2022年4月に年金手帳が廃止になった!必要な手続きや対応を解説

年金保険料の納付確認や、将来年金を受け取る際に必要となる「年金手帳」が2022年4月に廃止されました。この記事では、年金手帳の役割や年金手帳が廃止されたことに伴って必要な手続きや対応について解説します。老後の生活資金となる年金の管理を見直すきっかけにしてみてください。

2022年4月に年金手帳が廃止になった!必要な手続きや対応を解説

年金手帳とは?

年金手帳とは?

年金手帳は、20歳以上の人あるいは、20歳未満で企業に勤めている人に交付される年金に関する情報が記載された手帳のことです。
年金手帳の種類とその役割について解説します。

年金手帳の役割

従来、年金手帳は「保険料納付の領収の証明」「基礎年金番号の本人通知」の役割があり、各個人や勤務先が年金の加入状況を把握するために使われていました。

年金手帳によって、公的年金(国民年金・厚生年金)の加入者であることが証明できます。また、転職や扶養に入るなど、加入する年金の制度が変わったタイミングで年金手帳が必要となります。

年金手帳の種類

年金手帳は、大きく4つの種類があります。加入時期や加入年金によって、以下のように様式が異なります。

加入時期 加入年金
厚生年金保険
被保険者証
1954(昭和29)年5月~
1974(昭和49)年10月
厚生年金保険
茶色の手帳 1960(昭和35)年10月~
1974(昭和49)年10月
国民年金
オレンジ色の手帳 1974(昭和49)年11月~
1996(平成8)年12月
国民年金または厚生年金保険
青色の手帳 1997(平成9)年1月以降 国民年金または厚生年金保険

2022年4月に年金手帳が廃止になった!

2022年4月に年金手帳が廃止になった!

2020年5月29日に「国民年金手帳から基礎年金番号通知書への切替え」が盛り込まれた「年金制度の機能強化のための国民年金法などの一部を改正する法律」が成立しました。
これによって、2022年4月1日から年金手帳の新規発行は廃止されています。

年金手帳が廃止になった理由・背景

年金手帳が廃止になった理由は、従来の年金手帳の役割がほかのもので代替できるようになったからです。

現在、年金手帳で重要な被保険者の情報や保険料納付の記録は、オンラインシステムで情報が管理されています。
また、マイナンバーと基礎年金番号の紐づけが進んだことに伴い「年金手帳を発行する必要性が薄れてきた」ことも、年金手帳が廃止となった背景として考えられるでしょう。

廃止後は、基礎年金番号通知書が発行される

2022年4月1日以降に新たに公的年金に加入する人には「基礎年金番号通知書」が送付されます。年金手帳は廃止されましたが、年金の加入情報を管理している「基礎年金番号」は廃止されていません。

年金手帳も従来通り「基礎年金番号を明らかにする書類」として行政手続きなどに利用できます。

年金手帳廃止後に必要な手続き・対応

年金手帳廃止後に必要な手続き・対応

年金手帳は、公的年金(厚生年金・国民年金)に関する手続きを行う際に必要です。年金手帳が廃止された後の対応方法を知っておきましょう。

厚生年金に加入する・変更する場合

企業に勤めている人は、国民年金に加えて厚生年金に加入しています。就職や転職における手続きの一例は以下の通りです。

被保険者資格取得の届出

年金手帳の廃止後に厚生年金保険の被保険者資格を取得した場合、勤務先の担当窓口(総務課など)に「基礎年金番号通知書」を提出します。
なお、基礎年金番号が紐づいているマイナンバーを提出している場合は、基礎年金番号通知書の提出は不要です。

被保険者の氏名変更

厚生年金の場合は、年金加入者(被保険者)の氏名に変更があっても「年金手帳」または「基礎年金番号通知書」の提出は求められません。勤務先である企業に氏名変更の旨を伝え、企業が必要に応じて日本年金機構へ手続きを行います。

その他

老齢厚生年金を請求する際の請求書など、年金受給に関する手続きの際には「年金手帳」または「基礎年金番号通知書」の提出が必要となります。

国民年金に加入する・変更する場合

日本に住んでいる20歳以上60歳未満の全ての人は加入している国民年金。国民年金における手続きの一例は以下の通りです。

被保険者資格取得の届出

国民年金の被保険者資格を取得した場合は、直ちに「基礎年金番号通知書」などを日本年金機構に提出する必要があります。会社を退職して、自身で国民年金に加入する場合などが当てはまるでしょう。

なお、国民年金被保険者の資格取得(種別変更)の届け出は電子申請が利用できます。

被保険者の氏名変更

国民年金の場合、マイナンバーと基礎年金番号が結びついている被保険者であれば原則として、被保険者の氏名変更の届け出は不要です。
それ以外の場合には、被保険者の氏名に変更が生じた際に基礎年金番号通知書を日本年金機構に提出し、基礎年金番号通知書の再交付の申請を受けます。国民年金第1号被保険者の方などが当てはまるでしょう。

なお、マイナンバーと基礎年金番号が結びついているか否かは「ねんきんネット」や近くの年金事務所で確認可能です。

その他

老齢基礎年金を請求する際の請求書など、年金受給に関する手続きの際には「年金手帳」または「基礎年金番号通知書」の提出が必要となります。

年金手帳廃止に関するよくある質問

年金手帳廃止に関するよくある質問

年金手帳に関するよくある質問について、解説します。

年金手帳を紛失した場合どうする?

年金手帳は2022年4月1日から廃止されたため、再発行をすることはできません。
会社勤めをしている人は、勤務先を通じて事業所を管轄する年金事務所で「基礎年金番号通知書」の発行手続きを行いましょう。

なお、国民年金加入者は住んでいる地域の市区町村役場の担当窓口で手続きが必要です。

自分の年金の受給額がいくらか確認するには?

自分の年金の受給額は、毎年自身の誕生月に送られてくるねんきん定期便で確認することができます。

そのほか、年金事務所の窓口やねんきんネットでも年金記録や年金受給見込み額をみることができるでしょう。

年金手帳を捨てても大丈夫?

年金手帳を捨ててもペナルティーが科されるわけではありませんが、年金手帳が再発行されることはないため、保管しておくことをおすすめします。

年金に関する手続きが必要なタイミングとは?

加入者自身による年金に関する手続きが必要なタイミングは、主に以下の通りです。

・学生納付特例制度など免除・納付猶予制度の申請を受けたい時
・退職をした時
・第1号被保険者に年金種別が変更となった時

出典 

手続きをした方がよいのか不安な時は、年金事務所に確認するとよいでしょう。

まとめ

まとめ

2022年4月以降に年金手帳は廃止となり、新規の発行や再発行は行われなくなりました。年金手帳は廃止されましたが、わたしたちの生活には大きな影響はなく、むしろ手続きの簡素化にもつながるよいきっかけであったといえるでしょう。

これを機に、ご自身の基礎年金番号、年金加入履歴、受給見込み額などを確認してみることをおすすめします。

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