年金手帳がない!紛失した際の再発行の手続き方法や必要な時間などを解説

公的年金に加入すると支給される「年金手帳」。実際に年金を受給するようになるまでは日常的に目にする機会が少ないためか、紛失してしまう人も少なくありません。そこで今回は、年金手帳を紛失してしまった際に必要な手続きの方法や、再発行にかかる時間などについて確認します。

年金手帳がない!紛失した際の再発行の手続き方法や必要な時間などを解説

そもそも年金手帳とは?

そもそも年金手帳とは?

年金手帳とは、公的年金の加入者1人に1冊ずつ国から支給される手帳で、本人の公的年金の加入記録を一元的に管理する基礎年金番号をはじめ、年金に関するさまざまな情報や記録が記載されています。年金手帳には発行された時期により、茶色(1960年10月~1974年10月)、オレンジ色(1974年11月から1996年12月)、水色(1997年1月~)の3種類があります。

年金手帳は原則として、以下のふたつの方法いずれかで入手することができます。

①20歳で国民年金に加入する
20歳の誕生日から、約2週間以内に日本年金機構から「国民年金加入のお知らせ」や「国民年金納付書」などの書類、そして「年金手帳」が送られてきます。ただし、20歳になる前に就職して、すでに厚生年金に加入している人には、これらの書類や年金手帳が新たに送られてくることはありません。

②20歳未満で厚生年金に加入する
20歳未満で就職した場合は、事業主が年金事務所で厚生年金保険の被保険者資格取得手続きをし、事業主を通して年金手帳が交付されます。

なお、就職や転勤で加入する年金の種類が変わっても、基礎年金番号が変わることはなく、新たな年金手帳が支給されることもないため、原則として一冊の年金手帳を生涯にわたって使用することになります。

年金手帳の再発行申請の場所は種類によって異なる

年金手帳の再発行を申請する場合、自営業者やフリーターなどの「国民年金第1号被保険者」、会社員や公務員などの「国民年金第2号被保険者」、会社員や公務員などに扶養されている配偶者などの「国民年金第3号者」、厚生年金保険の「第4種被保険者」など、被保険者の種類によって申請先が異なります。申請方法は、電子申請・郵送・窓口持参のいずれかの方法を選ぶことができます。なお、発行は原則として無料で、費用を請求されることはありません。

■被保険者の種類と申請書の提出先

被保険者の種類 申請書の提出先
国民保険第1号被保険者(自営業、フリーターなど) 住所地の市区町村役場
国民保険第2号被保険者(会社員、公務員など) 勤務する事業所を経由して又は直接、事業所の所在地を管轄する年金事務所
厚生年金保険の第4種被保険者 住所地を管轄する年金事務所
最後に加入していた年金制度が国民年金で、第1号被保険者だった人 被保険者であった最後の住所地を管轄する年金事務所
最後に加入していた年金制度が厚生年金保険だった人 被保険者であった最後の事業所の所在地を管轄する年金事務所
最後に加入していた年金制度が国民年金で、第3号被保険者だった人 被保険者であった最後の住所地を管轄する年金事務所

【参考】日本年金機構ホームページ「年金手帳を紛失又はき損したとき」詳しくはこちら

再発行に必要な申請書は窓口かダウンロードで

なお、いずれの場合も再発行の手続きには、「年金手帳再交付申請書」の提出が必要です。この申請書は各年金事務所の窓口で受け取ることができるほか、日本年金機構のホームページからダウンロードすることができます。

再発行された年金手帳はどうやってもらえる?

なお、再発行された年金手帳は、原則、日本年金機構で管理している住所あてに郵送されますが、勤務先の事業所を通じて再交付申請をした場合は、事業所あてに送付されます。なお、申請者が本人であることを確認できる身分証明書などを年金事務所の窓口に持参した場合に限り、窓口でも交付を受けることができます。

再発行にかかる時間は?

再発行にかかる時間は、対応する年金事務所や申請方法によって異なります。長い場合は再発行までに1ヶ月程度かかってしまうこともあるので、転職先に年金手帳を提出する必要がある場合などは、時間に余裕をもって申請をするとよいでしょう。

本人が窓口に行けば即日発行が可能な場合も

なお、本人が直接年金事務所の窓口に出向いて手続きをすれば、即日発行ができる場合もあります(申請書、印鑑、身分証明書を持参)。ただし、すべての年金事務所が必ずしも即日発行に対応しているわけではないので、急ぐ必要のある場合には事前に年金事務所に問い合わせるようにしてください。

年金手帳をなくしたら、どうなる?

年金手帳をなくしたら、どうなる?

しかし、年金を実際に受給し始めるまでは、転職の際に事業主に提出を求められる程度で、年金手帳を日常的に使う場面はほとんどないため、紛失してしまう人も少なくありません。

中には、年金受給の開始直前になって初めて、年金手帳の紛失に気づいて大慌て……、という人もいるようです。とはいえ、年金手帳を紛失しても、年金が受給できなくなるわけではないので、過度に心配する必要はありません。年金手帳は、申請をすれば無料で再発行ができますし、老齢年金の受給年齢に達した人が受給手続きを行った際に交付される「年金証書」があれば、年金手帳がなくても年金を受給することができます。

紛失した年金手帳が悪用されるおそれはある?

なお、年金手帳を紛失した際に「悪用されるのでは?」という不安が頭をよぎる人もいるかもしれませんが、一般論としては年金手帳を悪用されるおそれは少ないといわれています。というのも、年金手帳は公的な身分証明書として認められないため、原則として金融機関でお金を借りたり、売買契約を結んだりすることはできないからです。とはいえ、年金手帳には、氏名や生年月日年金基礎番号をはじめさまざまな個人情報が記載されており、これらの個人情報が思わぬ形で悪用される可能性はゼロとはいえません。年金手帳を紛失してしまった場合は、紛失届を提出するとともに、すみやかに再発行の手続きを行いましょう。

年金手帳の紛失を防ぐには?

年金手帳の紛失を防ぐには?

これまで見てきたとおり、年金手帳の再発行には一定の手間と時間がかかってしまうので、年金手帳は紛失しないように注意して保管することが大切です。通帳や保険証などの重要書類と一緒に金庫や鍵付きの引き出しなどに保管しておくと安心です。

なお、高齢や病気などの理由で年金手帳を自分で管理できなくなった人は、市町村の社会福祉協議会が「日常生活自立支援事業」の一環として提供している「書類等預かりサービス」を利用して、通帳などとともに年金手帳を預かってもらうことができます。自分自身だけでなく親や家族の年金手帳の保管が心配な際は、社会福祉協議会に相談してみるとよいでしょう。

まとめ

年金手帳は年金の受給に必要な情報が記載された手帳で、1人に1冊、国から支給され、原則として生涯にわたって同じものを使用することになります。年金手帳を紛失しても年金が受給できなくなるわけではありませんが、転職した場合に新しい事業主への提出が必要になりますし、悪用されるおそれがないとは言い切れません。年金手帳を紛失した際は、年金事務所もしくは勤務先の事業所に申請して、再発行をしてもらいましょう。再発行は無料ですが、数週間~1ヶ月ほど時間がかかるので、紛失に気づいた際は速やかに再発行を申請することが大切です。

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