教育ローンの審査は通らない?審査基準や申請時の注意点について解説

教育ローンを利用するには審査を受けて通過する必要があります。本記事では、教育ローンの種類や審査でチェックされるポイント、審査に落ちないための注意点などを解説します。子供の明るい未来のために教育資金をまかなう方法を検討しましょう。

教育ローンの審査は通らない?審査基準や申請時の注意点について解説

教育ローンとは?

教育ローンとは?

教育ローンとは、子供の進学や教育に必要な資金のために利用できるローン商品です。高校や大学への入学金、授業料などのほか、教材費や在学に必要なアパート代などの費用をまかなうために利用できます。

教育費用は、国公立と私立とでは違いがありますが、大学へ進学するとなると相応の費用がかかります。家庭によっては、進学させてあげたい気持ちはあっても、それほどの大金を用意できないといったケースもあるでしょう。

このようなケースにおいて、教育ローンが役立ちます。進学などに要する資金を融通してもらえ、返済も月々無理のない範囲で可能です。

国の教育ローンの特徴

国の教育ローンとは、日本政策金融公庫が提供しているローン商品です。40年以上の取り扱い実績があるローンで、さまざまな教育シーンへの利用が可能です。
金利は固定金利で、年1.95%(2022年11月時点)と低いのも特徴です。また、奨学金との併用もできるため、より幅広い使い道を検討できます。

一方、世帯年収に上限が設けられている点には注意が必要です。世帯年収の上限額は、子供1人で790万円、2人で890万円、3人で990万円となっています。また、申し込み時には住民票の写しや源泉徴収票、預金通帳のコピーなどさまざまな書類が必要になる点も覚えておきましょう。

【参考】日本政策金融公庫「教育一般貸付 (国の教育ローン)」詳細はこちら

国の教育ローンの特徴

項目 内容
融資限度額 350万円(一定の要件に該当の場合450万円)
金利 固定金利 年1.95% (2022/11/19時点)
年齢制限 なし
返済期間 最長15年
保証人 必要 ※教育資金融資保証基金の保証利用で不要
所得制限 世帯年収790万円以下(子供が1人増えるごとに100万増)
必要書類 ・借入申込書
・住民票の写し
・運転免許証またはパスポート
・源泉徴収票または確定申告書の控え
・支払い状況がわかるもの(預金通帳・領収書など)

民間の教育ローンの特徴

民間の教育ローンとは、銀行や信用金庫などの金融機関が提供しているローン商品を指します。現在ではさまざまな金融機関が教育ローンを取り扱っており、銀行や信用金庫によって借入可能額や返済期間、金利などが大きく変わります。

民間の金融機関が提供している教育ローンは、大抵は担保や保証人が不要である点が魅力です。ただし、金融機関によって、保証会社による保証を求められることが少なくありません。

金融機関によっては、オンラインで申し込み後、事前審査の回答が最短即日といったところもあります。また、金利を固定と変動の2タイプから選べるところが多いのも特徴です。

一方、収入の下限が定められているケースが多く見受けられるため注意しましょう。また、口座を開設していないと申し込めないところもあります。

民間の教育ローンの特徴

項目 内容
融資限度額 金融機関による
金利 金融機関による
年齢制限 満20~65歳以下が多い
返済期間 金融機関による
保証人 保証人は不要で、保証会社の保証が必要な場合が多い
所得制限 年収下限を設ける金融機関もある
必要書類 ・借入申込書
・本人確認書類
・合格や在学を証明できる文書
・収入を証明できるもの
・資金の使い道を証明できる文書

国と民間の教育ローンの違い

国の教育ローンは、民間の教育ローンと比較して低金利で利用できる点が大きな魅力です。また、金利が固定されているため返済額が一定であり、資金計画を立てやすいのもメリットです。一方で、利用時には保証人を求められるのはデメリットでしょう。

民間教育ローンは、金利のタイプを任意で選択できる点が魅力です。もちろん金融機関によりますが、自身の経済状況やそのときの利率などで金利を選択できるのはメリットです。一方、国の教育ローンに比べると金利が高めに設定されているケースが多いため、注意しましょう。

また、民間の場合は、より幅広い用途に利用できる商品が多いのも特徴です。たとえば、高校や大学への入学金、授業料などだけでなく、塾や幼稚園などの学費に使える教育ローンもあります。

国と民間の教育ローンの違い

項目    国の教育ローン 民間の教育ローン
金利 固定・低金利 金利は高め ※固定・変動を選択できる可能性あり
保証人  原則必要 不要な金融機関も多い
所得制限  収入の上限あり 収入の下限を設定している場合あり
使用用途  限定的 広く設定されていることも多い

教育ローンの審査のポイント

教育ローンの審査のポイント

教育ローンを利用するには審査を受けてクリアしなくてはなりません。審査基準は金融機関によって異なりますが、一般的には安定した収入があるか、信用情報にキズはないか、多くの負債を抱えていないか、といった点をチェックされます。

安定した収入があるか

安定した収入を得られていないと、審査に落ちてしまうおそれがあります。安定した収入がなければ返済が滞るおそれがあるためです。金融機関もサービスとして教育ローンを提供しているため、返済の見込みが低い、リスクが高いと判断した相手には融資してくれません。

多くの金融機関では、申し込み時に所得を証明できる書類の提出が求められます。源泉徴収票や確定申告書、給与明細などが必要なので、安定した収入の証明が出来なければ、審査に通るのは難しくなります。

また、収入の安定性だけでなく、雇用形態や勤続年数なども審査に影響を及ぼすことを覚えておきましょう。基本的に、パートやアルバイト、派遣社員などよりも、正規雇用の社員のほうが信頼度は高いため、審査に有利です。また、勤続年数が長ければ収入が安定していると判断でき、今後の収入増も見込めるため審査に通りやすくなると考えられます。

信用情報にキズがないか

信用情報にキズがあると、返済が遅れる、回収できないリスクがあると判断されるおそれがあります。金融機関は、信用情報機関で個人の信用情報を照会できるため、キズがあることを隠しても知られてしまいます。

信用情報のキズとは、返済金の延滞や自己破産、任意整理といった債務整理、支払い遅延によるクレジットカードの強制解約、保証会社による代位弁済などが該当します。これらの情報は複数の信用情報機関に登録、共有され、数年間残るため注意が必要です。

信用情報にキズがあるかどうかわからない、という場合は、情報開示を検討してみましょう。信用情報機関に情報開示の請求をすれば、自身の信用情報をチェックできます。ただ、手続きが面倒なうえに手数料が発生します。

多くの負債をかかえていないか

多くの負債をかかえていると、審査に通らないおそれがあります。いくつもの銀行でカードローンを限度額いっぱいまで利用している、複数の消費者金融から借り入れしている、といったケースでは、返済が滞り融資した資金の回収ができなくなるリスクがあるため、教育ローンの審査で不利になってしまいます。

まずは現状を確認してみましょう。カードローンやクレジットカード、消費者金融からの融資など、借り入れ件数や総額がどれくらいあるのかチェックします。完済できるものがあれば完済し、借り入れ件数を減らすのもひとつの手です。

なお、他社からの借り入れ件数や金額などをごまかすのは不可能です。これらの情報も、信用情報機関を介して共有されるためです。申し込み時に虚偽の記載をすると、余計に審査が不利になってしまうおそれがあります。

教育ローンの審査の流れ

教育ローンの審査の流れ

教育ローンに申し込みをすると、審査が行われて無事に通過すれば融資を受けることができます。国と民間では審査の流れにやや違いがあり、実際に融資受けるまでの期間にも違いがあります。

国の教育ローンの審査の流れ

国の教育ローンの申し込みはインターネットや郵送、日本政策金融公庫の窓口などで行えます。申し込みをすると、約10日で審査の結果が通知されます。審査を通過したら契約のステップへ進むため、必要書類を用意して日本政策金融公庫の窓口へ足を運ぶ、もしくは郵送で提出します。

必要書類は、ご融資のお知らせと印鑑証明書、合格や在学を確認できる書類、預金口座振替利用届、送金先口座の預金通帳などです。日本政策金融公庫の窓口へ直接行くのではなく、郵送の場合は、預金通帳はコピーを送ります。

ここまでの手続きが完了したら、あとは融資金の入金を待つのみです。申し込みしたときの指定口座へ入金されるため、金額に誤りがないか確認しましょう。

なお、申し込みから実際に入金されるまでの期間は、だいたい20日前後です。審査結果が出るまでに10日、入金までに10日ほどかかります。とはいえ、合格発表の時期は申し込みが多く、審査にさらに時間を要します。日本政策金融公庫の公式サイトでは、必要になる2~3ヶ月以上前など十分余裕をもって申し込むよう勧められています。

【参考】日本政策金融公庫「教育一般貸付 (国の教育ローン)」詳細はこちら

民間の教育ローンの審査の流れ

民間の教育ローンでは、手続きにより多くのプロセスを経るため注意が必要です。金融機関によって多少の違いがあるかもしれませんが、一般的には仮申し込みと仮審査を経てから本申し込みと本審査へ移行します。

本審査を無事に通過したのち、契約を交わせば融資金を入金してもらえます。このように、民間では事前に仮の審査が行われ、それをクリアしたら本審査と二段階の構えとなっている点が特徴です。

申し込みから入金までの期間も、金融機関によって異なります。契約をオンラインで進めるのか、それとも郵送なのかによっても期間は変化するため注意が必要です。早ければ1週間程度で入金されるところもあれば、2週間近くかかるケースもあります。早く融資を受けたい方は、申し込み時に入金までどれくらいかかるのか、目安を聞いておくとよいでしょう。

教育ローン審査に落ちてしまったら…

教育ローン審査に落ちてしまったら…

教育ローンの審査に落ちてしまっても、諦める必要はありません。このようなケースでは、日本学生支援機構の奨学金や社会福祉協議会の教育支援金、銀行のカードローンなどの利用も検討してみましょう。

日本学生支援機構の奨学金を活用する

奨学金は、勉学への高い志があるにもかかわらず、経済的な理由で必要な教育や希望の進学ができない方を救済するための制度です。日本学生支援機構の奨学金には、返済が不要な給付型と返済しなくてはならない貸与型の2つがあります。

ただ、返済の必要がない給付型の奨学金は人気が高く、申し込みする方が非常に多いです。そのため、確実に利用できるわけではありません。また、貸与型の奨学金は学校を卒業してから子供自身が支払いをしなくてはならないことも覚えておきましょう。

なお、奨学金の返済期間は最長20年です。返済期間を長く設定できるため、月々の負担を小さくでき、無理のない返済が可能です。ただ、卒業後に長期に渡って奨学金の返済負担に苦しむ方もいます。子供自身が将来かけて返済していく覚悟の上、奨学金をもらうか検討しましょう。

社会福祉協議会の教育支援金を活用する

社会福祉協議会の教育支援金は、税金を財源とした貸付制度です。授業料などの未払い分のみを対象としており、実際の学費に応じた金額を上限に貸付されますが、学費が不足するケースでは上限の1.5倍までの貸付が可能です。

また、入学金として利用できる就学支度費の貸付も行っています。高校や専門学校、大学の入学金として利用でき、50万円までを融資してもらえます。

なお、貸し付け対象となる世帯に関して、条件が厳密であるため注意が必要です。所定の収入基準を超えていない、卒業まで生計を維持できる収入があるなど、細かく定められているため事前に確認しておきましょう。

その他のローンを検討する

教育ローン以外のローン商品を検討するのもひとつの手です。たとえば、フリーローンであればあらゆる用途に利用できるため、入学金や授業料の支払いなどにも使えます。

銀行のカードローンという方法もあります。カードローンは融資実行までの時間が速いため、できるだけ早く融資してもらいたい、と考える方にも適しています。なかには、最短即日の融資が可能なカードローンもあります。また、利用限度額の範囲内であれば、繰り返し融資を受けられる点も魅力です。

教育ローンの審査に落ちないために…

教育ローンの審査に落ちないために…

教育ローンの審査に通過できるよう、公共料金の支払いの滞納に注意しましょう。また、借金がある方は返済を進める、申し込み情報は正しく記載する、親が申し込むなども審査を通過するために大切なポイントです。

公共料金の支払いを滞納しない

国の教育ローンを利用するケースでは、預金通帳の提出を求められます。預金通帳には、水道光熱費などの引き落とし記録が残っているため、滞納しているかどうか一目瞭然です。

公共料金の支払いが滞っているような場合、教育ローンの返済もできないおそれがあります。未回収のリスクが発生するため、融資を断られてしまうかもしれません。日ごろから公共料金の支払いを滞納しないよう注意しましょう。

借金の返済を進める

他社からの借り入れ件数や借金の金額が多いと、教育ローンの審査でマイナスポイントになってしまうおそれがあります。少しでも審査の通過率を高めるため、借金の返済を進めましょう。

借金の返済を進めるため、まずは現在の状況を正確に把握しましょう。
そのうえで自身の収入から、毎月どれくらい返済に回せるのかを確認しましょう。さまざまな部分を節約する、副業やアルバイトで収入源を増やすなども、借金の早期返済に有効です。

申し込み情報は正しく記載する

申し込み情報に誤りがあると、誤った情報をもとに審査されてしまうため、通過できないおそれがあります。勤続年数を書き間違えた、収入の金額を間違えた、といったケースが該当します。

また、他社からの借り入れ件数や借金の金額などもきちんと申告しましょう。これらの情報は、信用情報機関に照会すれば分かるので虚偽の記載はかえって印象を悪くしてしまうため注意が必要です。

まとめ

教育ローンは国と民間に大別され、それぞれ特徴やメリット・デメリットが異なります。

特に民間の教育ローンは種類がさまざまなので、自分にあったものを選ぶことができます。双方の特徴などを踏まえたうえで、最適と考えられる選択をしましょう。審査でどのような部分がチェックされるのか、審査に落ちないためにはどうすればよいのかも押さえておくようおすすめします。

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