自動運転のデメリットとは?メリットや課題解決に向けた各社の取り組み

自動運転車によって私たちの生活は豊かになると考えられますが、デメリットや課題も山積みです。この記事では、自動運転車のメリットやデメリット・課題についてわかりやすく解説します。自動運転のメリット・デメリットを知って、自動運転車が走る未来を具体的にイメージしてみましょう。

自動運転のデメリットとは?メリットや課題解決に向けた各社の取り組み

「自動運転車がそろそろ実現しそうだけど、メリットやデメリットはあるのだろうか」と疑問に思っていませんか。

じつは、自動運転車によって私たちの生活は豊かになると考えられますが、デメリットや課題も多いです。

今回の記事では、自動運転車のメリットやデメリット・課題についてわかりやすく解説します。課題解決に取り組む各メーカーの取り組みについても紹介しますよ。

自動運転のメリット・デメリットを知って、自動運転車が走る未来を具体的にイメージしてみましょう。

自動運転車とはどのような乗り物?定義を理解しよう

自動運転車とはどのような乗り物?定義を理解しよう

そもそも自動運転車とは、人の手を使わずに機械が自立的に操縦する自動車のことです。自動運転が実現すれば、運転手の負担なくスムーズに移動ができるようになります。

自動車業界ではさまざまなメーカーが安全で快適な移動手段の実現に向けて、技術開発を進めているのです。

完全な自動運転車の開発はまだですが、一定の条件のもとであればすでに自動運転車は実用化されています。

自動運転車は自動操作のレベルによって5つに段階分けされており、開発が進むにつれて徐々に実用化が進んでいくと言えるでしょう。

国土交通省の「運転支援技術・自動運転技術の進化と普及」によって分けられている5つの技術レベルは以下のとおりです。

レベル 詳細
ドライバーによる監視 レベル1 ・運転支援:システムが前後、左右いずれかの車両制御を実施 ・車線からはみ出さない 例)自動ブレーキ・前の車について走る
ドライバーによる監視 レベル2 ・特定条件下での自動運転機能(レベル1との組み合わせ) ・特定条件下での自動運転機能(高機能化)例)車線を維持しながら前の車について走る
システムによる監視 レベル3 ・条件付き自動運転 システムがすべての自動タスクを実施するが、システムによる介入要求次第ではドライバーが対応することも必要
システムによる監視 レベル4 ・特定条件下における完全自動運転 特定条件下においてシステムがすべての運転タスクを実施する
システムによる監視 レベル5 ・完全自動運転 常にシステムがすべての運転タスクを実施する

【参考】運転支援技術・自動運転技術の進化と普及|国土交通省詳細はこちら

現在はレベル2程度の自動運転技術が普及しています。

さらに、2021年3月にはレベル3に適合するLEGENDがHondaより発売されました。レベル5の完全自動運転を実用化するには時間がかかりますが、確実に技術は進歩しています。

自動運転車がもたらすデメリットや課題

自動運転車がもたらすデメリットや課題

自動運転車は安全で快適な生活を実現するために開発が進められています。しかし、デメリットや課題があることも事実です。

以下のような問題を解決しなければ、よりレベルの高い自動運転車の普及は難しいでしょう。

【自動運転車の課題】
・事故の責任の所在が不明確
・ハッキングによる犯罪の可能性
・緊急時のドライバーの対応
・交通産業の労働人口の減少

出典 

それぞれ詳しく解説していきます。

事故の責任の所在が不明確

自動運転では、事故の責任の所在がドライバー・自動車メーカー・ソフトウェア開発会社のいずれになるかが不明確です。

緊急停止しなかったドライバーが悪いと考える人もいれば、事故の防げない技術を提供したソフトウェア開発会社が悪いと考える人もいます。

もちろん、安全な自動運転を目指す開発が進んでいますが、それでも予期せぬ事故を完全に防ぐことはできないでしょう。

事故の責任の所在がはっきりせず、揉める原因となります。

ハッキングによる犯罪の可能性

自動車運転は、自動車のコントロールをコンピューターで制御する技術です。そのため、ハッキングによる犯罪を未然に防がなければなりません。

自動運転車が普及したときには、IoT技術によってそれぞれの車が通信をしながら走行することになります。

ハッキングをされると、勝手に目的地を変えられたり、故意に事故を引き起こされたりする恐れもあるのです。

高いセキュリティ技術を兼ね備えなければ、システムの攻撃を受けたときに安全な走行ができません。どのようにセキュリティを強化していくのかは、大きな課題と言えるでしょう。

緊急時のドライバーの対応

緊急時のドライバーの対応も課題の1つです。

災害時や通信障害時などによって自動運転の機能が十分に発揮されないことも想定しなければなりません。

万が一自動運転が機能しない場合、乗車している人がドライバーとなって運転する必要があるでしょう。

緊急時には運転をしなければならないのであれば、どれだけ自動化が進んでもドライバーには運転技術が求められます。

自動車の免許を持っていない人やお年寄りが活用することができず、利便性が低くなる可能性もあるでしょう。

交通産業の労働人口の減少

自動運転車の普及による交通産業の労働人口の減少も懸念されています。

なぜなら、自動運転車が普及すると、バスやタクシー、トラックなどの運転手の必要がなくなるからです。

完全になくなることはないかもしれませんが、労働人口の総数が減る恐れは十分に考えられます。

いまドライバーとして働いている人は、近い将来転職しなければならない可能性もあるかもしれません。

自動運転車がもたらすメリットとは

自動運転車がもたらすメリットとは

自動運転車のデメリットや課題をお伝えしてきましたが、それ以上に自動運転車がもたらすメリットは大きいです。

より安全で快適な移動ツールとして期待されている自動運転車の主なメリットとしては、以下の5つが挙げられます。

【自動運転車の5つのメリット】
・運転から解放されて快適
・交通渋滞の緩和
・交通事故の減少
・お年寄りなどの移動手段ができて便利
・環境負荷の減少

出典 

私たちの生活にどのようなメリットをもたらすのか、確認していきましょう。

運転から解放されて快適

自動運転車が普及すると、運転の必要がなくなり快適に移動できるようになります。

タクシーに乗っている感覚で、目的地を伝えれば自動で連れていってくれるためです。移動中は仕事をしたり動画を観たりと、時間を有効活用できます。

また、長距離運転による疲労や初めての土地での運転による緊張感から解放されるメリットもあるでしょう。

交通渋滞の緩和

ビッグデータと通信をしながら効率的な経路を選択する自動運転車によって、交通渋滞は緩和されます。

どの道に車が多いのか、どこで事故が起きているのかなどの道路状況を瞬時に把握できるためです。

渋滞でイライラしたり、時間を無駄にしたりせずに済みますよ。

交通事故の減少

AIが自動運転をすることで、交通事故の減少を期待できます。なぜなら、交通事故の多くはドライバーの不注意によるものだからです。

不注意の例としては、よそ見や眠気、判断ミスなどが挙げられます。

自動運転車は、事故の原因の多くを占める不注意を取り除けるため、事故の減少が期待できるでしょう。

お年寄りなどの移動手段ができて便利

自動運転車は、高齢者や障がい者などの運転が難しい人にとって、新たな移動手段になることが期待されます。交通の便が悪い地域では、自動運転によって利便性が大いに高まるでしょう。

また、高齢者のドライバーによる事故が注目されてから久しいですが、「車がなければ移動できない」といった地域も少なくありません。

一方で、2021年9月の推計によると65歳以上の高齢者は総人口の29.1%と、「3人に1人が高齢者」の時代が目前に迫っています。

【参考】統計トピックスNo.129 統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-|総務省統計局詳細はこちら

自動運転車が普及すれば、高齢者ドライバーによる事故のリスクの減少も期待できるでしょう。

環境負荷の減少

不必要な加減速が減ることで、環境負荷の減少につながるとも考えられています。

なぜなら、燃費効率を最適化することで有害ガスの排出を抑えられるからです。また、自動運転車は基本的に電動(EV)が主流になるとも考えられています。

以上のことから、自動運転車は有害ガスの排出によって引き起こされる気候変動の抑止や大気汚染軽減に役立つ可能性もあると言えるでしょう。

自動運転車の課題解決に向けた各メーカー取り組み

自動運転車の課題解決に向けた各メーカー取り組み

自動運転車のデメリットや課題はあるものの、私たちが自動運転車の発展から受ける恩恵は非常に多いです。

社会全体の発展のためにも、自動運転車の各メーカーは課題解決に向けてさまざまな取り組みをおこなっています。

ここでは、以下の3つのメーカーの取り組みについて説明していきます。

【自動運転車の課題解決に取り組むメーカー】
・Honda
・TOYOTA
・NISSAN

出典 

各メーカーの取り組みから、今後の自動運転車の未来を予想してみましょう。

Hondaの取り組み

Hondaは、事故に遭わない社会の実現を目指し、自動運転・安全運転支援技術の開発を進めています。

すでに自動運転レベル3型式指定を国土交通省から取得し、渋滞運転機能を実現した「Honda SENSING Elite」を搭載した新型自動車「LEGEND」を発表しました。

「事故を起こさない安全な移動手段を目指すシステムが事故を引き起こしてはならない」という考えのもと、Hondaは以下のような実証実験や検証をおこなっています。

【Hondaの実証実験例】
・シミュレーションと実証実験による信頼性検証
・全国約130万kmの実証実験
・世界での実証実験

出典 

このように、Hondaはさまざまなシミュレーションを通して現実世界で役立つ自動運転技術の開発に励んでいます。

TOYOTAの取り組み

TOYOYAは安全を最優先課題と位置付け、「交通事故死傷者ゼロ」の世界を目標に安全・自動運転技術の開発を進めています。

2021年4月に発表した「MIRAI」と「LS」に搭載された「Advanced Drive」には、高速道路や自動車専用道路の本線などでステアリング・アクセル・ブレーキのすべてをアシストする機能が備わっています。

また、TOYOTAは静岡県裾野市に「Woven City」と呼ばれる実験都市を開発中です。

このWoven Cityは実際に人が生活し、その中にAI・ロボット・スマートホームにくわえ、自動運転を実際に取り入れます。

実際に人の住む街で実証を繰り返すことで、いままで見えなかった課題の洗い出しを行い、より実社会での普及を目指しているのです。

NISSANの取り組み

NISSANは、「走る楽しさと豊かさ」を体現するクルマ作りに取り組む一方で、現実世界における高い安全性を最優先に考えて完全自動運転に向けて開発を進めています。

2016年に発表された「プロパイロット」では、高速道路に限ってハンズオフ走行ができる機能が搭載され、NISSANの技術力の高さは業界内でも注目を集めていると言えるでしょう。

NISSANの取り組みは、日本にとどまりません。イギリスやアメリカなどの海外での実証事件を実施し、あらゆる交通環境に合わせられる自動運転の研究を進めているのです。

実証実験では車両周囲360度を複数のセンサー・カメラでカバーできる最新の自動運転実験車両を用いており、課題の発見と解決に積極的に取り組んでいることが伺えます。

なお、自動運転車では、自動車が常に外部と通信をおこなってビッグデータに情報を提供します。そのため、自動車メーカーや政府にパーソナルデータを収集されているかもしれないという懸念が持たれていることも事実です。

しかし、膨大なパーソナルデータは適切に扱いさえすれば、社会全体の発展を実現するための貴重な材料になると言えるでしょう。このようなパーソナルデータを集めている企業は他の産業のなかにも見られています。

情報銀行サービスDprimeでは、自分の選んだ企業に行動履歴などのパーソナルデータを提供することで、お得にサービスを利用できる仕組みを持っています。提供するパーソナルデータには名前や住所(番地以下)など、個人を特定する内容は含まれません。

Dprimeを利用すれば、パーソナルデータをお得なギフトに変えることが可能です。少しでも興味がある人は、まずは登録から初めてみてはいかがでしょうか。

まとめ

自動運転車が実現すると、私たちの生活が豊かになることは確実でしょう。しかし、デメリットや課題から目を逸らしてはいけません。

事故が起きたときの責任の所在や緊急時の対応方法など、解決すべきことはたくさんあります。

日本の自動車メーカーは自動運転車の実現に向けて、さまざまな取り組みを行っているため、遠くない未来で実現できるでしょう。しかし、利用者の位置情報がビッグデータに集約されてしまうため、政府や自動車メーカーに対し、知らないうちにパーソナルデータを提供する事態になる可能性があります。

このようなパーソナルデータは価値があり、社会の役に立つものである一方、できるなら提供する情報は自分でコントロールしたいですよね。

たとえば、情報銀行サービスDprimeでは応諾した企業にのみパーソナルデータを提供することで、商品がお得に購入できたりサービスの優待を受けられたりします。

もちろん、Dprimeではパーソナルデータを提供するものの、名前や住所といった個人を特定する情報は企業に提供せずに済みます。情報提供を賢くおこない、より豊かな生活を実現させましょう。

ご留意事項
  • 本稿に掲載の情報は、ライフプランや資産形成等に関する情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の取得・勧誘を目的としたものではありません。
  • 本稿に掲載の情報は、執筆者の個人的見解であり、三菱UFJ信託銀行の見解を示すものではありません。
  • 本稿に掲載の情報は執筆時点のものです。また、本稿は執筆者が各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性について執筆者及び三菱UFJ信託銀行が保証するものではありません。
  • 本稿に掲載の情報を利用したことにより発生するいかなる費用または損害等について、三菱UFJ信託銀行は一切責任を負いません。
  • 本稿に掲載の情報に関するご質問には執筆者及び三菱UFJ信託銀行はお答えできませんので、あらかじめご了承ください。

RANKING

この記事もおすすめ