新NISAの年齢制限とは?上限の有無や年代別の運用ポイントも解説

新NISAには年齢制限があります。利用が可能なのは、1月1日時点で18歳以上である日本在住の方です。18歳未満の方は利用できません。しかし、新NISAは対象年齢に上限がなく、旧NISAと比較してさまざまな点が進化しています。この記事では、新NISAの年齢制限や年代別の運用のポイントなどを解説します。

新NISAの年齢制限とは?上限の有無や年代別の運用ポイントも解説

新NISAには年齢制限がある!対象年齢は18歳以上の人

新NISAには年齢制限がある!対象年齢は18歳以上の人

2024年1月から始まった新NISAの対象年齢は、1月1日時点で18歳以上の人です。

例えば、2006年4月1日生まれの人は、2024年の4月1日に18歳となります。そのため、2025年の1月1日以降に新NISAの口座が開設できるようになります。

18歳を迎えるのは2024年ですが、1月1日時点ではまだ17歳であるため、新NISA口座を開設することはできません。

一方、新NISAの対象年齢には上限が設けられていないため、60歳や70歳といったシニア世代も新NISAの利用は可能です。

ジュニアNISAは2023年末で廃止!18歳未満の未成年は利用不可に

ジュニアNISAは2023年末で廃止!18歳未満の未成年は利用不可に

2023年までの旧NISAには、一般NISA・つみたてNISA・ジュニアNISAという3種類の非課税枠がありました。

このうちジュニアNISAは、18歳未満※の未成年者を対象とした非課税制度です。
※2022年3月31日以前は20歳未満

2023年以前であれば、ジュニアNISAの口座を開設することで、未成年の方でもNISAの利用が可能でした。

しかし、ジュニアNISAは2023年末をもって廃止されています。そのため、2024年以降はジュニアNISA口座の新規開設と、商品の買い付けはできなくなります。

また、新NISAでジュニアNISAに変わる非課税枠は設けられなかったため、18歳未満の方はNISA口座の新規開設ができなくなりました。

なお、ジュニアNISAで投資した商品は、口座の名義人が18歳になるまで、引き続き非課税で保有し続けることができます。

新NISAと旧NISAはどう違う?主な変更点を解説

新NISAと旧NISAはどう違う?主な変更点を解説

新制度の開始にともない、18歳未満の方はNISAを利用できなくなりました。しかし、1年間で投資できる金額は増やされ、商品を非課税で保有する期間が無期限に延長されるなど、さまざまな面が改善されています。

新NISAと旧NISA(つみたてNISA・一般NISA)の制度内容の違いは、以下の表をご確認ください。

新NISAと旧NISAはどう違う?主な変更点を解説

※①整理・管理銘柄、②信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託およびデリバティブ取引を用いた一定の投資信託等は対象外

旧制度のつみたてNISAはつみたて投資枠へ、一般NISAは成長投資枠へと役割が引き継がれます。

ここでは、新NISAが旧NISAと比較してどのように進化したのかを解説します。

非課税で運用できる金額が大幅に増額

旧NISAの年間投資枠(1年間で新規投資できる金額)は、つみたてNISAが40万円、一般NISAが120万円でした。

新NISAでは、つみたて投資枠が年間120万円、成長投資枠が年間240万円に増額されています。

また、つみたて投資枠と成長投資枠は併用できるため、1年間で最大360万円まで新規投資が可能です。

非課税保有限度額については、つみたてNISAが800万円、一般NISAが600万円でしたが、新NISAでは1,800万円(成長投資枠は1,200万円)にまで増額されました。

年間投資枠と非課税保有限度額が拡大されたことで、新NISAではより多くの金額を非課税で運用することが可能です。

そのため、老後資金のような一般的に多額といわれる資金を準備する際にも活用しやすくなったといえます。

長期にわたる資産形成に活用できるようになった

旧NISAの非課税保有期間(商品を非課税で保有できる期間)には制限があり、つみたてNISAが最長20年、一般NISAが最長5年※とされていました。
※2023年以前はロールオーバーにより最長10年まで非課税での保有が可能

それに対して新NISAは、非課税保有期間が無期限となったため、より長期の資産形成に活用できるようになりました。

運用期間が長ければ長いほど「複利効果」が働きやすくなります。複利効果とは、投資で得られた利益を元本に組み入れて再投資をすると得られる効果のことです。

複利効果が働くと、利益がさらなる利益を生み、資産が雪だるま式に増えていく効果が期待できます。

また、非課税保有期間が無期限になったことで、相場の低迷などの理由で保有する商品の価格が一時的に下がった時に、再び価格が上昇するまで待つという選択をしやすくなりました。

より柔軟な運用ができるようになった

旧NISAでは、つみたてNISAと一般NISAのどちらかしか選べませんでした。それが新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能です。

例えば「つみたて投資枠で投資信託を積み立てながら成長投資枠で個別株に投資をする」といった、より柔軟な運用ができるようになりました。

また、つみたて投資枠と成長投資枠で別々の商品を積み立てることも可能です。

つみたて投資枠の対象商品である投資信託は、投資対象に株式を含められる「株式型」と、株式、債券、不動産(REIT)といった複数の資産に投資する「バランス型(資産複合型)」の2種類となります。

一方、成長投資枠は、株式型やバランス型の対象商品がつみたて投資枠よりも豊富です。また、投資対象に債券(国債・社債)を含められる「債券型」のような、つみたて投資枠では対象外である投資信託にも投資することも可能です。

株式型と債券型を比較すると、前者の方がリスクとリターンが高い傾向にあります。債券型の投資対象である債券は、株式よりも値動きが小さく、ローリスク・ローリターンといわれています。

例えば、つみたて投資枠で株式型投資信託を積み立てて積極的にリターンを狙い、成長投資枠で債券型投資信託を積み立てて堅実に資産を形成していくことも可能です。

2つの非課税枠を併用できるようになり、柔軟に投資戦略を練られるようになったことで、新NISAは旧NISAよりも利便性が向上しているといえます。

ライフステージに応じた運用がしやすくなった

新NISAには「保有する商品を売却すると非課税投資枠が再利用できるようになる」という旧NISAにはない仕組みがあります。

非課税口座で保有する商品を売却すると、翌年にその商品を取得した時の価格分だけ非課税投資枠が復活します。

そのため、ライフイベントに合わせて積み立てた資産を取り崩しながら、遠い将来に向けて資産形成を続けることも可能です。

例えば、結婚や子供の進学など資金が必要になった時は積み立てた資産を取り崩し、再利用できるようになった非課税投資枠を用いてセカンドライフの資金を準備できます。

このように新NISAは、旧NISAと比較してライフステージに合わせた長期的に資産形成に活用しやすい制度になったといえます。

【年代別】新NISAで資産運用をする時のポイント

【年代別】新NISAで資産運用をする時のポイント

新NISAで資産形成をする際は、年齢やライフステージに応じて運用方針を見直すことが大切です。年齢やライフステージが変化すると、資金を準備する目的や運用に充てられる期間などが変わるためです。

ここでは、20代から60代の方が新NISAで資産運用をする際のポイントを解説します。

【20代】資産運用を早く始めることにより長期投資が可能に

20代から新NISAでの運用を始める場合、運用期間を長く取りやすいです。⻑期にわたってコツコツと積立を続けると複利効果が働きやすくなるため、少ない積立額でも多くの資金を準備しやすくなります。

例えば、毎月2万円ずつ積み立てるとしましょう。運用期間が40年であれば、年3%というやや堅実な想定利回りでも、約1,852万円の資金を準備することが可能です。

また、投資期間を長く取ることができれば、ハイリスク・ハイリターンの商品も選択しやすくなります。つみたて投資枠で、米国株式や先進国株式などが投資対象である投資信託を積み立てて、将来にむけた資金づくりを始めるのも1つの方法です。

一方で、結婚資金やマイホーム購入資金など使い道が決まっており、かつ準備期間が10年以内と比較的短いのであれば、リスクが低い商品を積み立て準備した方がよいといえます。

リスクが低い商品であれば、資金が必要になった時に元本割れが生じにくくなるためです。

ただし、低リスクである商品でも、元本割れとなる可能性は決してゼロではありません。そこで、資金が必要となる1〜2年ほど前に利益が生じているのであれば、積み立てた資産を売却して預貯金口座に入れておくことも検討するとよいでしょう。

【30代】家計に負担のない範囲でライフイベントにむけた資金準備を

30代は、20代のころよりも収入が増える傾向にあるため、投資に回せる余剰資金を増やしやすいです。その一方で、結婚や出産、マイホームの購入などさまざまなライフイベントと重なりやすい年代でもあります。

そのため、家計に負担とならないよう、ライフステージに応じて新NISAの投資額を調整することが大切です。

例えば、単身世帯や子供のいない夫婦共働き世帯の方は、20代のころよりも世帯収入が増えたのであれば、新NISAの投資額を増やし、将来にむけた資産形成を加速させるのも1つの方法です。

一方、結婚を機に配偶者が退職をして世帯収入が減った時や、子供が誕生して生活費や教育費が増えた時は、毎月の積立額を一時的に減らした方がよいかもしれません。

商品の選び方については、20代と基本的には同じです。例えば、使い道が決まっており準備期間が短い資金は低リスクの商品を、使い道が決まっていない資金や老後資金を準備するのであればリスクが高い商品を中心に検討するとよいでしょう。

【40代】マイホーム購入や子供の進学などに備えた運用を

40代においても、マイホーム購入や子供の進学などのライフイベントが起こりやすいといわれています。また子育て世帯の場合は、子供が成長したことにより生活費や教育費も増えやすいです。

一方で、そろそろセカンドライフにむけた資産形成の開始を検討したい年代でもあります。家計に負担を与えない範囲で、マイホームの購入や子供の進学などに必要な資金を準備しつつ、別枠で老後にむけた積立をするのが望ましいといえます。

新NISAを利用する際は、資金を準備する目的に応じて、運用商品を使い分けるのも一案です。

例えば、毎月5万円ずつ金融商品を積み立てるとしましょう。毎月3万円はリスクが低い商品で使い道の決まっている資金を、残り2万円で比較的リスクの高い商品で老後資金を積み立てていきます。

40代であれば、セカンドライフが始まるまでに20年以上あるため、老後資金を準備する際に株式型投資信託のようなハイリスク・ハイリターンの商品も選択しやすいといえます。

【50代】セカンドライフに備えた資産運用を

50代は、40代以前よりも世帯収入が増えている可能性があります。子育て世帯の場合は、子供が独立したことで毎月の支出が減り、家計に余裕が生まれるかもしれません。

投資に回せる余剰資金が増えたのであれば、積極的に新NISAを利用して、老後資金の準備を始めることをおすすめします。

特に、教育費の支払いやマイホームの購入などで貯蓄が大幅に減ってしまっている方は、積立額を増やして老後にむけた資産形成を本格的に開始するとよいでしょう。

50代から老後資金を準備する場合、準備期間に応じて商品を分けるのも選択肢の1つです。

例えば、定年退職を迎えたあとの当面の生活資金はバランス型投資信託で、70歳以降の支出に備えた資金は株式型投資信託を積み立てるという方法があります。

ただし50代であっても、子供が大学や専門学校などに進学をする場合や、役職定年を迎えて世帯収入が減る場合は、無理に積立額を増やさないようにすることが大切です。

【60代】資産を減らさない堅実な運用を中心に

60代に入ると、セカンドライフの開始まで残りわずかとなります。セカンドライフが始まったあとは、国からの年金を受給しながら、築いてきた資産を取り崩していくことになるでしょう。

平均寿命が延びており人生100年ともいわれる時代においては、セカンドライフが20年や30年、あるいはそれ以上の長期になる可能性があります。

寿命を迎える前に資産が枯渇してしまうと、希望どおりの老後生活が送れなくなるかもしれません。

かといって、リスクの高い商品で運用をすると、大きな損失が発生して貴重な資産が大幅に減ってしまう恐れがあります。そのため60代の資産運用では、資産を極力減らさないことが重要です。

ハイリスク・ハイリターンの商品ではなく、低リスクで堅実なリターンが期待できる商品を中心とし、守りを重視した運用を心がけることをおすすめします。

また、定年退職時に退職金を受け取ったからといって、投資額を大幅に増やすのは避けた方が賢明です。老後生活では、住宅のリフォームや子供・孫への資金援助、有料老人ホームの入居などでまとまった支出が生じることがあるため、ある程度の現金は持っておくことをおすすめします。

NISAの年齢制限に関するよくある疑問

NISAの年齢制限に関するよくある疑問

最後に、新NISAの年齢制限に関するよくある質問とそれに対する回答をご紹介します。

新NISAの口座は18歳未満の子供でも開設できる?

1月1日時点で18歳未満である人は、新NISAを利用できません。

旧NISAには未成年用のジュニアNISAがありました。しかしジュニアNISAは、2023年末で廃止されており、新NISAでそれに代わる未成年用の非課税枠は設けられません。

そこで今後、子供のために資産運用をするのであれば、親名義の新NISA口座を活用するのも1つの方法です。

新NISAは非課税保有限度額が1,800万円に拡大されています。夫婦二人であれば、非課税保有限度額は合わせて3,600万円となります。

名義を分けるのではなく、拡充された新NISAの非課税投資枠を利用し、家族単位で考えた資産運用をしていくとよいでしょう。

65歳からでも新NISAは利用できる?

新NISAには年齢制限がないため、65歳以上の方でも利用できます。すでに退職を迎えて年金を受給している方でも、日本に居住しているのであれば利用が可能です。

高齢になってから、投資を始めるのは不安に感じるかもしれません。しかし、歴史的な低金利が続く日本において老後生活を送るあいだに資産が枯渇してしまう事態を防ぐためには、貯蓄だけでなく資産を守るための運用も重要となります。

新NISAであれば1,000円や1万円といった少額から金融商品に投資できます。また、国債や社債などの債券が投資対象である投資信託であれば、比較的安定した運用が可能です。

ゆとりのある老後生活をできるだけ長く送りたいと考えている方は、新NISAでの資産運用を始めてみてはいかがでしょうか。

ジュニアNISAで新規投資した商品はどうなる?

ジュニアNISAの口座で新規投資をした金融商品は、2024年以降も非課税期間(5年間)が満了するまで非課税で保有できます。

また、非課税保有期間の終了後は、自動的に「継続管理勘定」へと移管されます。継続管理勘定でも商品の新規投資はできませんが、18歳になるまで非課税で保有することが可能です。

18歳になると、継続管理勘定で保有する資産は課税口座(特定口座・一般口座)へと移管され、同時に新NISA口座が開設されます。

18歳になる前にジュニアNISAや継続管理勘定で保有する商品を払い出すこともできます。ただし、商品の一部のみを払い出すことはできません。商品のすべて売却し、口座を閉鎖する必要があります。

また、ジュニアNISA口座や継続管理勘定で保有する商品を新NISA口座へ直接移管することはできません。資産を移管するのであれば、一度払い出しをして現金化をし、新NISAの口座で再度商品を買い付ける必要があります。

NISAとiDeCoはどちらを利用すべき?

NISAとiDeCoは、どちらも資産形成を後押しするための制度ですが、それぞれ特徴が異なります。

まず、NISAは投資した元本から得られる運用益が非課税となります。iDeCoは運用益が非課税になることに加え、掛金の全額が所得控除の対象です。

1年間で拠出した掛金の分だけその年の所得が減るため、所得税や住民税の負担を軽減する効果が期待できます。

一方、iDeCoの掛金を拠出できるのは、最長65歳までです。また、積み立てた資産は、原則として60歳になるまで引き出せません。

その点、NISAであれば利用できる人の年齢に上限はなく、積み立てた資産はいつでも現金化できます。

ほかにも、NISAとiDeCoには投資できる金額や選択できる商品など、さまざまな点が異なります。

NISAは資金を準備する時に幅広く活用できる制度であるのに対し、iDeCoは老後資金の準備に特化した制度です。NISAとiDeCoのどちらを選ぶべきか迷う時は、まず運用目的を考えてみるとよいでしょう。

まとめ

新NISAには、1月1日時点で18歳以上の方しか利用できないという年齢制限があります。旧NISAのジュニアNISAのような未成年の方ができる非課税枠は、新NISAにはありません。

一方、NISAを利用できる人の年齢に上限はないため、18歳以上であれば若者世代からシニア世代まで幅広く利用が可能です。

年齢やライフステージなどに応じて新NISAを利用することで、より効果的に資産形成が行いやすくなるでしょう。運用商品や利用方法などで分からないことがあれば、金融機関に相談することをおすすめします。

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