家賃の適正予算はいくら?あなたの年収から考える適正家賃

生活費の中で、多くを占めるのが住居費です。今回は、賃貸の場合、年収から考える家賃はどれくらいが適正なのかについて考えます。家賃を下げれば家計のゆとりは生まれる一方、住環境の満足度は下がる傾向にあり、トレードオフの関係といえます。どうバランスをとればいいか、考えてみましょう。

家賃の適正予算はいくら?あなたの年収から考える適正家賃

「適正家賃は年収の1/3」は過去のもの!

「適正家賃は年収の1/3」は過去のもの!

さまざまな事情により、固定費が負担になっているという方もいるかもしれません。「わが家は家賃が高すぎる?」と疑問に思った方は、世帯の年収に対する家賃の割合を計算してみてください。

例えば、世帯の年収が600万円(夫:430万円、妻:170万円)、家賃(管理費等含む)が15万円であれば、次のように計算します。

■あなたの家賃割合は?

例)世帯年収600万円
家賃(月額) 15万円 × 12カ月 ÷ 世帯年収 600万円 =  30%

この家賃割合、かつては「3割(30%)」ないしは「1/3(≒33%)」が目安とされていました。ただし、この割合には明確な「根拠」があったわけではなく、家計のバランスがとりやすい目安として使われていたものです。

しかし、バブル景気(1986~91年)崩壊後、徐々に家計が厳しくなるにつれ、「3割や1/3が家賃の適切」という言い方はされなくなりました。

収入の維持も不確実な時代になっています。そして、単に収入が下がっただけでなく、次のような変化が家計から余力を奪ったこともあります。

■家計から余力を奪った変化

・教育資金はじわじわと上昇している
・社会保険料や消費増税などで、可処分所得が減っている
・終身雇用制が崩壊し、雇用が不安定化している
・老後は退職金と年金だけでは暮らせず、貯蓄で備える必要性が認識されるようになった
・介護のための資金も準備しておかなくてはいけない

現代は「年収の20~25%以内」を目安に

FPの立場で家賃割合の目安についてアドバイスを求められるときは、「年収の20~25%以内」という表現を用いることが多いです。なぜなら、多くの家庭では、家賃が「年収の20~25%」に収まれば、家賃以外の家計支出を捻出しても貯蓄に回す資金を残せるギリギリのラインとなる場合が多いからです。

具体的に、年収別に見た家賃の目安は下記のようになります。

■年収から見た家賃の目安早見表

世帯年収20%25%
300万円5.0万円6.3万円
400万円6.7万円8.3万円
500万円8.3万円10.4万円
600万円10.0万円12.5万円
700万円11.7万円14.6万円
800万円13.7万円16.7万円
900万円15.0万円18.8万円
1,000万円16.7万円20.8万円

世帯年収が700万円であれば、家賃の目安は11.7~14.6万円以内とみることができます。

こんなときは「20~25%以内」にこだわりすぎない!

「家賃の目安は年収の20~25%以内」はあくまでも「目安額」です。個々の事情により、多少の調整を加えて考えることが必要です。どんなケースか、具体的にみてみましょう。

・子供がいる家庭
子供がいる家庭では広さや部屋数などが求められ、教育の面から住むエリアにこだわる場合もあり、家賃が目安額を超えるケースがあります。祖父母からの支援がある、あるいは家賃に回せる貯蓄が十分にあれば問題ないですが、そうでない場合は早々に世帯収入を上げることが必要になります。子供が多いほど生活費も教育費もかかるので注意しましょう。

・収入減の予定がある
「子供が生まれたら妻は仕事を辞める」「夫が数年後に定年退職し収入が半減する」など、何らかの事情で数年以内に収入が下がる予定がある場合は、減った後の世帯年収で家賃の割合を再計算します。すでに賃貸住宅に住んでいるなら、年収が下がる前に住み替えましょう。逆に収入増が見込まれる場合は、実際に収入が上がってから住み替えるなど慎重な対応をするのが賢明です。

・年金生活の方
年金生活の場合、できるだけ目安の範囲内にとどめたいところです。目安額ではセキュリティなど住まいに不安や問題が出るというような場合は、公営住宅を検討する、親族と暮らすといった方法も検討しましょう。一般的に老後は、医療や介護のコストがかかるので、貯蓄があってもそれを取り崩すような家賃の物件は避けたいところです。

・世帯年収が低め
世帯年収が300万円だと家賃の目安は月5万~6.3万円です。一人暮らしや家賃の安い地域であれば問題ないですが、4人暮らしでこの予算だと物件が見つからない可能性もあります。セキュリティや住環境から予算をやや高めに調整するのもひとつの方法ですが、その分貯蓄できない可能性が高いので、早めに世帯年収を上げるか家賃の低い物件を探すことも必要です。

・世帯年収が高い
世帯年収が高く、しかも収入が安定しているなら、「20~25%以内」にこだわる必要はありません。生活費に充てられる資金が大きい分、家賃割合が超えても問題はないといえます。

・貯蓄が多い
生活予備費や教育資金、老後資金など確実にキープすべき貯蓄とは別に、住居費に回せる貯蓄がある場合は、目安を超える家賃でも問題はないでしょう。

このほか、所得が毎年変動する自営業などの場合は、低めの所得を前提に家賃を決めるといいでしょう。引越しを繰り返すのは高コストですので、少し先の家計の変化も織り込んだ家賃の物件を選ぶことが大事です。

家賃を抑えてよりよい住環境を確保するには?

一般的には家賃を下げてコストを抑えるほど、住環境の満足度は下がります。基本的に家賃と住環境は「トレードオフ」の関係にあるといえます。では、家賃を抑えながらよりよい住環境を確保する方法を考えてみましょう。

・何かを妥協する
住宅に対する満足度は人によって異なります。より優先度が高い条件を書き出し、それを「譲れない」と「できれば」に仕分けし、その条件で希望の物件が見つかるまで優先順位の低い条件を消していくのです。家賃の条件を柱に据えつつ、ネットで検索をかけるといいでしょう。

・発想を変える
さまざまリスク要因から郊外や地方の住宅が再注目されています。リモートワークなども増える中、家賃の低いエリアで大きな家に住むなど発想を変えてみるのもひとつの方法です。また、実家に住む、親族の家に同居させてもらうなどが可能な環境であれば、検討してみてはいかがでしょうか。

・物件を購入する
賃貸の話に終始しましたが、無理のない範囲で住宅を購入し、早めに完済するという方法もあります。ただし、頭金を多めに入れるなどで、住宅ローンも「20~25%以内」に収めるのが理想です。

まとめ

人生100年時代、個人の状況はもちろんですが、社会的な状況も大きく変わっている時代です。固定費に資金を使いすぎず、いかに満足した住環境を得られるかどうかは、ライフプランを立てるうえで、重要な課題のひとつになりそうですね。

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