初めてでもわかるふるさと納税の「ワンストップ特例制度」を解説~条件やメリットなど~

2008年からスタートしたふるさと納税は、住民税が控除され返礼品までもらえるお得な制度として、年々利用する人が増加しています。一方で、仕組みがよくわからない、税金の申告が難しそう、といった理由で利用を躊躇する人も少なくないようです。そんな人でも気軽にふるさと納税ができる「ワンストップ特例制度」をご紹介します。

初めてでもわかるふるさと納税の「ワンストップ特例制度」を解説~条件やメリットなど~

ふるさと納税の「ワンストップ特例制度」とは?

ふるさと納税の「ワンストップ特例制度」とは?

ふるさと納税とは、自分で選択した自治体に控除上限額内で寄付を行うと、寄付額から2,000円を引いた額について税金が控除される仕組みです。この税額控除を受けるには、確定申告が必要ですが、確定申告に代わる申告書を、寄付をした自治体に提出することで手続きが終了する「ワンストップ特例制度」というものがあります。

ワンストップ特例制度のメリットとデメリット

簡単な手続きで寄附金控除を受けられるワンストップ特例制度のメリットは、なんといっても面倒な確定申告を行うことなく住民税の税額控除を受けることができることでしょう。
ただし、ワンストップ特例制度を利用するには条件があります。

ワンストップ特例制度が利用できる条件

ワンストップ特例制度が利用できる条件

確定申告を必要としない給与所得者

医療控除を行う方や給与所得2,000万円以上の人は確定申告が必要なので対象外です。確定申告の中で寄附金控除として申告をする必要があります。
なお、ワンストップ特例制度を利用していても、後から確定申告をした場合、ワンストップ特例制度による控除は無効となります。

寄付先は5自治体以内

6自治体以上に寄付をした場合は確定申告が必要です。ただし、同じ自治体に複数回寄付を行った場合は、1自治体計算になります。

ワンストップ特例制度といえども、寄付を行った回数だけ申請が必要になります。封筒を用意し切手を貼って書類を提出しますから、寄付回数が多い方は5自治体以内であっても確定申告のほうが楽な場合もあります。

続いて、申請の仕方を説明しましょう。

制度の申請方法

制度の申請方法

ふるさと納税の専用サイトを利用した場合には、寄付の申し込みの際に、ワンストップ特例制度を利用するかどうかを問われます。そこで「利用する」にチェックをすると、後日、自治体から申請書が送られてきます。チェックを忘れてしまった場合でも、自分で申請書を取り寄せることもできます。
寄付をした後に住所や氏名の変更があった場合は、寄付した翌年の1月10日までに変更届を自治体に郵送(FAXやEメールは不可)する必要があります。

申請のスケジュールと控除のタイミング

1月1日から12月31日の1年間に寄付を行った場合には、その翌年の1月10日までに申請書と必要書類を、寄付先の自治体へ直接送付します。するとその年の6月から、その次の年の5月まで、控除上限額内で寄付した合計金額のうち2000円を引いた額の住民税が控除されるというスケジュールになっています。

■寄付から控除までのスケジュール

寄付から控除までのスケジュール

年末ギリギリに寄付をすると、書類に不備があった場合にはワンストップ特例制度には間に合わなくなる可能性もありますので、日程には余裕をもって手続きしましょう。もし、1月10日までに間に合わなかった場合、確定申告をすれば控除は受けることができます。

提出が必要な書類など

寄付をするごとに下記の書類を自治体へ送付します。

寄附金税額控除にかかる申告特定申請書

寄付した自治体から自動的に郵送で送られてくることもありますが、原則、自身で自治体からの取り寄せとなります。総務省HPやふるさと納税サイトからダウンロードすることもできます。

マイナンバー書類のコピー

2016年から、マイナンバー法の施行によりマイナンバーの書類が必要になりました。マイナンバーカードを持っている場合は、表と裏のコピーを提出します。

マイナンバーカードを持っておらず、「通知カード」または「個人番号通知書」が手元にある場合は、そのコピーと以下の提出が必要です。

・運転免許証
・運転経歴証明書
・パスポート
・身体障害者手帳
・精神障害者保健福祉手帳
・療育手帳
・在留カード
・特別永住証明書
いずれか1点(写真付き)のコピー

出典 

また通知カードなどもない場合は、マイナンバーの記載されている住民票の写しと以下の提出が必要です。

・健康保険証
・年金手帳
・提出先自治体が認める公的書類
から2点のコピー

出典 

寄付をすると各自治体から「寄附金受領証明書」が送られてきます。ワンストップ特例制度では不要ですが、確定申告をする場合は必要な書類になります。何らかの理由で確定申告をすることになるかもしれないので、なくさないように保管しておきましょう。

ふるさと納税のワンストップ特例制度でいくら控除できる?

ふるさと納税のワンストップ特例制度でいくら控除できる?

ふるさと納税をすると、いくらくらい控除されるのか、計算方法を見てみましょう。

控除額の計算方法

ふるさと納税による控除額は次のような手順で計算します。

控除額の計算方法

1.住民税からの控除(基本分)=(ふるさと納税額−2,000円)×10%
2.住民税からの控除(特例分)=(ふるさと納税額−2,000円)×(100%-10%-所得税の税率)
3.所得税からの控除=(ふるさと納税額−2,000円)×所得税の税率
4.2が住民税所得割額の2割を超える場合は…住民税からの控除(特例分)=(住民税所得割)×20%

下記の例で具体的な金額を確認してみましょう。

<計算例>
年収600万円、配偶者と15歳、18歳子どもを扶養している
所得税率 10%
ふるさと納税額 7万円

出典 

控除額の計算方法

1.(70,000円−2,000円)×10%=6,800円
2.(70,000円−2000円)×(100%−10%−10%)=54,400円
3.(70,000円−2,000円)×10%=6,800円

確定申告をした場合には、所得税からの控除がありますが、ワンストップ特例制度の場合は、全額住民税から控除されます。
寄附金控除の金額は、その年の総所得金額等の40%相当額までとされています。ただし税額控除の上限額は、扶養家族の有無、住宅ローン控除の有無、そのほかのさまざまな所得控除等によって金額が変わってきます。ふるさと納税サイトなどで目安の金額を確認してみましょう。

ふるさと納税を使った場合にどのくらいお得になる?

上記の人が、7万円の寄付を行い、お米10キロ、シャインマスカット2房、鰻2尾(300グラム)、牛肉A5ランクすき焼き肉800グラム、ズワイガニで総額16,000円程度のお礼の品を受け取ったとしましょう。

68,000円の控除を受けられるので、2,000円の負担額のみで、この14,000円程度の品が受け取れるということになります。寄付金額1万円に対し、だいたい2,000円程度のお礼の品が相場と言われています。

まとめ

まとめ

ふるさと納税の計算は難しく感じるかもしれませんが、ふるさと納税サイトの「控除上限額計算シミュレーション」などを利用すると、その年の寄付金の上限額が示されます。それを参考に、その範囲内で金額に余裕をもって利用するようにしてください。さらにワンストップ特例制度を利用すれば、面倒な確定申告をせずに済みます。
申請条件が合う方は、必要書類、締め切りを確認して気軽にふるさと納税を利用してみてください。

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