェアの売り場のほか、文房具売り場に置いてあることもあります。
また、服飾品や文房具の売り場がある大型のスーパーでも、取り扱っている店舗が多くあり、百貨店に行くよりは身近で便利な場合も多いでしょう。
その他、百円均一ショップや大型雑貨店でも取り扱っているところがありますが、季節によって品ぞろえが変わったりする場合もありますので、緊急の際の利用には注意が必要です。
いざという時に備えて、慌てずに準備をしておくことが肝要です。
今はインターネット上において様々なショップでも購入できます。急ぎの用でなければまずはネットで予算や用途、好みに合ったものを見比べたり、レビューを参考に選んでみるのも良いでしょう。

袱紗(ふくさ)がないときはどうする?

結婚式などの慶事は前もって準備する時間が取れることがほとんどですが、予期できない弔事では急な不幸に駆けつけなければならないなど、袱紗(ふくさ)の用意が間に合わない場合もあります。
金封をそのまま持参するのは避けたいところです。
袱紗(ふくさ)は風呂敷や大判のハンカチで代用することも可能です。
色については慶事・弔事それぞれの場合に合わせ「袱紗(ふくさ)の色や種類は用途で変えるべき?」を参考にご用意ください。

まとめ

まとめ

袱紗(ふくさ)は、のし袋の汚れや破れたりするのを防ぐだけではありません。
お祝い・お悔みを問わずフォーマルな場でふさわしい振る舞いをすることは、喜び・悲しみなど渡す相手の気持ちを考えて共有する、という思いやりです。
相手に対する思いやりの気持ちを正しく伝えるためにはもちろん、お互いへの信頼を深めるためにも大切なことです。
袱紗(ふくさ)の使い方を知り、ぜひ周りとのコミュニケーションと信頼を高めるためにお役立てください。

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